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ウィンタースポーツは終焉か?:気候変動によるスキー場消滅の危機

ウィンタースポーツは終焉か?:気候変動によるスキー場消滅の危機

 

目次

1:北海道でも約7割が積雪量の減少を感じている

2:北海道でも「人工降雪機」を導入

3:危機を打破する方法

 

1:北海道でも約7割が積雪量の減少を感じている

北海道新聞の<欧州気候変動 スキー場異変>シリーズ記事「仏アルプスで廃業、成長モデル転換… 今世紀末に欧州の7割が存続危機も」から考えたことを記します。

気候変動がもたらす影響は、全世界のスキー場に深刻な影響を及ぼしています。北海道新聞によれば、特にヨーロッパのスキー場は、気候変動による雪不足で存続の危機に直面しており、フランスアルプス地域では多くの小規模スキー場が廃業に追い込まれています。気候変動が進行すれば、今世紀末には欧州のスキーリゾートの約71%が存続の危機にさらされるとの研究結果が発表されています。

この問題は北海道にも及んでおり、「令和4年度国民参加による気候変動情報収集・分析委託業務(北海道)調査結果【スキー場編】」によると、64.5%のスキー場が開設期間の短縮を報告しています。さらに、67.7%が積雪量の減少を感じており、パウダースノーの日数も減少しているとのことです。

フランスアルプスのラサンブイスキー場の例は特に顕著で、1962年の開業から60年以上の歴史に幕を閉じたことが報じられました。廃業に伴い、従業員の解雇や関連産業への影響が生じています。さらに、ラサンブイのような小規模スキー場は、以前は5年に1度の雪不足が、近年は5年に3度のペースで発生しており、気候変動への対応が求められています。

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このような状況下、スキーリゾートは夏季の活動にシフトするか、他の代替産業への移行を検討する必要に迫られています。一部のリゾートでは持続可能な新モデルの構築や技術の進歩によって対応を図る動きも見られますが、その限界も指摘されています。

このままでは、北海道や日本でウィンタースポーツを楽しむことができなくなる可能性が高まっています。私たちは、気候変動の現実に直面し、具体的な行動を起こす必要があります。ウィンタースポーツの将来と、それを支える自然環境の保全に向けた取り組みは、私たち全員にとって重要な課題です。

 

2:北海道でも「人工降雪機」を導入

引き続き、北海道新聞の<欧州気候変動 スキー場異変>シリーズ記事「人工雪で9割カバー コスト増え値上げ 勝ち負けの二極化も」から考えたことを記します。

『英メディアなどによると、アルプスのスキーシーズンは1970年代と比べ約1カ月短くなった。それにつれ、欧州のスキー場はますます人工降雪機に頼る傾向にある。』とのことです。日本最大のウィンタースポーツのメッカである北海道でも他人ごとではありません。

令和4年度国民参加による気候変動情報収集・分析委託業務(北海道)調査結果【スキー場編】」によると、北海道のスキー場では既に多くが影響を受けています。その中で21.0%のスキー場が「人工降雪機」を導入し、1.6%が「人工造雪機」を導入していることが明らかになりました。これは、自然の雪が降らないことに対応するための対策ですが、費用やオペレーション、水の問題など、導入にはいくつかの困難が伴います。

また、冬季以外の運用も22.6%のスキー場で行われており、夏山リフトや観光用ロープウェイの夏季営業など、多様な活用方法が考えられています。気候変動による将来の降雪量変化に対応するため、69.4%のスキー場が運営対策の必要性を感じており、その対策として人工降雪機の導入や冬季以外の活用が挙げられています。

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これらの状況は、私たちスキー愛好家にとって非常にショックであり、ウィンタースポーツの未来に深い懸念を抱かせます。北海道のスキー場でさえ、「人工降雪機」の導入や「冬季(スキー)以外の活用」を検討せざるを得ない状況は、日本のウィンタースポーツ界にとって深刻な状況です。

しかも、人工降雪機も万能ではありません。気温が0度を下回る必要があるのです。ロイター通信によると、イタリア・アペニン山脈のスキーリゾート、モンテシモーネは昨シーズン、500万ユーロ(約7億9千万円)を投じて人工降雪機を備えましたが、過去40年で初めてクリスマス休暇時期を休業にした。気温が0度を下回らず、人工雪を造ることができなかったのです。

気候変動の進行により、北海道や日本でもウィンタースポーツを行うことが難しくなる日が来るかもしれません。私たちは、この問題に直面し、適切な対策を講じる必要があります。持続可能なウィンタースポーツのための新しい取り組み、環境保全に向けた意識の高揚が求められています。ウィンタースポーツの未来は、私たちの行動にかかっています。

 

3:危機を打破する方法

引き続き、北海道新聞の<欧州気候変動 スキー場異変>シリーズ記事「冬季五輪の候補地先細り 練習環境が激変、競技の将来は「深刻」」から考えたことを記します。

ウィンタースポーツファンにとって記憶に新しいと思いますが、2022年の北京冬季五輪大会は、ほぼ100%人工雪に頼る初めての大会となりました。今後、冬季五輪大会の開催自体が危ぶまれています。

気候変動による雪不足は、世界中のスキーリゾートにとって深刻な問題となっています。特に日本のスキーリゾートは、その影響を大きく受けており、存続の危機に瀕しています。2019年12月に発表された観光庁の「海外スキー市場に関するデータ整理」によると、世界でのスキーリゾート数は米国の356に次いで、日本が279で2位に位置しています。この数字は、フランスの234、イタリアの216を上回り、日本が世界最大級のスキーリゾート国であることを示しています。

しかし、この立派なスキーリゾートが今、存続の危機に直面しています。雪不足により閉鎖されるリゾートが増えれば、そこに必要な多額のインフラ設備投資が無駄になり、その復活は極めて困難になるでしょう。北海道や長野などの冬季の外国人旅行客も激減する恐れがあります。

このような状況下で、私たちはCO2削減に寄与する旅行者の荷物削減を真剣に考える必要があります。ICAO「CARBON EMISSIONS CALCULATOR」によると、20kgの荷物重量削減は日本往復で138kg(ニューヨーク、シンガポール、台北の平均)のCO2削減に相当します。これは生活から排出されるCO2の28日分にもなり、私たち一人ひとりの行動が環境へ与える影響は非常に大きいのです。

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出所: ICAO「CARBON EMISSIONS CALCULATOR」、国立環境研究所「日本の温室効果ガス排出量データ」

 

スキーリゾートの存続と地球環境の保全のために、私たち旅行者が取り得る具体的な対策として、衣類レンタルなどにより荷物を軽くすることが挙げられます。軽い荷物は移動の快適さを増すだけでなく、環境への配慮を示す行動となります。

気候変動による影響は既にスキーリゾートの未来を脅かしています。また、スキーリゾートが誘致する外国人旅行者自体が移動により、気候変動に悪影響を与えているという事態を正しく把握する必要があります。せめて、旅行者の荷物を減らすことで、北海道や日本でのウィンタースポーツをこれからも楽しむための知識を得て、行動しませんか。

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