カーボンプライシング提言に賛同
目次
1:カーボンプライシング提言に賛同
2:提言の内容
3:旅行の移動時におけるCO2排出量の大きさを認識することが大切
1:カーボンプライシング提言に賛同
2023年12月5日、気候変動イニシアティブは、「気候変動イニシアティブメンバーによるカーボンプライシング提言:2030年GHG排出削減目標と国際競争力強化の同時達成に向けて」を公表しました。当社は186団体(企業140、自治体9、団体・NGO等37)のうちの1団体としてこの提言に賛同しました。東証プライム企業61社などの大企業や近江八幡市、川崎市、京都市、札幌市、世田谷区、東京都、豊中市、浜松市、武蔵野市が賛同を表明しています。
2:提言の内容
本提言は、2030年までに日本の温室効果ガス排出量半減を可能にするカーボンプライシングを日本で実現させ、国際競争力ある経済への道を開くことを目指すものです。
そのために、現在の政府案を改善し、
・導入時期を2025年を目処に前倒しすること
・IEAの示す130ドル/t-CO2など2030年における十分な炭素価格を目指すこと
・企業の自主性任せでなく、対象部門の総排出量上限(キャップ)の設定と制度参加・排出削減の義務づけで世界と同等のキャップ&トレード型排出量取引制度に作り替えること
など今後の制度設計で満たされるべき6つの原則を提示しています。
原則は以下の6つです。
(1) 2030 年削減目標達成に向けて 2025 年を目処として実効性の高いカーボンプライシング制度を導入するべき
(2) 一定の要件を満たす企業を一律に制度の対象として公平性を担保するべき
(3) 世界に比肩する水準で将来の炭素価格を明示するべき
(4) 国際的なルールに適合した制度とするべき
(5) 公正な評価のもと排出削減が困難な企業の削減を政府収入により支援するべき
(6) カーボンプライシングの立案・評価・更新では透明性を確保するべき
3:旅行の移動時におけるCO2排出量の大きさを認識することが大切
当社では旅行の移動時におけるCO2排出量の大きさを認識し、その削減努力を全力で取り組む必要があると考えています。日本までの外国人旅行客のCO2排出量は749kg(*)にもなります。もちろん、日本人が海外に行く際も同じです。うち、138kgが荷物20kgによる排出量です。
出所:ICAO「CARBON EMISSIONS CALCULATOR」、国立環境研究所「日本の温室効果ガス排出量データ」
日本滞在7日間におけるCO2排出量は34kgだけです。日本人平均の家庭における1日当たりCO2 排出量4.9kgであるためです。従って、日本までの外国人旅行客のCO2排出量は749kgは154日分にもなります。荷物による138kgだけでも28日分になります。旅行関係者の多くはこの点を認識していないと思います。まずはこの事実を知ることが大切です。
旅行者は移動しないと旅行できませんが、荷物は減らすことが可能です。従って、旅行時に排出するCO2に対して、カーボンプライシング制度を導入することは移動時におけるCO2排出量の大きさを広く認識させることに繋がるため、当社は大賛成です。IEAの示す130ドル/t-CO2で計算すると日本を往復する旅行客のCO2排出量749kgはUSD97(146円/USD換算で18,980円)となります。
多くの皆さんは日々、CO2削減努力をしていると思います。しかし、旅行時にCO2削減努力をしないと日々の努力は水泡に帰すことになります。是非、この事実を多くの人に広げましょう。また、移動時におけるCO2排出量を削減する際には衣類レンタルも選択肢の一つとして考えて頂ければ有難いです。
(*)ニューヨーク、シンガポール、台北の3都市のからの旅行客の平均。旅行客1名がエコノミークラスで日本(成田空港)を往復するとニューヨークでは942kg、シンガポールでは594kg、台北では147kgのCO2排出量となります。3都市平均では612kgとなります。一方、成田空港と各都市の荷物(20kgの場合)によるCO2排出量(往復)はNYが244kg、シンガポールが114kg、台北が55kgと旅行者による排出量の18-26%となります(旅行客、荷物のCO2排出量の出所はICAO「CARBON EMISSIONS CALCULATOR」)。また、荷物によるCO2排出量は3都市平均では138kgとなります。