1月の日本旅程(山形旅行)のまとめ、注意点
1月25日(火)から1月28日(金)にかけて山形県を旅行しました。今回の旅行では旬の魚介類や郷土料理を多く食べられ、国宝や国の重要文化財など素晴らしい観光地を訪問することができました。同一県内の旅行でしたが、山形県は地方によって文化、食文化が異なるため、様々な大満足の旅行となりました。皆さんに強くお勧めしたい1月の日本旅程です。また、今回の旅行のまとめといくつかの注意点を報告します。
目次
1、今回の日本旅程で食べられた「郷土料理百選」と「御当地人気料理特選」
毎回繰り返しますが、今回の旅程も「旬の魚介類と郷土料理を食べ尽くす」という目的で作成したものです。食が最優先で、観光地の優先順位は2番目です。とはいえ、国宝や国の重要文化財など観光スポットをできるだけ多く回ることを目指しました。今回の旅行では雪の交通機関への影響が全くなく、事前に作成した旅程通りに旅行ができました。ただし、冬に山形県を旅行する際には余裕を持ってゆっくり旅行することをお勧めします。
1、今回の日本旅程で食べられた「郷土料理百選」と「御当地人気料理特選」
山形県:いも煮、どんがら汁
いも煮は日本全国で有名な山形県の郷土料理です。里芋、こんにゃく、ネギ、肉類を入れて煮込む美味しい料理です。屋外で大きな鍋で食べる芋煮会は江戸時代の300百年前から行われていました。
私も初日の山形市で今回の旅行の一番最初の食事として芋煮を食べました。芋煮というと地味なイメージの食事に聞こえますが、肉類も使うので、とても美味しい食事です。
山形市周辺の内陸部では醤油ベースの味付けに牛肉を入れることが多いです。一方、日本海側の庄内地区では味噌ベースの味付けに豚肉を入れることが多いです。今回は醤油ベースのスープに牛肉を入れる内陸部の芋煮しか食べられなかったので、次回は味噌ベースのスープに豚肉を入れる庄内地方の芋煮を食べたいと思います。
どんがら汁(寒鱈汁)は寒ダラを用いるので、芋煮と違って山形県全域で食べられるわけではありません。どんがら汁は寒ダラが獲れる庄内地方を中心とする郷土料理です。毎年1月には寒ダラを食べる「寒鱈まつり」が庄内地域の酒田市や鶴岡市を中心に行われています。私が鶴岡市で食べたのはとても美味しいどんがら汁(寒鱈汁)でした。
この写真では汁の中の鱈の身が見えませんが、実際は鱈の身がゴロゴロと入っていました。なお、「どんがら」は、あらを指す言葉で、寒鱈のあらを使って作る汁が「どんがら汁」です。
以下の写真は農林水産省の「うちの郷土料理」の写真を引用したものです。
なお、農林水産省が選ぶ「御当地人気料理特選」には山形県の料理は選ばれていません。
「郷土料理百選」と「御当地人気料理特選」は農林水産省の選定です。
他に、山形県の郷土料理は「しょうゆの実」、「玉こんにゃく」、「からかい煮」、「ハタハタ」、「鯉のうま煮」などを食べられました。
「わらびの一本漬け」も山形県の郷土料理です。山形県はわらびの日本一の生産県でそのシェアは50%を超えます。私はわらびが大好物なので、わらびの一本漬けもおいしくいただきました。
新庄市名物の「とりもつラーメン」を発祥の店の「一茶庵 支店」で食べられました。「とりもつラーメン」に用いられるのは赤モツと呼ばれる心臓・砂肝・キンカン(卵巣)などの部位です。「一茶庵 支店」の「とりもつラーメン」はあっさりした醤油スープと「とりもつ」が絶妙なバランスで一気に食べられます。
このように、今回の旅行では農林水産省の選定の「郷土料理百選」と「御当地人気料理特選」以外にも様々な郷土料理や御当地グルメを食べられました。
なお、山形県は「日本一美食県美酒県山形」と自称する美食美酒自慢の県です。「おいしい山形」というホームページまであります。私も山形県の食事、日本酒はとても美味しいと思います。山形県の空港も名前が「おいしい山形空港」、「おいしい庄内空港」と2つの空港とも美食県をアピールしています。
また、山形県鶴岡市は日本で唯一「ユネスコ食文化創造都市」に認定されています。鶴岡市は日本海の海の幸(サクラマスや寒鱈など)、出羽三山などの山の幸(山菜やきのこなど)、広大な庄内平野の里の幸(米、たけのこ、だだちゃ豆など)など多くの食材に恵まれた場所です。修験の聖地としての精進料理も有名です。鶴岡市は1889年の学校給食発祥の地でもあります。
実は鶴岡市はとても広く、市町村としては日本で7位、東北地方で1位の面積(出所wikipedia、2015年)を誇ります。食材が豊富なのも納得です。
2、今回の日本旅程で食べられた旬の「PRIDE FISH」
山形県:紅えび
山形県の「PRIDE FISH」は「紅えび」(旬:12~1月)です。鶴岡市の「居酒屋せいご」で食べられました。「紅えび」は甘えび(ホッコクアカエビ)のことです。
海老では庄内産のガサエビ(標準和名クロザコエビ)の寿司も食べられました。甘くてぷりぷり感がありとても美味しかったです。
山形県では年間でも「PRIDE FISH」を4種類しか発表していません。私が今回食べた「寒鱈」、「ハタハタ」や春の「サクラマス」などは山形県の特産なので、「PRIDE FISH」にしても良いと思います。先述のように、せっかく山形県が「日本一美食県美酒県山形」と自称する美食美酒自慢の県なのに、「PRIDE FISH」が少なくて残念です。
「PRIDE FISH」は全国漁業協同組合連合会の選定です。
3、今回の日本旅程の注意点(ローカル鉄道)
毎回同じことを書いていますが、大事なことなので繰り返します。今回も旅行のルールとして、レンタサイクルを含む公共交通機関のみを利用する環境配慮型旅行としています。
こちらも再確認となりますが、公共交通機関を利用する旅行は自動車での旅行と比べるとCO2排出量は圧倒的に少なくなります。例えば、国土交通省のデータでは、1人が1km移動する際のCO2排出量は自動車の130gに対し、航空機は98g(自動車の75%)、バスは57g(同44%)、鉄道は17g(同13%)です。
いつも変わりませんが、今回もワンマン列車の乗降方法が分かりにくかったです。「JR山形線」(私は大石田駅から新庄駅まで乗車)と「JR陸羽西線」(私は新庄駅から余目駅まで乗車)、JR羽越本線(私は余目駅から鶴岡駅までなど複数回乗車)は全てワンマン列車でした。
ワンマン列車では乗降の際、ボタンを押してドアを開ける必要があります。また、乗車時は整理券を取り、降車時は整理券とお金を運賃箱に入れて降ります。加茂水族館の最寄り駅である「羽前大山駅」では待合室に整理券を取る機械が設置していました。
乗降の仕方について車内にポスターが貼っていましたが、日本語のみでした。鉄道事業者や観光協会は責任を持って外国語での案内をすべきです。
ワンマン列車の場合は常に1両目に乗るようにすれば安心です。日本の地方を旅行する際には電車の乗降ルールは絶対に覚えておきましょう。ただし、1両目の前方ドアから乗るのか後方ドアから乗るのかは鉄道事業者によって異なります。
細かな注意点は旅行日にそれぞれ書きましたのでご覧ください。
4、身軽な恰好での旅行
こちらも毎回、繰り返しになりますが、今回の旅行でも自分の衣服や電源コードを宿泊先に事前に送り、毎日「手ぶら旅行」を楽しみました。やはり、散歩するような身軽な恰好で旅行するのはとてもラクです。鉄道や飛行機で到着後すぐに行動できるのは時間の有効活用に大切なことです。また、今回のように、雪が降るとキャリーバッグの運搬は雪がない道と比べると何倍も大変になります。冬こそ、「手ぶら旅行」をして欲しいです。今回も旅行の最終日には、洗濯代行業者に旅行中に着た衣服を送り、洗濯もせずにすみました。皆さんにも「手ぶら旅行」の快適さを経験して欲しいです。
5、1月25日(火曜日)1日目
山形空港に到着し、空港バスで山形市内に行きました。
山形市内に到着し、まず始めにバスで「旧山形師範学校本館」に行きました。旧山形師範学校本館の建物は1901年に建設されたもので、国の重要文化財に指定されています。
木造の旧山形師範学校講堂は山形県の指定有形文化財です。屋根の下の意匠が素晴らしいと思います。
次に、旧山形師範学校本館から徒歩で約10分の場所にある「山形県旧県庁舎、県会議事堂」へ行きました。「山形県旧県庁舎、県会議事堂」の現在の建物は1916年6月に完成しました。山形県旧県庁舎と県会議事堂は渡り廊下で結ばれています。両方の建物ともに、国の重要文化財です。
山形駅から徒歩10分程度の距離にある霞城(かじょう、山形城)は斯波兼頼(最上氏初代)が1357年に築城したことに始まります。山形藩の初代藩主の最上義光氏が城郭の整備が行った城です。国の指定史跡、財団法人日本城郭協会が定めた日本百名城です。山形城の面積は国宝の姫路城(兵庫県)よりも広く、日本で5番目の広さだったようです。ただし、築城当初から天守閣がない平城でした。
私の訪問時には本丸一文字門が雪で美しい情景となっていました。
旧済生館本館は1878年に山形県立病院として建設されたものです。1969年に霞城公園内に移転復元されました。現在は山形市郷土館として利用されています。木造三層楼の美しい建物で、明治初期の下見板張擬洋風建築の最高傑作と評価され、国の重要文化財に指定されました。1階部はドーナツ型でとても特徴的な建物です。
旧済生館本館の内部の見学は無料です。
新幹線と旅館の送迎バスで山形駅から銀山温泉へ向かいました。銀山温泉は山形県尾花沢市にある温泉で、最寄り駅は大石田駅です。大石田駅は山形新幹線の停車駅なので、東京駅から乗り換え無しで3時間30分弱でアクセス可能です。大石田駅から各旅館の無料送迎バスで30分で銀山温泉に到着します。NHK連続テレビ小説「おしん」の舞台となったことで脚光を浴び、国内外から多くの旅行客を集めています。
銀山温泉の歴史は1689年に銀山が閉山した後に、湯治場として賑わったことから始まります。その後、1913年の大洪水により温泉街は壊滅しましたが、大正末期から昭和初期に現在の温泉街の光景が作られました。大正ロマン漂う美しい光景が多くの旅行客を魅了しています。特に、銀山温泉の夜景は最高に美しい景色だと思います。
今回、私が宿泊した能登屋旅館は国の登録有形文化財です。NHKの「おしん」のロケも行われました。また、映画「千と千尋の神隠し」の「油屋」のモデルになったと言われています。
また、銀山温泉には漆喰を用いて作られるレリーフである「こて絵(こてえ、鏝絵)」が飾られている旅館が多くあります。こて絵を見ながら散歩するだけでも楽しい温泉街でした。
食事
私が山形駅から銀山温泉に向かう山形新幹線の中で食べたのは「牛肉どまん中」です。米沢名物ではありますが、私が好きな駅弁なので、山形駅で購入しました。「牛肉どまん中」は2013年に東日本駅弁1位に選出された全国的に知名度が高い駅弁です。山形県のブランド米「どまんなか」の上に、牛そぼろと牛肉煮を載せた駅弁で大満足しました。
山形新幹線の車窓からの雪景色を見ながら食べる駅弁は最高でした。
山形県は日本酒生産で有名で、都道府県別ランキングで6位です。全国的に「十四代」、「くどき上手」、「上喜元」、「初孫」など多くの有名な日本酒があります。また、山形県は酒造好適米の「出羽燦々」、「出羽の里」などの開発もしています。以下の写真の「壺天(こてん)」は「出羽燦々」を原料米に使用した男山酒造(山形市)の地酒です。なお、「壺天」を購入したのは山形駅です。
原料米に岡山県の雄町を使用した水戸部酒造(天童市)の「山形正宗」も「うすにごり」の美味しい日本酒でした。「八木橋商店」オリジナルの銀山温泉の日本酒もありました。
夕食は能登屋旅館の部屋でいただきました。物凄く量が多い大満足の夕食となりました。以下の写真の品目を見て頂ければ夕食の量の多さを理解していただけると思います。多くの人たちは食べきれないのではないかと思います。全て美味しかったのですが、もう少し量を少なくしないと残飯が多くなるのではないかと心配してしまいます。
尾花沢牛と米沢豚のしゃぶしゃぶは最高の美味しさでした。
尾花沢牛の美味しさはその気候が育みます。銀山温泉がある尾花沢市は夏には40度近くまで上昇し、冬にはマイナス10度以下の厳しい環境となります。牛はこの寒暖差の厳しい環境を乗り越えるため、自然に脂を身につけます。この極上の脂が尾花沢牛の美味しさの源です。なお、尾花沢牛振興協議会によると尾花沢牛は銀山温泉では4軒の旅館でしか提供されていません。
米沢豚も脂に甘みがあるおいしい豚肉でした。山形県の農業産出額において「豚肉」は「米」や「さくらんぼ」に次いで第3位となります。また、ブランド豚は米沢周辺だけでも「米澤豚一番育ち」、「天元豚」、「米沢三元豚」などがあります。
岩魚の田楽は少し甘かったですが、久しぶりに岩魚を食べられて良かったです。
鴨汁も熱々で最高の美味しさでした。
注意点
1日目は特に困ることはありませんでした。
6、1月26日(水曜日)2日目
能登屋旅館の送迎バスで銀山温泉を出発し、大石田駅に到着し、新庄駅へ向かいました。
鶴岡市内に到着し、鶴岡市内観光を楽しみました。鶴岡市内の観光スポットの多くは鶴ヶ岡城跡周辺に集中しています。鶴岡駅から徒歩20分程度ですが、今回はバスで移動しました。
旧風間家住宅 「丙申堂」は国の重要文化財です。風間家は庄内藩の御用商人として発展し、鶴岡一の豪商となりました。「丙申堂」は1896年に武家屋敷跡に建てられました。残念ながら冬季(12月1日~4月9日)休館で家屋内部の見学はできませんでした。
鶴岡カトリック教会 天主堂は1903年に建てられたロマネスク様式教会建築です。国の重要文化財です。
鶴岡カトリック教会の中には日本では鶴岡にしかない「黒い聖母マリア像」があります。聖母マリアが抱える幼いキリストも黒い像です。「黒い聖母マリア像」は献堂記念として、フランス・ノルマンディー州のデリブランド修道院から寄贈されたものです。
鶴岡カトリック教会の内部も素晴らしく、訪問価値が高い教会だと思います。
大宝館は1915年に大正天皇即位を記念して建てられました。開館当初は物産陳列場、戦後は市立図書館として利用されました。赤いドームと白い壁のコントラストがとても美しい建物です。
荘内神社の花手水は毎日手入れがされているようでとても綺麗でした。
1月26,27日に宿泊した「スイデンテラスホテル」は綺麗で落ち着くホテルでした。図書館や酒ラウンジなども完備されて、長期滞在にも最適なホテルだと思います。
設計は著名建築家の坂茂(ばん しげる)氏です。
食事
能登屋旅館の食事処で朝食を食べました。能登屋旅館の朝食は種類が多く、大満足でした。
鶴岡市内観光後に、「居酒屋せいご」で夕食を食べました。「居酒屋せいご」では刺身盛り合わせ、椎茸・ししとう焼き、イカ焼き、もつ煮込み、鱈の白子刺し、どんがら汁(寒鱈汁)を食べました。
庄内浜ではマダラが冬を代表する魚であり、先述のどんがら汁(寒鱈汁)が有名です。マダラが獲れるということは白子も美味しく、トロリとした食感の白子が大好きな私は当然注文しました。庄内地方の日本酒にとても合う最高に美味しい白子でした。
刺身盛り合わせ、椎茸・ししとう焼き、イカ焼き、もつ煮込みも全て美味しく大満足の居酒屋でした。
注意点
スイデンテラスまでの鶴岡駅からの交通手段はタクシーが主要交通手段となります。鶴岡駅からタクシーでは所要時間10分弱、料金が約1,000円かかります。
ただし、鶴岡駅からスイデンテラスの前にある「サイエンスパーク」バス停まで1日4本の空港連絡バスが走ります。鶴岡駅の発車時刻は5:57、7:12、11:24、16:17となります。「サイエンスパーク」到着は6分後です。運賃は330円です。
なお、空港バスはフライトがキャンセルされれば運休となります。
また、庄内空港からではフライトの到着の10分後を目途に庄内空港を発車します。フライトの到着時刻は8:10、12:05、16:55、21:20です。空港連絡バスに乗って、「サイエンスパーク」バス停で降りれば、スイデンテラスに到着します。運賃は720円です。
なお、この路線はGoogle mapにもYahoo路線情報にも出てきません。しかし、私は実際に利用したので、誰でも利用できます。
7、1月27日(木曜日)3日目
朝、スイデンテラスホテルを出て、鶴岡駅を経由し、バスで羽黒山に向かいました。
羽黒山の五重塔は山形県で唯一の国宝建造物です。私は五重塔を初夏に訪問したことがありますが、冬に訪問するのは初めてです。
羽黒山は出羽三山(他に月山、湯殿山)の一つで修験道の山です。五重塔に行くには随神門(ずいしんもん)から入ります。随神門より内側は出羽三山の神域となります。
随神門を通ると継子坂(ままこざか)という下り坂となります。継子坂を降りると末社が点在しています。
末社を越えると右手に須賀の滝(すがのたき)が見えます。須賀の滝の下流の川は雪が積もり、とても美しい景色でした。
須賀の滝(すがのたき)を越えると少し坂を上り、雪が積もった燈籠を越えると爺杉(じじすぎ)と五重塔が見えてきます。爺杉は樹齢1,000年以上の国の天然記念物です。
五重塔は平安時代中期の承平年間(931年 – 938年)に平将門が創建したと伝えられています。現在の塔は文中年間(約600年前)の庄内領主で、羽黒山別当の武藤政氏(むとう まさうじ、大宝寺政氏)の再建と伝えられています。塔の高さは約29.2メートルです。今回の雪中の五重塔も神聖な雰囲気の中で美しく立っており、素晴らしかったです。
五重塔からの帰り道は継子坂(ままこざか)を随神門まで登るため大変でした。
五重塔を見学した後に、羽黒山山頂までバスで行きました。
「三神合祭殿(さんじんごうさいでん)」と「鐘楼」はともに国の重要文化財です。三神合祭殿は1818年に完成した月山、羽黒山、湯殿山の三神を祀る茅葺木造建築物です。屋根の萱葺の厚さは2.1mもあり、日本三大茅葺きのひとつ(他は石川県の阿岸本誓寺、岩手県の正法寺本堂)に数えられています。
三神合祭殿の高さは五重塔に匹敵する28mもあり、その巨大さに驚きました。雪のため覆いがあり、外から詳細を見ることはできませんが内部には入って参拝できます。
鐘楼は切妻造りの萱葺きの建物です。江戸時代初期の1618年に再建されました。羽黒山では国宝五重塔に次ぐ古い建物です。鐘は1275年に作られたのもので、元寇(文永の役、1274年)の後に、鎌倉幕府が羽黒山の霊威をいたく感じて、羽黒山に奉ったものと伝わっています。
羽黒山から鶴岡駅に到着後、昼食を食べ、タクシーで加茂水族館に行きました。鶴岡駅から加茂水族館まではタクシーで約30分、料金は約4,000円です。
加茂水族館は「クラゲドリーム館」の愛称で知られており、クラゲの展示種類は60種類以上で種類数でギネス世界記録に認定されました。加茂水族館は経営不振の時期もありましたが、クラゲの展示により、年間50万人以上を集客する庄内地方有数の観光地となりました。
ちなみに、クラゲの展示を始めたのはサンゴの水槽で偶然クラゲが発生するという出来事がきっかけです。ノーベル化学賞を受賞した下村脩氏が発見した緑色蛍光タンパク質(Green Fluorescent Protein:GFP)はオワンクラゲが由来でした。加茂水族館がオワンクラゲを飼育していたことが報道され、来館数が飛躍的に向上したこともあったようです。
加茂水族館に入るとクラゲ展示の前に様々な魚介類が展示されています。主に、庄内浜で獲れた魚介類です。
加茂水族館ではクラゲの展示スペースを「クラネタリウム」と呼んでいます。直径5 メートルの水槽「クラゲドリームシアター」に浮遊する約1万匹のミズクラゲは圧巻です。他のクラゲの水槽もまるで宇宙のように感じます。
加茂水族館にはアシカやアザラシもいます。ゴマフアザラシがこちらを向いてくれました。
食事
スイデンテラスホテルのレストランで朝食を食べました。スイデンテラスの朝食は和食ブッフェで約30品目あります。
スイデンテラスの和食ブッフェは地元の食材や多くの郷土料理を提供していることが特徴です。私が食べた朝食では、庄内産あさつきの酢味噌和え、山形県産なめこの醤油煮、庄内浜産のどぐろの塩焼き、庄内豚のさっぱり煮、山形名物玉こんにゃく、庄内豚のソーセージ、郷土料理塩納豆、醤油の実、寒鱈汁、庄内米(つや姫、雪若丸)、鳥海高原ヨーグルトなどが庄内地方や山形県の郷土料理でした。
レストランでは鳥海山を望む景色を堪能でき、朝からいい気分で朝食を食べることができました。
羽黒山から戻ってきてから、昼食は「千石や」で塩ラーメンを食べました。「千石や」の店主はラーメン界で有名な故佐野実氏「支那そば屋」で修業していました。「千石や」はスイデンテラスから徒歩5分程度の場所にあります。注文したのは一番人気の「塩ラーメンのよくばり麺」(950円)です。
加茂水族館からタクシーで羽前大山駅へ移動し、列車で酒田駅へ行きました。羽前大山駅は加茂水族館の最寄り駅です。
酒田駅に向かったのは庄内地方の寿司の名店「こい勢」で夕食を食べるためです。「こい勢」は食べログ百名店にも選ばれています。
「こい勢」では刺身盛り合わせ、ハタハタ醤油漬けの焼き物、フグ刺し、フグ白子焼き、鱈白子刺しなどをおつまみで食べました。
ハタハタは秋田県が有名ですが、秋田県の横に位置する山形県でも獲れます。山形県はハタハタの漁獲量は全国5位です。12月に行った青森・山形旅行編のBLOGで書きましたが、秋田県のハタハタの漁期は12月の約一ヶ月間と非常に短いです。一方、山形県のハタハタは漁期が長く、旬は6月と9月~12月です。ハタハタの大きさは山形県が小さめで秋田県が大きめというさがあります。秋田県のほうが大きくなるまで漁をしないためです。一方、山形県のハタハタはメスの栄養が卵に取られないうちに収穫するので、小さいですが味がいいとの差があります。
なお、鍋でゆでたハタハタに醤油などをかけて食べる「ハタハタの湯揚上げ」は農林水産省の「うちの郷土料理」に選定されています。
ブリコと呼ばれる卵もプチプチした食感が堪りませんでした。ちなみに、ハタハタの卵を「ブリコ」というのはハタハタが乱獲され禁漁になった際に「ブリの卵」とごまかしてひそかに売買したためです。
山形県でもフグは獲れ、特に、トラフグの品質は東京の豊洲市場でも高い評価を受けるそうです。フグの刺身はさっぱりして美味しかったです。特に、トラフグの白子焼きはねっとりとした食感で最高でした。
鱈白子刺しは前日の「居酒屋せいご」でも食べたのですが、寒鱈の旬の時期なので、「こい勢」でも注文しました。鱈白子刺しは私の大好物ですし、旬なので最高の美味しさでした。
おつまみと日本酒を堪能した後に、地魚を多く使った寿司「おまかせ握り」(3,300円)を注文しました。特に、庄内産のガサエビ(標準和名クロザコエビ)の寿司は甘くてぷりぷり感がありとても美味しかったです。庄内産の旬のサヨリもあっさりとした白身で美味しかったです。他も全て最高に美味しい寿司で大満足の夕食となりました。
注意点
鶴岡駅前のFOODEVER(マリカ東館1階)の鶴岡市観光案内所で庄内交通の路線バス1日乗り放題券2,000円( C 鶴岡全域コース対象区域)を購入できます。鶴岡駅から羽黒山往復は1日乗り放題券を利用するとお得です。なお、鶴岡駅から羽黒山までの往復は通常2,500円の運賃となります。
鶴岡駅から羽黒山までの運行本数は1日10本(土日祝休日は1日8本)もありとても便利です。ただし、五重塔に行くために降車するバス停である羽黒随神門といでは文化記念館前には全ての便が運航しますが、羽黒山山頂までは夏季5本、冬季3本と本数が少なくなります。従って、五重塔と山頂にともに行くためには行く順序が重要です。先に、五重塔に行き、その後、バスに乗り山頂に行くという順番が最も効率的だと思います。
鶴岡駅から加茂水族館まで運行本数は1日8本(土日祝休日は1日5本)あります。また、加茂水族館から鶴岡駅までは1日9本(土日祝休日は1日5本)あります。従って、加茂水族館はバスで行くことは十分可能です。加茂水族館は片道760円かかりますが、バスで往復するなら1日乗り放題券1,000円(B 湯野浜・湯田川コース対象区域)を利用するとお得です。
加茂水族館に入場の際のチケット半券を提示すると鶴岡市内の店舗・施設でクーポン券として使えるキャンペーンをしています。10店舗・施設以上で利用できるので、チケット半券を持っておくとお得になる可能性が高まります。
8、1月28日(金曜日)4日目
鶴岡市内の致道博物館には国の重要文化財である建物が3つ(旧西田川郡役所、旧渋谷家住宅、旧鶴岡警察庁舎)もあります。
旧西田川郡役所は1881年に建てられた擬洋風建築です。
旧渋谷家住宅は1822年に建てられた民家です。元々は出羽三山のひとつ湯殿山麓の山村にありましたが、当地へ移設されました。
旧鶴岡警察庁舎は1884年に建てられた擬洋風建築です。警察庁舎らしい堂々たる外観と珍しい水色の壁が素晴らしい建物だと思います。
旧荘内藩主御隠殿は11代庄内藩主酒井忠発が建てた隠居所でした。江戸の中屋敷を解体して、その一部を鶴ヶ岡城三の丸の御用屋敷地に1863年に移築しました。
庄内藩校 致道館は国指定史跡です。致道館(ちどうかん)の名称は、論語の一節「君子学ンデ以テソノ道ヲ致ス」に由来します。致道館は、庄内藩酒井家9 代忠徳(ただあり)が藩政の振興を図るために1805年 に創設した学校です。
食事
三瀬にあるラーメン屋「琴平荘(こんぴらそう)」で朝昼兼用の食事をしました。
「琴平荘」に10時50分に到着しましたが、既に整理券の順番は29番目でした。「琴平荘」は11時開店ですが、開店少し前には店を開けるようで、既に満席でした。
「琴平荘」は相変わらずの大人気ラーメン店です。「琴平荘」に10時50分に到着し、50分間待ち、11時40分に着席できました。
私が注文したのは「中華そば」のあっさり味、味付け玉子、大盛り(無料)で850円でした。いつも「こってり」を頼むので、今回初めて「あっさり」を注文しました。しかし、以前食べた「こってり」の感動が圧倒的だったので、「あっさり」では物足りなくとても後悔しました。
今でもそうですが、「琴平荘」は旅館です。「琴平荘」の周辺は三瀬海水浴場で夏は多くの客が宿泊するのですが、冬の間は集客が少ない悩みを持っていました。冬の集客のために始めたのが現在の中華そば処です。当初は集客に相当苦労されたようですが、今では先述のような大人気店になっています。「琴平荘」の入り口は旅館そのものです。
鶴岡市内観光後に、鶴岡駅近くにある「フルーツショップ青森屋」で休憩しました。「フルーツショップ青森屋」は初代が青森県からりんごを山形県鶴岡市に持ってきて始めたフルーツ店です。店内ではケーキとコーヒーなど飲み物を楽しめます。
私が頼んだのは「やよいひめ」のベリーレアのタルト(庄内産のいちご「やよいひめ」と「ブルーベリー」をレアチーズクリームにのせたタルト)です。いちごもブルーベリーも美味しいタルトでした。人気店であったのも納得しました。
羽田空港へ到着後、家の近くのもつ焼き屋「みつぼ」で夕食を食べました。「みつぼ」は20年間通っている私が大好きなもつ焼き屋です。一月に一回は「みつぼ」で食べていると思います。「みつぼ」で一番好きな食べ物は「レバーのぶっかけねぎ」です。楽しかった山形の旅を東京の美味しいもつ焼きで終わるのもいいものでした。
注意点
ラーメン店「琴平荘」までの交通手段は非常に本数が少なく不便です。
例えば、鶴岡駅から最寄りの三瀬駅までは「琴平荘」の営業時間11:00~14:00に最適な公共交通機関は以下の4本しかありません。
鶴岡駅11:17発 JR羽越本線「村上行」 三瀬駅10:32着 徒歩約20分
鶴岡駅前11:08発 バス鶴岡あつみ温泉線「温海営業所行」 三瀬11:57着 徒歩約5分
鶴岡駅前12:43発 バス鶴岡あつみ温泉線「温海営業所行」 三瀬13:32着 徒歩約5分
鶴岡駅13:28発 JR羽越本線「村上行」 三瀬駅13:44着 徒歩約20分
4本目のJR羽越本線は閉店間際に到着となりますので、現実的ではありません。
一方、「琴平荘」から鶴岡駅までの最適な公共交通機関は以下の2本しかありません。
三瀬駅11:43発 羽越本線「酒田行」 鶴岡駅12:00着
三瀬駅15:05発 羽越本線「酒田行」 鶴岡駅15:22着
「琴平荘」の人気ぶりを考えると1本目に間に合うのは難しいと思います。一方、2本目は14:00までの営業時間を考慮すると時間が遅すぎます。
これ以外にも三瀬バス停から鶴岡駅の逆方向である「あつみ温泉」へバスで行き、特急いなほ3号に乗り鶴岡駅へ戻る手段もありますが、運賃は1人2,040円と上記各駅停車で行くことと比較し、約7倍もかかります。
このように、「琴平荘」でラーメンを食べるためには少なくとも帰りの交通手段はタクシーに頼るのが現実的でしょう。ただし、「琴平荘」からタクシーで鶴岡市内までは5,000円強の運賃がかかることを覚悟する必要があります。
庄内空港の飲食店はとんかつ店の「平田牧場」(場所は3階)しかありません。2階には売店が2店舗(清川屋とANA FESTA)がありますが、日本酒以外のアルコール販売は缶ビール一種類を販売しているだけです。また、空港の手荷物検査場を越え、搭乗待合室に入ると売店がありません(自動販売機はあります)。このように、フライト前に庄内空港で飲食を楽しむことは選択肢が限られ難しい状況です。
(注:文中に掲載している交通機関の出発・到着時間や運賃、入場料、食事の料金などはBLOG執筆時のものです。今後変更する可能性がありますので、旅行に行く際にご自身でご確認ください。)