4月の日本旅程2日目(高知県、愛媛県 食事編)
(4月19日 火曜日)
目次
1、さこや
4月19日(火)は朝8時から四万十川下流の中村駅から上流の江川崎駅までサイクリングをしました。朝食は佐田沈下橋(今成橋)を渡って少し行った場所にある「さこや」で天然鰻のうな重を頂きました。「さこや」は前日に自転車を借りた中村駅の四万十市観光協会で、「四万十川の天然鰻を食べたい」とリクエストをした際に教えてもらいました。
「さこや」の営業時間は7時から14時までなので、朝食にうな重を頂くことができます。「さこや」では地元の方々がハムエッグなどの朝食を食べていました。
「さこや」では毎朝、天然鰻を四万十川に獲りに行っており、天然鰻が獲れないと養殖鰻を提供するそうです。四万十川の鰻漁は4月1日~9月30日に限定されているため、「さこや」の天然鰻も4月〜9月の間だけ食べることができます。なお、四万十川では川エビ漁は4月1日~8月31日、鮎漁は5月15日から10月15日のみ漁を行うことができます。
鰻漁は解禁して5月頃までは「延縄漁(はえなわりょう)」、その後「コロバシ漁」に移行します。コロバシ漁に使う餌のミミズが適度な大きさに育つのが5~6月頃だからだそうです。また、真夏以降はまたミミズが取れなくなり、「コロバシ漁」から「延縄漁」に戻るそうです。
延縄は1本の幹縄に多数の枝縄(これを延縄と呼ぶ)をつけ、枝縄の先端に釣り針をつけた構成となっています。夕方に延縄を漁場に仕掛けた後、翌朝に延縄を回収して収穫を得る漁法です。
「コロバシ」という仕掛けは、竹や木で作った細長い筒の形をしている鰻を獲るための仕掛けです。夕方に川の中へ仕掛け、翌朝に仕掛けを回収しに行きます。
なお、天然鰻は日本で獲れる鰻の0.4%しかありません(2020年)。天然鰻はとても貴重です。
「さこや」では大量の鰻が水槽の中を泳いでいました。私は天然鰻のうな重(4,400円)を注文しました。なお、養殖鰻のうな重は3,080円でした。天然鰻に夢中になってしまい、川エビから揚げ(880円)を注文するのを忘れたのは最大の後悔です。
「さこや」の鰻は蒸さずに焼く関西風の焼き方です。天然鰻はとても肉厚で噛み応えがある鰻でした。養殖鰻とは全くの別物です。ただ、天然の川魚なので、臭みが少しありました。味を重視するなら養殖鰻、噛み応えを重視するなら天然鰻ということかと思いました。なお、天然鰻は脂が乗る夏が一番美味しいそうです。いつか夏に再訪したいと思いました。
2、横山精肉
江川崎駅周辺で軽く昼食を食べるため、中村駅の四万十市観光協会で教えてもらった「横山精肉」で四万十牛を使ったコロッケとメンチカツを購入し、四万十川を眺めながら、テラス席で食べました。横山精肉は精肉店ではありますが、様々な食材を扱うスーパーマーケットのような店でした。
四万十牛は四万十川流域で育てられた未経産のメスの黒毛和牛です。年間100頭程度しか出荷されない貴重な牛です。
コロッケとメンチカツはとても美味しかったのです。ただ、コロッケとメンチカツで四万十牛の味を理解するのは難しかったです。次回は四万十牛を焼肉かステーキで食べたいと思います。
3、郷土料理 大衆割烹 ほづみ亭
昼食がコロッケとメンチカツだけでかなり軽めだったので、17時の開店と同時に「郷土料理 大衆割烹 ほづみ亭」に入店し、様々な郷土料理を夕食として頂きました。私が注文したのは「刺身盛り合わせ」、「鬼じゃこ天」、「ふかの湯ざらし」、「太刀魚竹巻き」、「深浦カツオの塩たたき」、「鯛そうめん」です。
「刺身盛り合わせ」にはタコ、真鯛、カンパチ、鰹、サヨリが入っていました。
全国漁業協同組合連合会は愛媛県の春の「PRIDE FISH」に「愛育フィッシュ 愛鯛」(旬:2月~5月)と「びやびやかつお」(旬:4月~6月)を選んでいます。
「愛鯛」はリアス式海岸と黒潮が流れ込む豊かな漁場である宇和海(宇和島)で徹底した管理基準のもとで育てられる養殖真鯛です。愛媛県は天然真鯛の漁獲量は全国4位(1位は福岡県)ですが、養殖真鯛の漁獲量シェアは47%で圧倒的な1位(2位はシェア12%の熊本県)です。天然真鯛と養殖真鯛を合わせた漁獲量シェアは56%と過半を占める真鯛の県です。「ほづみ亭」でもコリコリ感があり甘みがある美味しい真鯛でした。
「びやびやかつお」は深浦漁港で獲れた新鮮な鰹のことです。「びやびや」とは深浦漁港がある愛南町の方言で、「包丁が入らないほど新鮮で弾力がある」という意味です。「びやびやかつお」は釣り上げてすぐに船上で活け締め・血抜き処理をしたものです。また、鮮度を最大限に生かすため、釣り上げたその日のうちに水揚げをします。「ほづみ亭」で食べた鰹の刺身と塩タタキもとても美味しかったです。
「ほづみ亭」では鰹のタタキをカウンター前で藁焼きして調理しています。藁には油分が少し含まれるため、燃やすと火力が強くなります。強い火力で加熱時間が短く済むため、外側だけをサッとあぶり、中はレアのままというタタキに適しています。藁のよい香りが鰹にも移り、美味しい鰹のタタキが出来上がります。
鰹は高知県が有名ですが、高知県の鰹漁獲量は全国4位(2020年)です。また、四国内でも愛媛県の深浦漁港が鰹漁獲量が1位となります。ただし、愛媛県全体の鰹漁獲量は全国16位です。
「鬼じゃこ天」は分厚い「じゃこ天」のことです。宇和島練り物工房みよしが「鬼じゃこ天」を生産しています。「じゃこ天」は農林水産省の「郷土料理百選」に愛媛県の郷土料理として選ばれています。「じゃこ天」は宇和島市など南予地方の料理です。原料に使われる雑魚(ざこ)、特にホタルジャコを使った天ぷらが「じゃこ天」の名前の語源と言われています。「ほづみ亭」のおかみさんが『最近の「じゃこ天」は薄いのが多いけど、「鬼じゃこ天」は分厚くて美味しいから是非食べてみて』と勧められて食べました。前日に土佐久礼で食べた「くれ天」も美味しかったですが、「鬼じゃこ天」もとても美味しく感動しました。
「ふかの湯ざらし」は農林水産省が愛媛県の「うちの郷土料理」として紹介しています。「ふか」とはサメのことで、南予では1メートル前後のものがよく捕れます。味が淡白な「ふか」に酢味噌をつけて食べます。私には少し水っぽく感じて「ふかの湯ざらし」からは「ほづみ亭」で食べた他の郷土料理の感動は得ることができませんでした。
「太刀魚竹巻き」は「太刀魚巻」として、農林水産省が愛媛県の「うちの郷土料理」として紹介しています。宇和島市吉田町で「河合太刀魚巻店」が1987年に「太刀魚巻」を考案しました。「ほづみ亭」の「太刀魚竹巻き」は竹にしっかり巻き付けているので、少し硬く感じました。いつか「河合太刀魚巻店」で焼きたてを食べたいと思います。
最後に食べた「鯛そうめん」はとても美味しかったです。「鯛そうめん」とは小ぶりの真鯛一尾をまるごと姿煮にしたものを素麺と一緒に大皿に盛りつけて食べます。南予地方では、錦糸卵、千切りしいたけなどを付け合わせとして薬味と一緒に食べます。松山地域では五色素麺を用いることが多いようです。宇和島市では「鯛そうめん」を「ふくめん」とともに、お祝いの席で食べる風習があります。「ふくめん」は翌日の昼食で食べたので、4日後のBLOGで説明します。「鯛そうめん」も農林水産省が愛媛県の「うちの郷土料理」として紹介しています。
「ほづみ亭」では多くの郷土料理を食べられ大満足でした。とても気に入り、翌日の昼食も「ほづみ亭」で食べました。食べログの百名店に選ばれています。
「ほづみ亭」で大満足の夕食を食べ、宇和島商店街の「きさいやロード」へ腹ごなしの散歩に出かけました。多くの地方都市の商店街同様、人通りはほとんどありませんでした。「きさいやロード」には「牛鬼」のお面が数多く飾られていました。「牛鬼」は毎年7月に開催される「和霊大祭(われいたいさい)・うわじま牛鬼まつり」に使用されるお面です。
(注:文中に掲載している交通機関の出発・到着時間や運賃、入場料、食事の料金などはBLOG執筆時のものです。今後変更する可能性がありますので、旅行に行く際にご自身でご確認ください。)