英語・繁体中文版の「車椅子やベビーカーで入店できるレストラン」470店舗のリストが完成
目次
1:序文
2:アクセシブルレストランの数
3:障害を持つ外国人にとって「一番の難点はレストラン探し」
4:外国人旅行者にとって日本での食事は最大の楽しみ
5:トラベルディバイド解消のために
1:序文
当社では日本全国の「車椅子やベビーカーで入店できるレストラン」リストを作成しました。都道府県別に10店舗ずつランキング化し、英語と繁体中文で紹介しています。このリストは、複数のグルメサイトに掲載されている「車椅子入店可」かつ「ベビーカー入店可」を双方満たすレストランを当社独自の基準でランキングしたものです。都道府県別に10店舗ずつの紹介となるため、日本全国では470店の紹介となります。470店をランキング化したリストはこれまであまりないのではないでしょうか。
上位にランクインした店の料理ジャンルは、日本料理、フランス料理、カフェ、ラーメン、焼肉など、かなり幅広いものとなりました。各都道府県に観光に行く際には参考にしていただければと思います。
2:アクセシブルレストランの数
障害者や高齢者など誰もが楽しめる旅行を意味する「アクセシブルツーリズム(Accessible Tourism)」・「バリアフリーツーリズム」・「ユニバーサルツーリズム」などの言葉は、Google検索ワードにも挙がるなど徐々に認知されつつあります。しかし、日本語としての「アクセシブルレストラン」や「バリアフリーレストラン」、「ユニバーサルレストラン」はGoogle検索ワードには挙がりません(ただし、周辺ワードは検索されます)。従って、当社のBLOGタイトルでも「車椅子やベビーカーで入店できるレストラン」と長い言葉になってしまいます。
では、日本ではどれくらい「アクセシブルレストラン」があるのでしょうか。国内最大規模のグルメサイトである「食べログ」で調べてみました。まず、車椅子で入店可能なレストランは「食べログ」掲載84.3万店のうち、25,197店(3.0%)ありました。また、ベビーカーで入店可能なレストランは39,291店(4.7%)ありました。車椅子で入店可能かつベビーカーで入店可能なレストランは15,333店とわずか1.8%しかありません。かつ、英語メニューがあるレストランは3,394店(0.4%)だけです。なお、「アクセシブルレストラン」であるなしにかかわらず、英語メニューがあるレストランは17,955店(2.1%)です。
3:障害を持つ外国人にとって「一番の難点はレストラン探し」
障害者用情報発信を行っているアクセシブル・ジャパンのサイトを立ち上げたカナダ生まれのジョシュ・グリスデイルさんは障害を持つ外国人旅行者にとって「一番の難点はレストラン探し」と言います。先ほどのように、「アクセシブルレストラン」自体が少なく、英語メニューもあるレストランはさらに少ないため、「一番の難点はレストラン探し」というのは当然でしょう。
なお、当社では今回の「車椅子やベビーカーで入店できるレストラン」とともに、英語・繁体中文の写真付き食べ物メニュー「800 Japanese food menu」、「200 Sushi, Sashimi list」、「Best local delicacies ranking」、「Seafood in season」などを作成し、外国人旅行者が日本でより美味しい食事を楽しめるよう情報提供に努めています。
4:外国人旅行者にとって日本での食事は最大の楽しみ
観光庁の訪日外国人消費動向調査(2019年)によると「訪日前に最も期待していたこと(複数回答)」の1位は「日本食を食べること」69.7%でした。なお、2位は「ショッピング」52.6%でした。また、「今回したこと(複数回答)」の1位は「日本食を食べること」96.6%でした。なお、2位は「ショッピング」82.8%でした。
車椅子やベビーカーを利用して旅行する外国人に対して、期待でも体験でも1位となる「日本食を食べること」のハードルが高いことは、観光誘致側としては非常に憂慮すべきことです。当社の情報提供が微力ながらお役に立てることを願っています。
5:トラベル・ディバイド解消のために
当社ではこうしたトラベル・ディバイドの解消を願い、情報提供や衣類レンタルサービスを行っています。トラベル・ディバイドとはデジタル・ディバイドをヒントにした私の造語です。重い荷物や旅行情報格差が負担となり、旅行自体をあきらめてしまう高齢者、障害者、子連れファミリーなどの存在をトラベル・ディバイドと私は定義しています。
日本では高齢者の旅行回数は70歳以上で激減します。2019年では全世代の平均旅行回数に対して国内旅行は34%減、海外旅行は72%減です。同様に、乳幼児連れの海外家族旅行も27%減となります。また、米国では障害者の旅行回数は平均より63%も少ない回数です(2019年)。こうした明確なトラベル・ディバイドは重いトランクからの解放、旅行情報格差の解消などにより緩和されると信じています。
2019年のトラベル・ディバイド(平均旅行回数に対する落ち込み)
出所:JTB旅行年報2020、Tourism Academy、Wheelchair Travel