6月に旬を迎える魚介類
6月に旬を迎える魚介類を日本全体とトップにランクされる都道府県に分けてご紹介します。なお、旬は天候変動による水揚げ状況により、地域によっても、年によっても異なる可能性があるため、あくまでも参考データとして考えてください。
目次
1、6月に旬を迎える魚介類(日本全体)
6月に旬を迎える魚介類は調査した87種類の中で33種類と1年間で2番目に多くなります。順不同で33種類の魚介類を列挙しますと以下の様になります。
魚類
真鰺、穴子、鮎、伊佐木、鰯、かじきまぐろ、かます、鰈(かれい)、かわはぎ、かんぱち、きす、きびなご、鰆(さわら)、縞鰺、すずき、どじょう、とびうお、まぐろ、めばる
貝類
栄螺(さざえ)、トリ貝、帆立
その他魚介類
アオリイカ、アカイカ、甲イカ、スルメイカ、ウニ、車海老、毛蟹、ホタルイカ、海鞘(ほや)、真蛸、もずく
6月に旬を迎える魚介類の種類・漁獲量が多い都道府県は1位が宮城県(9種類の魚介類)、2位が長崎県(8種類)、3位が北海道、島根県(7種類)、5位が愛媛県(6種類)となります。
2、1位宮城県(9種類の魚介類)
6月に旬を迎える魚介類の種類・漁獲量が多い都道府県は1位が宮城県(9種類の魚介類)でした。宮城県は2カ月連続の1位となりました。
宮城県では、以下の9種類が6月に旬を迎える魚介類となります。
魚類
穴子、鰯、かじきまぐろ、すずき、まぐろ
貝類
帆立
その他魚介類
ウニ、海鞘(ほや)、真蛸
「PRIDE FISH」
全国漁業協同組合連合会は、宮城県の春の「PRIDE FISH」に「みやぎサーモン」(旬:4月~7月)、夏の「PRIDE FISH」に「ホヤ(マボヤ)」(旬:6月~8月)、「表浜アナゴ」(旬:6月~8月)を選んでいます。「みやぎサーモン」は「4月に旬を迎える魚介類」でご紹介しました。
「ホヤ(マボヤ)」(旬:6月~8月)
宮城県は海鞘(ほや)の収穫量が日本1位(2020年)です。2位は北海道、3位は岩手県です。4位は青森県となり、日本における海鞘の収穫はこれら4都道府県に限定されます。海鞘養殖の発祥も宮城県(唐桑町)です。気仙沼市の近隣にある唐桑町では海鞘養殖が約120年前に開始されました。また、海鞘食の歴史は約1000年前の平安時代前期からと言われています。
海鞘は「海のパイナップル」とも呼ばれています。「海のパイナップル」という名前から海鞘を植物と誤解されることもありますが海鞘は脊索動物門に属する海産動物です。
旬の時期の海鞘独特の甘みはとても美味しく、私は大好きな海産物です。
「表浜アナゴ」(旬:6月~8月)
宮城県は穴子の漁獲量が全国3位(2020年)です。なお、1位は長崎県、2位は島根県です。
「表浜アナゴ」は石巻市表浜地区で獲れる穴子です。表浜地区では約90年前に穴子漁が始まりました。穴子は筒状の漁具におびき寄せるアナゴ筒漁で獲ります。アナゴ筒漁は底引き網漁とは違い魚体を傷つけないため、味が良い高品質な穴子を獲ることができます。また、石巻市表浜地区が面する仙台湾は親潮と黒潮の潮目に位置し、プランクトンが豊富な世界でも有数の穴子の生育に適した漁場です。「表浜アナゴ」は「北限のアナゴ」や「牡鹿アナゴ」とも呼ばれており、東京の豊洲市場等で品質が高い評価を受けています。
3、2位長崎県(8種類)
6月に旬を迎える魚介類の種類・漁獲量が多い都道府県は2位が長崎県(8種類の魚介類)でした。
長崎県では、以下の8種類が6月に旬を迎える魚介類となります。
魚類
真鰺、穴子、伊佐木、鰯、とびうお
貝類
栄螺(さざえ)
その他魚介類
スルメイカ、ウニ
「PRIDE FISH」
全国漁業協同組合連合会は長崎県の春の「PRIDE FISH」に、「真あじ(ごんあじ・野母(のも)んあじ)」(旬:4月~6月)を、夏の「PRIDE FISH」に、「長崎のイサキ」(旬:6月~9月)を選んでいます。「真あじ(ごんあじ・野母(のも)んあじ)」については「4月に旬を迎える魚介類」で紹介しました。
「長崎のイサキ」(旬:6月~9月)
長崎県は伊佐木の漁獲量が全国1位(2020年)でシェアは31%となります。なお、2位は福岡県、3位は山口県です。伊佐木は背びれが鶏の鶏冠に似ていることから「鶏魚」とも書かれます。英語でも伊佐木はChicken gruntとchickenが名前に入ります。産卵期である6~7月の脂がのった伊佐木は「梅雨イサキ」と呼ばれ、その格別な味が高く評価されています。濃厚な脂を堪能できる刺身、焼き物がおすすめです。
4、3位北海道(7種類)
6月に旬を迎える魚介類の種類・漁獲量が多い都道府県の3位は北海道(7種類の魚介類)でした。なお、島根県も3位です。
北海道では、以下の7種類が6月に旬を迎える魚介類となります。
魚類
鰈(かれい)
貝類
帆立
その他魚介類
アカイカ、スルメイカ、ウニ、海鞘(ほや)、真蛸
「PRIDE FISH」
全国漁業協同組合連合会は、北海道の春の「PRIDE FISH」に「石狩湾のニシン」(旬:1月~5月)、「日高の真つぶ」(旬:4月~7月)、「北海道の時鮭」(旬:4月~7月)を、夏の「PRIDE FISH」に「日本海の甘えび」(旬:5月~7月)、「厚岸のかき」(旬:5月~8月)を選んでいます。「石狩湾のニシン」、「日高の真つぶ」、「北海道の時鮭」、「日本海の甘えび」については、以前ご紹介したので、説明を割愛します。
「厚岸のかき」(旬:5月~8月)
厚岸(あっけし)では1年中牡蠣が食べられます。1年中、牡蠣を食べられる場所は厚岸だけです。厚岸は寒流の影響により夏でも海水温が上がりにくく、牡蠣の成長が遅くなり養殖の時期をコントロールできます。そのため、1年中、牡蠣を出荷することができます。水温が低いと牡蠣の成長が遅くなるため、ゆっくり育ち、長い期間栄養を取り続けることで大きく成育します。
夏の「PRIDE FISH」に「厚岸のかき」が選ばれたのは他ではなかなか食べられない夏だから、という理由です。「厚岸のかき」の最も美味しい時期は12月~2月とされています。
厚岸は地名の語源がアイヌ語の「アッケケシ(かきのあるところ)」という説があるほど、古くより牡蠣の産地として知られています。
5、3位島根県(7種類)
6月に旬を迎える魚介類の種類・漁獲量が多い都道府県は3位が島根県(7種類の魚介類)でした。なお、北海道も3位です。
島根県では、以下の7種類が6月に旬を迎える魚介類となります。
魚類
真鰺、穴子、伊佐木、鰈(かれい)、鰆(さわら)、とびうお
貝類
栄螺(さざえ)
その他魚介類
無し
「PRIDE FISH」
全国漁業協同組合連合会は、島根県の夏の「PRIDE FISH」に「あご」(旬:6月~8月)を選んでいます。1年間で4種類しかない島根県の「PRIDE FISH」の1つです。
「あご」(旬:6月~8月)
「あご」とは「飛魚(とびうお)」のことです。島根県民には「夏を告げる魚」として親しまれています。また、島根県の「県の魚」に指定されています。飛魚は滑空時には500mも飛ぶことがあるようです。現在は主流の漁法ではありませんが、空中に飛んでくるアゴをタモ網で狙って掬う「あご掬(すく)い漁」という伝統的な漁法があります。
産卵のため体に栄養を蓄える6月~8月が飛魚の旬となります。飛魚の獲れたてを刺身や焼き魚でいただきます。
島根県や鳥取県では飛魚をすり潰して練り物にしたものを焼いた「あごのやき」という特産品があります。「あごのやき」は農林水産省の「郷土料理百選」に鳥取県の郷土料理として選ばれていますが、島根県でも鳥取県同様に製造販売されています。
飛魚の卵は「トビッコ」と呼ばれ、珍味や寿司ネタになります。また、煮干加工した「あごだし」は料理の出汁をとるのに使われます。
6、5位愛媛県(6種類)
6月に旬を迎える魚介類の種類・漁獲量が多い都道府県は5位が愛媛県(6種類の魚介類)でした。
愛媛県では、以下の6種類が6月に旬を迎える魚介類となります。
魚類
真鰺、鮎、かんぱち、縞鰺
貝類
無し
その他魚介類
甲イカ、車海老
「PRIDE FISH」
全国漁業協同組合連合会は、愛媛県の春の「PRIDE FISH」に「びやびやかつお」(旬:4月~6月)、夏の「PRIDE FISH」に「松山沖のマダコ」(旬:6月~9月)を選んでいます。
「びやびやかつお」(旬:4月~6月)
「びやびやかつお」の「びやびや」とは愛媛県愛南町の方言で「あまりに新鮮で包丁が入らないほど弾力があること」という意味です。愛南町の深浦漁港で水揚げされた漁港周辺でしか食べることができない希少な鰹です。愛南漁協が管理し品質の確かさを認めたものだけが「びやびやかつお」を名乗ることができます。
現在は愛南漁業協同組合が品質管理などにおいて公認した数店舗のみでの取り扱いとなっています。「びやびやかつお」は一匹ごとにナンバリングしてタグをつけ、品質管理されています。
深浦漁港は鰹の水揚げ量四国一ですが、愛媛県全体での鰹の漁獲量は全国16位となります。
「松山沖のマダコ」(旬:6月~9月)
「松山沖のマダコ」が獲れる伊予灘は潮の流れがはやく、エサとなる甲殻類や貝類が豊富です。マダコは伝統的な「たこ壺漁」により漁獲されます。「たこ壺漁」は、たこの体を傷つけず、タコにストレスがかかっていない状態でとれるのが特徴です。愛媛県全体での蛸の漁獲量は全国19位となります。
なお、全国漁業協同組合連合会が兵庫県の夏の「PRIDE FISH」に選ぶ「明石だこ」の旬も6月~9月になります。