3月の日本旅程1日目(広島県 食事編)
(3月22日 火曜日)
目次
1、電光石火 駅前ひろば店
広島市内に到着後、広島駅近くの「電光石火 駅前ひろば店」へ行き、広島風お好み焼きを食べました。
「電光石火 駅前ひろば店」は食べログ百名店に選ばれた人気店です。通常の広島風お好み焼きと異なり、生地の周りをふわふわの玉子で包み込む「電光石火」が名物です。私も「電光石火」(1,100円)を注文しました。確かに美味しいのですが、結論から言えば、通常の広島風お好み焼きのほうが自分好みでした。ただ、通常の広島風お好み焼きに飽きた人にはちょうどいいと思います。毎週のように広島風お好み焼きを食べている広島県民にはこのような少し変わったバージョンが必要かと思います。
広島風お好み焼きは農林水産省が選ぶ広島県の「御当地人気料理特選」です。広島風お好み焼きは生地と具を混ぜずに焼く「重ね焼き」が最大の特徴です。1950年ごろに屋台で開業した、「みっちゃん」の井畝井三男と「善さん」の中村善二郎が広島風お好み焼きの元祖と言われています。また、当初は麺や肉が入っていない野菜の重ね焼きで、二つ折りにして新聞紙にくるんで提供されていました。
広島県では「広島風お好み焼き」という呼称を嫌い、単に「お好み焼き」と言います。ただし、今回の広島旅行では店の看板に「広島風お好み焼き」と書いてある店が多かった印象でした。一般的には「広島風お好み焼き」と言わないと大阪などの「お好み焼き」と混同される可能性が高いと思います。これは兵庫県明石市の「玉子焼」を明石市民以外の人が「明石焼き」と呼んでいることと同じでしょう。
なお、「都道府県別統計とランキングで見る県民性」というWebサイトによると人口10万人あたり都道府県別お好み焼店店舗数は広島県が41.48軒と1位でした。2位は徳島県の17.65軒、3位は愛媛県・兵庫県の16.92軒、5位は岡山県15.40軒ですので、広島県のお好み焼き店店舗数は圧倒的です。確かに、広島市内を歩いていてもお好み焼き店はとても多い印象です。大阪府が5位以内に入っていないのはとても意外です。お好み焼きの圧倒的な店舗数を見ると広島県民が「広島風お好み焼き」と呼ばずに単に「お好み焼き」と呼んでいるのもよく理解できます。
なお、お好み焼きのルーツは東京の「どんどん焼き」、神戸の「肉天」、近畿地方の「一銭洋食」と言われているようです。いずれも大正時代(1912年~1926年)以前にあった料理です。お好み焼きの消費量でも負け、お好み焼きのルーツでもない大阪が「お好み焼き」の中心地とされている現状は非常に不思議です。なお、大阪名物「たこ焼き」も元々は「明石焼き(玉子焼)」がルーツと言われています。
2、ビールスタンド重富
広島市内観光を終え、17時から「ビールスタンド重富」で至福の生ビールを飲みました。私は開店10分前の16時50分に店に到着しました。私の到着時は誰も並んでいなかったのですが、開店時間までには行列ができました。
「ビールスタンド重富」のマスターである重富寛氏はビールの伝道師と言われるビール注ぎの名人です。「ビールスタンド重富」では他の飲食店にも行ってほしいとの思いから、営業時間は17時から19時の2時間だけ、注文は2杯まで、滞在時間は20分間までと決められています。最初、こうしたルールを決める店は居心地が良くないのかな、と思いましたが、重富さんは物腰柔らかい方で心配は杞憂でした。
「ビールスタンド重富」では木の樽をテーブルにした立ち席のみです。ビールサーバーは昔の冷蔵庫を改造したもののようです。重富さんに聞くとオークションで購入したとのことでした。
私は最初に「一度つぎ」、2杯目に「シャープつぎ」を注文しました。「一度つぎ」は「のどを駆け抜けるような爽快感!今日の一杯目におすすめ」のビールです。すっきりしたビールなので、最初のビールにぴったりです。ただし、すっきりしているので、ビール注ぎの名人の技は感じにくいと思いました。
「シャープつぎ」は「炭酸と苦味が効いたキリッとシャープな味。昭和と平成、2つのサーバーから注ぐ奇跡の1杯」です。「シャープつぎ」の美味しさは感動しました、ビールの泡自体がマイルドで美味しく、ビールはすっきりした味でベストミックスの味でした。
なお、ビール注ぎの名人の技を味わうとすると、私が飲んだ「シャープつぎ」と飲めなかった「マイルドつぎ」がいいと思います。「ビールスタンド重富」の説明でも、「シャープつぎ」と「マイルドつぎ」のみが「ビールスタンド重富」オリジナルと書いてありました。なお、「マイルドつぎ」の説明には「炭酸と苦みをしっかり抑えたやさしい味。ビールが苦手な方にもおすすめ」とありました。私はビール好きなので、「シャープつぎ」を注文して正解だったと思います。
なお、他には「二度つぎ」、「三度つぎ」がありました。「二度つぎ」には「一度つぎの爽快感にビールの旨みをプラス。飲み飽きないベストバランス」、「三度つぎ」には「炭酸を程よく抜くことで、麦芽の甘味を感じるやわらかな味わい。グラスから盛り上がる泡」と説明がありました。
「ビールスタンド重富」の説明では「一度つぎ」の銘店は「銀座ライオン、ニュートーキョウ、サッポロビール園」、「二度つぎ」の銘店は「ビアライゼ98、灘コロンビア、ニューミュンヘン」、「三度つぎ」の銘店は「キリンシティー、ケラーyamato」とありました。
他店舗を紹介するビール店は初めてでした。ビール業界や飲食店全体のことを考える経営姿勢にはとても共感しました。重富さんは「旨いビールで笑顔をつくり広島の街を元気にする」というプロジェクトをされています。素晴らしいコンセプトの店だと思いました。次に広島を訪問する際には絶対に再訪したい店となりました。
3、酒菜 竹のした
「ビールスタンド重富」でおいしいビールを堪能した後、「酒菜 竹のした」で夕食を食べました。注文して食べた全てが美味しく、また、店員さんのサービスもとても良く、インテリアも素敵で大満足の夕食となりました。
この日、注文したのは「刺身盛り合わせ」、「穴子の刺身」、「葉ワサビ漬け」、「和牛コウネ肉と小カブのサラダ」、「牡蠣の揚げ出し」です。
「刺身盛り合わせ」には太刀魚、ヒラメ、タコ、鰆、夜泣き貝が含まれていました。全て最高に美味しかったのですが、特に、太刀魚の刺身は絶品でした。人生最高の太刀魚の刺身だったかもしれません。夜泣き貝は主に、広島県で獲れる貝で、現在は漁獲量が減少し、高級貝になっているようです。私は夜泣き貝を初めて食べましたが、甘くて美味しい貝でした。
「穴子の刺身」は一見、「てっさ(フグの刺身)」のような薄造りで綺麗な盛り付けでした。味は絶品でした。また、穴子の皮の湯引きはコリコリとした食感の珍味でした。穴子の皮の湯引きを穴子の刺身で巻いて食べるともう最高でした。とても印象に残る料理でした。
「葉ワサビ漬け」はピリッとした辛さでちょうどいい箸休めとなりました。
「和牛コウネ肉と小カブのサラダ」は「コウネ肉」に興味があったので注文しました。「コウネ肉」とは牛の肩バラの一部で、前脚の脇の辺りの部位の肉です。別名「ブリスケ」とも呼ばれます。「コウネ肉」は多くの飲食店で見かけました。「コウネ肉」は広島県民の中ではかなりよく食べる肉らしいのですが、広島以外ではあまり見かけたことがありません。これこそ郷土料理です。「コウネ肉」は噛めば噛むほど美味しい肉汁がしみだすようなとても美味しい牛肉でした。
「牡蠣の揚げ出し」は旬の最終期にあたる牡蠣の食い納めと思い注文しました。通常、牡蠣は生か焼きかフライで食べることが多いですが、揚げ出しは珍しい食べ方です。「牡蠣の揚げ出し」はとても美味しかったです。なお、「広島かき」は全国漁業協同組合連合会による広島県の冬の「PRIDE FISH」(旬:1月~3月)に選ばれています。広島県は牡蠣の生産量が全国1位です。その生産シェアは60.4%(2020年)と圧倒的です。なお、生産量2位は宮城県、3位は岡山県、4位は兵庫県、5位は岩手県です。
4、元祖へんくつや 本店
「酒菜 竹のした」で大満足の夕食を食べた後、「元祖へんくつや 本店」で広島風お好み焼きを食べました。
「元祖へんくつや」は戦後すぐの昭和22年(1947年)に創業したお好み焼き屋台の流れをくむ歴史ある店です。注文したのは「そば肉玉入り」(850円)です。「元祖へんくつや」の広島風お好み焼きは昔ながらの味で美味しかったです。ただし、味に少しパンチが足りないかな、と思いました。
「元祖へんくつや」ではミノ焼きも食べました。広島のお好み焼き屋ではお好み焼き以外にも鉄板で焼くおつまみ(牡蠣、牛肉、豚肉、鶏肉など)があります。こうしたおつまみとお酒を飲み、最後にお好み焼きを食べるのが広島風スタイルのようです。私が「元祖へんくつや」を訪問した日にも多くの地元の方々がおつまみでお酒を飲み、最後にお好み焼きを注文していました。
(注:文中に掲載している交通機関の出発・到着時間や運賃、入場料、食事の料金などはBLOG執筆時のものです。今後変更する可能性がありますので、旅行に行く際にご自身でご確認ください。)