2月にお勧めの茨城県の郷土料理
目次
1、はじめに
2月にお勧めの茨城県の郷土料理は「あんこう料理」と「そぼろ納豆」です。農林水産省が選ぶ「郷土料理百選」に両方とも選ばれています。茨城県の「あんこう料理」は全国的に有名ですし、納豆も「水戸納豆」のブランドで有名です。「あんこう料理」と「そぼろ納豆」が「郷土料理百選」に選ばれるのは当然でしょう。なお、保存食でもある「そぼろ納豆」は年中食べられます。
2、あんこう料理
全国漁業協同組合連合会は、茨城県の冬の「PRIDE FISH」に、「茨城あんこう」(旬:12月~2月)と「茨城常磐のまさば」(旬:11月~1月)を選んでいます。この「茨城あんこう」を使うわけですから、茨城県の「あんこう料理」がおいしくない訳がありません。
「あんこう料理」はあんこう鍋、共酢和え、どぶ汁、などの料理です。あんこう鍋はあんこうの切り身を入れた鍋です。どぶ汁は水を使わず、大根などの野菜あんこうの水分だけで作る味噌の鍋です。あんこうの肝が溶け出して汁がどぶのように濁ることからどぶ汁と呼ばれています。
あんこうの共酢和えは茹でたあんこうを肝入りの酢味噌につけて食べる料理です。あんこう鍋、どぶ汁は全国で食べられますが、共酢和えは茨城県特有の料理です。従って、最も典型的な茨城県の郷土料理として挙げるべき料理は「あんこうの共酢和え」と言えるでしょう。
出典:農林水産省Webサイト
「2月に旬を迎える魚介類②」でも指摘したように、茨城県の鮟鱇の漁獲量は全国4位です。茨城県の鮟鱇は量で勝負というよりも味で勝負というところでしょうか。昔から、「西のフグ 東のアンコウ」と言われてきたように、味では全国的に有名で、だからこそ、「郷土料理百選」にも選ばれているのだと思います。
3、そぼろ納豆
「そぼろ納豆」は納豆と刻んだ切干大根を醤油などで味付けした料理です。納豆と切干大根の食感の違いを楽しめます。日持ちするので保存食にもなります。「そぼろ納豆」は「しょぼろ納豆」とも呼ばれます。「しょぼろ」とは「そぼろ」の方言です。
「そぼろ」という言葉がぼろぼろと細かい様子を表すことから「そぼろ納豆」という名前がついたと言われています。
出典:農林水産省Webサイト
統計はありませんが、茨城県は納豆の生産量日本一と言われています。先述の「水戸納豆」のように、茨城県は納豆のイメージが強い県です。しかし、2020年の家計調査によると茨城県水戸市の一人当たり納豆支出金額は主要都市で5位(年間6,228円)でした。なお、1位は福島市(7,251円)、2位は山形市(6,543円)、3位は盛岡市(6,460円)、4位は仙台市(6,228円)と東北の都市が上位を独占します。いずれにせよ、「水戸納豆」として有名な水戸市が全国1位でないことは意外です。あんこうの漁獲量も全国4位なので、茨城県の郷土料理は質だけでなく、量でも全国1位を目指してほしいです。
4、パイタ焼き
残念ながら、農林水産省の「御当地人気料理特選」は茨城県から選ばれていません。ここでは茨城県の郷土料理として、「パイタ焼き」を取り上げます。
出典:農林水産省Webサイト
「パイタ焼き」とはサンマやイワシを叩いて、ねぎ、しょうがなどの薬味や味噌・卵などを混ぜて小麦粉を繋ぎにし、楕円形の形にしたものを焼いた漁師料理です。アジを叩いて薬味と混ぜ合わせて作る千葉県の「さんが焼き」と似た料理といえます。
「2月に旬を迎える魚介類②」でも指摘したように、茨城県の漁の特徴は漁獲量の96%がまき網漁であるということです。まき網漁はサバ・イワシ・アジなど大きな群(むれ)をつくって回遊する魚を獲る漁法です。2020年において茨城県の漁獲量はイワシが全国1位、サバが全国3位です。こうした回遊魚を漁獲する茨城県ならではの郷土料理が「パイタ焼き」と言えるでしょう。
なお、「パイタ」とは舟を漕ぐ櫂(かい)のことで、船乗りが櫂(かい)の平らな部分でサンマやイワシを叩いて焼いたことから、「パイタ焼き」と呼ばれています。