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旅行回数減少の理由はお金か、時間か「トラベル・ディバイド」の考察②

旅行回数減少の理由は金か、時間か「トラベル・ディバイド」の考察②

引き続き、「トラベル・ディバイド」について、その原因を探っていきたいと思います。特に、高齢者の旅行回数減少について考えてみます。内閣府によると「在宅身体障害者の年齢階層別の内訳は65歳以上が72.6%」とあり、高齢者と障がい者は密接に関係するためです。また、世界的な高齢化の流れの中で、高齢者の旅行回数の考察が重要であると考えるためです。

2014年に発表された国土交通省の「将来的な需要喚起に向けた市場調査 ー 観光に関するアンケート調査結果 ー」は非常に興味深い調査です。この調査では「旅行(国内旅行・海外旅行)に対する考え方」で、「旅行は時間とお金に余裕がある時にするものだ」という回答が「旅行をする人(非ゼロ回層)」では50.5%、「旅行をしない人(ゼロ回層)」では43.7%と最大の回答となりました。

お金がない

また、2018年に発表された観光庁の「旅行・観光消費動向調査」では国内宿泊旅行(観光・レクリエーション目的)を行わなかった方に「旅行しなかった(できなかった)理由」を調査しています。この調査では「旅行しなかった(できなかった)理由」の1位が「仕事などで休暇が取れない(29.3%)」、2位が「家計の制約がある(26.4%)」でした。

旅行しなかった理由

両調査とも旅行をしない(できない)理由はお金と時間の問題ということになります。実際は正しいでしょうか。

世代ごとのお金と旅行回数について調べてみました。総務省統計局の「家計調査報告」において、コロナ前の2019年の貯蓄・負債残高(純貯蓄高)を調べてみました。この調査と2019年の海外旅行回数の相関係数を計算するとマイナス0.87でした。一般的によく言われているように、高齢者の方が純貯蓄高が多くなります。一方、旅行回数は減少します。

金融資産

また、世代ごとの時間と旅行回数について調べてみました。2017年に発表された総務省の「平成28年(2016年)社会生活基本調査」における3次活動(余暇時間)の調査と2019年の海外旅行回数の相関係数を計算するとマイナス0.82でした。時間についても、仕事を引退することが多い高齢者の方が余暇時間が多くなります。一方、旅行回数は減少します。

余暇時間

これらの結果から、旅行をしない(できない)理由は少なくとも世代間においては、お金と時間の問題ではないことが分かります。

では、高齢者の旅行回数が減少する理由は何でしょうか。次回、その理由を探りたいと思います。

 

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