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旅行中の「体験」は目的か手段か

旅行中の「体験」は目的か手段か

高橋工房

「モノよりコト」の合言葉で買い物などから体験へ旅行者ニーズはシフトしています。しかし、同じ「体験」という言葉でも「体験」が目的か手段かを分けて考える必要があると思います。

例えば、スカイダイビング、パラグライダー、ラフティングなどほとんど会話を伴わないアクティビティはその体験自体を楽しんでいることは明らかです。

一方、工芸や料理、文化(芸者体験、座禅など)の体験は体験と共に、職人や料理の先生、芸者、僧侶とのコミュニケーションも大きな楽しみとなっているはずです。単に体験を消費するのではなく、その背後にある人々との関係性を深めることも目的となっていると思います。これは、旅行が提供する最も豊かな体験の一つとして、人と人との繋がりがあり、それが記憶に残りやすく、より意味深い旅行となるためです。

Geisha

外国人観光客の日本観光における不満の1位は「ゴミ箱の少なさ」ですが、2位は「施設等のスタッフとのコミュニケーションがとれない」でした(出所:令和元年度「訪日外国人旅行者の受入環境整備に 関するアンケート」調査結果)。コミュニケーションがとれないという不満は日本人が外国語に堪能ではないことも大きな要素でしょう。一方で、日本人が気軽に外国人に挨拶しないからということも不満の理由にあると思います。

出所:令和元年度「訪日外国人旅行者の受入環境整備に 関するアンケート」調査結果

 

大阪が外国人観光客に人気な場所である理由は大阪人気質で気軽に日本語でも外国人観光客に気軽に話しかけることが背景にあると私は考えています。

従って、今後、同じ「体験」でもコミュニケーションを生み出すような体験により人気が集まるような気がしています。私も外国に行って現地の人と全く話さずに帰国する場合はとてもさみしい気分になり、もうその国に再訪しないということが良くありました。体験を通じて、外国人観光客と日本人のコミュニケーションを自然に生み出すような仕組み作りが観光業には求められていると言えるでしょう。

外国人観光客と日本人のコミュニケーションに主眼を置けば、神社仏閣や絶景など有名な観光スポットに頼らずとも観光客誘致ができる可能性があります。もちろん、アクセスの良さが必要ではありますが、観光スポットに依存しない観光地作りという視点も大事なのではないでしょうか。

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