【データで解き明かす】インバウンド富裕層の満足度を最大化する「体験」戦略
目の肥えたお客様の「高い満足度」のために、忘れられない日本旅行を企画するプロフェッショナルとして、ラグジュアリー旅行関係者は常に、定番の行程を超えたユニークな体験を探し求めていることでしょう。
しかし、主観的な旅行ブログや個人の感想で溢れる世界で、一体どのアクティビティが、真にその最高の顧客満足度をもたらすと、私たちは確信できるのでしょうか?仮に、ラグジュアリー旅行会社の担当者がその体験を気に入ったとしても、それはその担当者の「主観」に過ぎないのです。
今回の分析ガイドは、他とは一線を画します。私たちは、単なる感想や主観性を排除します。
その代わりに、私たちは、公的なデータと深い市場への洞察に基づき、高価値な旅程を作成するための、データ分析によるアプローチを提示します。どの体験が最も深遠な思い出を作り出すのか、なぜそれが現代の旅行者の心に深く響くのか、そして、貴社がそれらをいかにスムーズかつ確実に提供できるのかを、明らかにします。
ここに、貴社のビジネスを新たな成功へと導く、日本への新しい視点をご提案します。
旅行プロフェッショナルのための4つの重要なインサイト
- データが示す「満足度の法則」 日本の観光庁の公式データは、「伝統文化体験」など文化体験が旅行者の満足度と最も高い相関(+0.82)を持つのに対し、「ショッピング」は負の相関(-0.38)を持つことを証明しています。
- 「体験」こそが新しいラグジュアリー:世界的な潮流 「リアルなものへの探求」は、世界的なメガトレンドです。目の肥えた旅行者にとって、本物の「コト消費(体験)」は、物質的な「モノ消費」よりも価値が高まっています。
- 証明され、成長し続ける需要 欧米豪からの旅行者の70%以上が、すでに文化体験に参加しており、その需要は成長を続けています。さらに、MICE市場では、参加者の73%がこれらの体験を強く求めています。
- 「東京」という戦略的な解決策 京都がオーバーツーリズムと予約困難という課題に直面する一方、東京は、この重要な「高満足度体験」を提供する、アクセスしやすく、本物で、質の高い代替案となります。

データが証明する、最高の顧客満足度を生むのは「伝統文化体験」である
高価値な日本の旅程を作成する旅行のプロにとって、この一つの事実は重要です。私たちの分析の基盤となるのが、日本の観光庁による包括的なレポート「インバウンド消費動向調査」です。
信頼性の高い結論を導き出すため、私たちは、コロナ禍を除いた、5年間(2017, 18, 19, 23, 24年)にわたる、巨大なデータセットを分析しました。このデータセットは、20か国、105,330人もの回答者を含んでおり、総データ数は1,400にもなります。多くのデータによりインバウンド旅行者の行動に関する、深く、多様な洞察を提供してくれます。
私たちが特に注目したのは、「旅行者が参加したアクティビティ(今回したこと)」と、「旅行全体の満足度」との関係です。具体的には、特定のアクティビティに参加した旅行者の割合と、旅行全体を「大変満足」と評価した旅行者の割合との間の相関分析を行いました。この膨大な公的データを分析することで、私たちの調査結果は、高い客観性を確保できたと考えています。
その結果は、旅行業界の多くのプロにとっても新鮮な結果ではないでしょうか?
体験したアクティビティ割合と日本旅行「大変満足」の回答割合との相関係数

出所:観光庁「インバウンド消費動向調査(2017, 18, 19, 23, 24年)」
【満足度と最も高い相関を示したアクティビティ】
- 0.82: 日本の歴史・伝統文化体験
- 0.81: 日本の日常生活体験
- 0.81: 美術館・博物館・動植物園・水族館
- 0.66: 日本のポップカルチャーを楽しむ
- 0.62: 自然体験ツアー・農山漁村体験
【満足度との相関が最も低かったアクティビティ】
- 0.09: 旅館に宿泊
- 0.05: テーマパーク
- -0.11: 温泉入浴
- -0.38: ショッピング
このデータは、否定しようのない物語を語っています。 能動的な参加、学び、そして文化的な没入感を伴うアクティ-ビティが、旅行者の満足度と、圧倒的に強い正の相関を示しているのです。
しかし、ここで一つの重要な疑問が浮かぶかもしれません。 「日本食や温泉といった定番のアクティビティは、誰もが楽しむものではないのか?」と。
その通りです。実際、観光庁の別のデータ(各アクティビティを体験した人のうち、「満足した」と回答した人の割合)を見ると、「日本食を食べること」は97%、「温泉入浴」は96%と、体験者の満足率そのものは、非常に高いのです。
各アクティビティの満足した人の割合(%)

出所:観光庁「インバウンド消費動向調査(2024年)」
そして、この「一見、矛盾に見える二つのデータ」こそが、この今回の分析の最も重要な洞察です。
満足率が非常に高いという事実は、これらの体験が、訪日旅行における「あって当たり前の、基本的な期待値」であることを証明しています。
しかし、「日本旅行全体」を「大変満足」だったという最高の評価へと引き上げる力(相関係数)は、弱いのです。なぜなら、誰もが期待し、満足するのが「当たり前」だからです。目の肥えた旅行者にとって、それらは旅を「素晴らしい」から「生涯忘れられない」ものへと引き上げる、強力な差別化要因ではなくなっているのです。
したがって、顧客満足度を真に最大化するためには、この「当たり前」を超える、満足度の相関が高いアクティビティを旅程に組み込むことが不可欠になっています。それこそが、データの頂点に示された、本物の伝統文化体験のような「唯一無二の体験」なのです。

「リアル」の探求:なぜ、「日本のユニークな体験」こそが新しいラグジュアリーなのか
デジタルのスクリーンとバーチャルな世界が溢れる時代において、私たちの価値観にシフトが起きています。消費者はますます、ある種の「リアル欠乏症」とも言える、手で触れられる、本物で、かけがえのない瞬間への深い渇望を感じています。これは単なる感覚ではありません。これは世界的な経済トレンドであり、データがそれを明確に示しています。
98%
の旅行者が、行き先を決める際に「体験」が極めて重要だと考えている
– GetYourGuide
74%
の消費者が、物理的な「モノ」よりも「体験」への支出を優先している
– McKinsey & Company
77%
の人々が、「現実世界で」物事を体験することが重要だと考えている
– Euromonitor International
世界的な市場調査会社ユーロモニター・インターナショナルによると、実に77.3%もの人々が、「現実世界で」物事を体験することが重要だと回答しています。
さらに、マッキンゼー・アンド・カンパニーの調査(Luxury Travel Advisor引用)では、米国消費者の74%が、物質的なプロダクトよりも体験にお金を使いたいと考えていることが明らかになりました。これは、ラグジュアリーの根本的な再定義を意味します。もはや、何を「所有しているか」ではなく、何を「体験し」、どのような「自分になるか」が重要になっているのです。
この「リアルの探求」が、旅行という分野以上に顕著に現れる場所はありません。旅行体験の予約サイトGetYourGuideのレポートによると、旅行者の実に98%が、目的地を選ぶ際に体験が極めて重要な要素であると考えています。彼らはもはや、ただ航空券とホテルを予約しているのではありません。彼らは、より良い思い出を予約しているのです。
このトレンドは、日本国内でも強く反映されています。ぴあ総研によると、数年間のコロナ禍の後、2023年の国内ライブ・エンタテインメント市場は過去最高を記録しました。これは、その場でしか味わえない、二度と繰り返すことのできない瞬間への、巨大な潜在需要があることを示しています。
これらのデータは、現代のラグジュアリー層の旅行者にとって、最も価値のある商品は「本物の体験」であることを証明しているのではないでしょうか。

究極の証明:なぜ、長い時間は「面白い」ことを保証するのか
しかし、満足度につながる「体験」の代表格である伝統文化体験は、なぜ、これほどまでに深く面白いのでしょうか? その証明は、それらが「数百年間も残ってきた」という事実そのものにあります。
何百年もの間、日本は数え切れないほどの戦乱や世界的な戦争、火山の噴火や大地震といった大規模な自然災害、そして飢饉に耐えてきました。それでもなお、これらの伝統は生き残ってきたのです。
文化とは、食べ物や住まいとは違い、人間がただ生きていく上で、絶対に必要なものではありません。それが存続してきた理由は、ただ一つ。何百年もの間、世代を超えて累計すれば数百万人にも及ぶであろう、途切れることのない人々の連鎖が、それを深く「面白い」と感じてきたからです。
時代の荒波を乗り越え、人々に選ばれ、支えられ、受け継がれてきた伝統芸能や伝統工芸などの伝統文化。 それは、数百年間も続いてきたことにより面白いことが保証されているのです。時間によって選び抜かれた、傑作なのです。

証明された需要:文化体験へと向かう、圧倒的な潮流
前のセクションで示した「伝統文化体験」が、最高の満足度を生み出す」という事実は、一部の文化愛好家だけのものではありません。「インバウンド消費動向調査」のデータは、それがすでに多数派に利用されている需要であり、かつ、力強く成長している市場であることを明確に示しています。
主要な欧米市場における、主流となった需要
まず、2024年のデータでは、「伝統文化体験」がすでに多くの国からの旅行者にとって主要なアクティビティであることを示しています。この傾向は、ラグジュアリー旅行セグメントの大部分を占める欧米市場で特に顕著です。
日本の歴史・伝統文化を体験したインバウンド旅行者の割合(2024年)

出所:観光庁「インバウンド消費動向調査(2024年)」
- スペイン: 83%
- 英国: 82%
- ドイツ: 81%
- フランス: 80%
- 米国: 73%
- オーストラリア: 71%
このように、欧州、米州、そしてオーストラリアからの旅行者の70%以上が、すでに伝統文化体験に参加しています。これは、これらのアクティビティがニッチな興味の対象ではなく、インバウンド客にとって、旅程に不可欠な要素であることを示しています。
コロナ禍後の変化:旅行者は「見ること(観光)」より「すること(体験)」を選んでいる
さらに興味深いのは、コロナ禍を経て、旅行者のニーズが明確に変化している点です。2019年と2024年のアクティビティ経験率を比較すると、大きな潮流の変化が見て取れます。
訪日外国人旅行者のアクティビティ経験率の変化(2024年 vs 2019年)

出所:観光庁「インバウンド消費動向調査(2019年, 2024年)」
- 減少したアクティビティ:
- 温泉入浴: -6.9ポイント (36.2% → 29.3%)
- 旅館に宿泊: -5.7ポイント (30.9% → 25.3%)
- 増加したアクティビティ:
- 日本の日常生活体験: +5.9ポイント (20.5% → 26.4%)
- 日本のポップカルチャーを楽しむ: +5.6ポイント (14.1% → 19.7%)
- 美術館・博物館: +3.5ポイント (31.9% → 35.4%)
- 伝統文化体験: +2.6ポイント (29.7% → 32.3%)
このデータは驚くべき事実を明らかにしています。満足度との相関が低かった温泉や旅館での宿泊といったアクティビティは、参加率も減少しています。一方で、満足度が最も高かった文化体験や日常生活体験といった、能動的で没入感のある体験は、需要が力強く伸びています。旅行者は、無意識のうちに、自らを本当に満たしてくれるものへと、その行動をシフトさせているのです。
成長のエンジン:欧米からの関心の急増
では、伝統文化体験への需要の伸びを牽引しているのは、どの市場でしょうか?国別の経験率の変化が、その答えを明確にしています。
伝統文化体験の経験率の変化(2024年 vs 2019年)

出所:観光庁「訪日外国人消費動向調査(2019年, 2024年)」
- イタリア: +16.4ポイント (59.5% → 76.0%)
- フランス: +14.9ポイント (65.4% → 80.2%)
- スペイン: +10.3ポイント (72.6% → 82.9%)
- ドイツ: +6.2ポイント (74.5% → 80.7%)
- 米国: +4.5ポイント (68.7% → 73.2%)
- オーストラリア: +4.4ポイント (67.1% → 71.5%)
伝統文化体験への関心の高まりは、特に欧米市場で顕著です。これは、ラグジュアリー旅行市場において、これらの国からのゲストに、質の高い文化体験を提供することが、今後のビジネス成長の鍵となることを示唆しています。

MICE旅行者の伝統文化体験への渇望
この巨大なニーズは、レジャー旅行者に留まりません。MICE(会議・報奨旅行・国際会議・展示会)市場において、そのニーズはさらに強くなります。
観光庁の2023年のレポートによると、外国人MICE参加者が開催地に期待する体験コンテンツを尋ねたところ、「伝統文化体験」が72.9%で圧倒的な1位でした。これは、2位の「テクニカルビジット(専門施設訪問)」(48.5%)を大きく引き離しています。
MICE開催地で期待される体験コンテンツ(2023年)

出所:観光庁「MICE総消費額等調査事業報告書(2023年)」
MICE参加者とラグジュアリー旅行者のセグメントは、多くが重なります。このデータは、価値の高い旅行者が、ビジネスの文脈においてさえも求める体験が、まさに「本物の文化」であることを決定的に示しているのです。
これらのデータが導き出す結論は、一つしかありません。
「伝統文化体験」は、もはや旅程の片隅に置かれる単なるオプションではありません。それは「主役」なのです──①すでに多くの利用率があり、②コロナ禍を経てさらに需要が伸び、③特に欧米の富裕層に強く求められ、そして④MICE旅行者も渇望している、アクティビティなのです。
つまり、データは「何を(WHAT)」すべきかと「なぜ(WHY)」そうすべきかを示してくれました。全ての旅行のプロにとっての最後の問いは、「誰と(WITH WHOM)」、「どのように(HOW)」それを行うか、です。

「伝統文化体験」の提供へ:株式会社EDO KAGURAとのパートナーシップ
データは明確であり、「伝統文化体験」の満足度と高いニーズは証明されました。顧客満足度を最大化し、新しい高価値市場を切り開く道は、本物の伝統文化体験を提供することにあります。
最後の問いは「何を」ではなく、「誰と」「どのように」です。どのように、これらの希少な体験を調達するのか?その質と本物感を、どう保証するのか?真にラグジュアリーな旅程の基準を満たす形で、どう提供するのか?
私たち、株式会社EDO KAGURAは、単なる旅行代理店ではありません。私たちは、プレミアムブランドである「神楽坂雅遊(Kagurazaka Refined Wander)」を通して、伝統文化を知り尽くした文化のコンシェルジュとして活動しています──東京の歴史的な街でもあり、地理的な中心地である神楽坂を拠点とする専門家チームです。私たちの使命は、世界で最も目の肥えた旅行者と、日本の最も貴重で、しばしばアクセス不可能な文化の宝との間の、架け橋となることです。また、既に多くの富裕層が当社が提供する伝統文化体験を利用しています。
私たちは、長年にわたって築き上げてきた地域との深い繋がりを活かし、このデータが示す、まさにその高満足度体験──能楽師や芸者とのプライベートなコミュニケーションから、歴史ある寺院での静謐な坐禅まで──を提供します。私たちはその複雑さを引き受け、貴社のクライアントであるラグジュアリー旅行者(高付加価値旅行者)に、シームレスで、深遠な、忘れられない出会いを提供します。
私たちが提供する、高満足度体験として、現在のコレクションをご紹介します。
体験分類リスト
凡例
- ターゲット: FIT (個人旅行者) / MICE (会議・報奨旅行・国際会議・展示会)。
- 料金帯: 体験料金の相対的な目安です。星の数が多いほど(★★★★★)、より特別で高価な体験となります。
伝統芸能
- ターゲット: FIT / MICE
- 推奨人数: 2〜30名
- 料金帯: ★★★★☆
- 特徴・最適な用途: VIPのおもてなし、記念日、誕生日に。本格的な花街文化を体験。
- ターゲット: FIT (通) / MICE
- 推奨人数: 2〜30名
- 料金帯: ★★★★☆
- 特徴・最適な用途: 「芸者宴会も体験済み」という究極のVIP向け。芸者との組み合わせで江戸時代の宴会を再現。
- ターゲット: FIT / MICE
- 推奨人数: 2〜30名
- 料金帯: ★★★★★
- 特徴・最適な用途: 記念日などのお祝いに。視覚的に華やかで、パーティーやイベントのアトラクションに最適。
- ターゲット: FIT / MICE
- 推奨人数: 2〜30名
- 料金帯: ★★★★☆
- 特徴・最適な用途: 日本独自の伝統奇術。驚きと芸術性が融合し、エンターテイメント性が高い。
- ターゲット: FIT / MICE
- 推奨人数: 2〜30名
- 料金帯: ★★★★★
- 特徴・最適な用途: 1000年以上の歴史がある日本最古の古典音楽。知的好奇心の高い層、厳かな式典などに。
- ターゲット: FIT / MICE
- 推奨人数: 2〜200名
- 料金帯: ★★★★☆
- 特徴・最適な用途: サムライ精神を深く探求。歌舞伎鑑賞と合わせると日本文化をより深く理解。
胡弓・琴・三味線演奏
- ターゲット: FIT / MICE
- 推奨人数: 2〜30名
- 料金帯: ★★★☆☆
- 特徴・最適な用途: 日本の伝統的な音色に浸る、心地よい時間。食事中のBGMとしてもアレンジ可能。
伝統工芸
- ターゲット: FIT
- 推奨人数: 2〜6名
- 料金帯: ★★☆☆☆
- 特徴・最適な用途: 自身の手で北斎など芸術作品を生み出す、創造的な体験。個人旅行者や少人数グループに。
- ターゲット: FIT
- 推奨人数: 2〜8名
- 料金帯: ★★☆☆☆
- 特徴・最適な用途: 集中力を高める、瞑想的な手仕事体験。お土産としても価値が高い。
- ターゲット: FIT
- 推奨人数: 2〜6名
- 料金帯: ★★☆☆☆
- 特徴・最適な用途: 「粋」な模様を生み出してきた伝統染色。日本の色への感性に触れる、アーティスティックな体験。
食体験
- ターゲット: FIT
- 推奨人数: 2〜8名
- 料金帯: ★★☆☆☆
- 特徴・最適な用途: 日本の侘び寂びという美意識の凝縮。静寂と調和を体験したいゲストに。
貴社の大切なクライアントのために、忘れられない旅を共に創造しましょう。
