日本の地方への鉄道旅行の勧め
目次
1:序文
2:モデルルートの作成方法
3:地方への旅行の勧め
4:鉄道旅行の勧め
1:序文
既に日本を何度も旅行していて、更に日本の各地に行ってみたいとお考えの外国人旅行者の皆さん!
当社では東京、富士山、京都、大阪だけのいわゆるゴールデンルート以外の地方訪問のモデルルートを第8回まで作成しました。今後の旅程作りの参考にしてください。今後とも不定期にモデルルートを追加する予定です。
1週間の日本旅行モデルルート①(宮城県、岩手県、青森県、福島県)
1週間の日本旅行モデルルート④(東京都、長野県、岐阜県、富山県)
1週間の日本旅行モデルルート⑥(埼玉県、栃木県、茨城県、福島県、千葉県)
1週間の日本旅行モデルルート⑦(福岡県、長崎県、熊本県、大阪府)
1週間の日本旅行モデルルート⑧(岡山県、香川県、徳島県、高知県)
2:モデルルートの作成方法
地方訪問のモデルルートの作成方法は以下の通りです。
① 外国人旅行者の日本入国数の70%(2019年)を占める成田国際空港(羽田空港)もしくは関西国際空港発着の旅程を作成
② 外国人旅行者の平均宿泊数6.2泊(2019年)を基準に6泊7日の旅程を作成
③ 上記3空港における外国人旅行者の平均旅費17.6万円(2019年)を参考に予算20万円以内の旅程を作成
また、当社がお勧めする2ヶ所での滞在(6泊7日の旅程で2ヶ所で3泊ずつ宿泊)を旅程作成の基本としました。2ヶ所での宿泊をお勧めするのは、悪天候時に旅程変更が可能となるためです。旅行者には好天時に訪問したい場所(観光地)があると思います。毎日移動する旅程を組んでしまうと悪天候時でも観光地訪問日程の変更はできません。日本の天気は変わりやすいため、柔軟に変更できる旅程を作成することを強くお勧めします。
3:地方への旅行の勧め
外国人旅行者の宿泊数は、東京都・大阪府・京都府の上位3都道府県に53%が集中しています(2019年、観光庁データ)。逆に下位30都道府県の合計宿泊数は8%でしかありません。また、外国人旅行者が日本人の都道府県別宿泊数シェアを上回るのは、東京都・大阪府・京都府に加え、福岡県・北海道・岐阜県・山梨県の合計7都道府県のみです。このことから外国人旅行者によるオーバーツーリズム問題は、東京都・大阪府・京都府など人気観光地だけの問題であることが分かります。
外国人旅行者の宿泊数シェア(%)
1 東京都 22.09 2 大阪府 16.71 3 京都府 13.84 4 北海道 8.93 5 沖縄県 8.93 6 千葉県 3.92 7 神奈川県 2.42 8 福岡県 2.40 9 山梨県 2.36 10 静岡県 2.06 11 岐阜県 1.83 12 長野県 1.43 13 愛知県 1.41 14 大分県 1.21 15 兵庫県 0.90 16 石川県 0.88 17 熊本県 0.69 18 奈良県 0.66 19 和歌山県 0.66 20 広島県 0.61 21 長崎県 0.59 22 鹿児島県 0.54 23 香川県 0.54 24 新潟県 0.40 25 滋賀県 0.40 26 岩手県 0.32 27 三重県 0.31 28 栃木県 0.30 29 群馬県 0.29 30 宮崎県 0.26 31 富山県 0.25 32 青森県 0.24 33 佐賀県 0.21 34 宮城県 0.20 35 山形県 0.19 36 岡山県 0.16 37 福島県 0.14 38 徳島県 0.10 39 愛媛県 0.10 40 秋田県 0.10 41 鳥取県 0.10 42 島根県 0.08 43 高知県 0.07 44 山口県 0.06 45 福井県 0.06 46 埼玉県 0.03 47 茨城県 0.03 合計 100.00
都道府県別宿泊数シェアの比較(%、外国人宿泊数シェア/日本人宿泊数シェア)
1 東京都 267 2 大阪府 251 3 京都府 119 4 福岡県 38 5 北海道 33 6 岐阜県 20 7 山梨県 10 8 沖縄県 -2 9 愛知県 -6 10 奈良県 -21 11 大分県 -26 12 香川県 -31 13 神奈川県 -36 14 熊本県 -37 15 広島県 -38 16 千葉県 -44 17 宮崎県 -55 18 和歌山県 -56 19 佐賀県 -56 20 長崎県 -56 21 石川県 -56 22 鹿児島県 -58 23 静岡県 -59 24 富山県 -60 25 青森県 -61 26 滋賀県 -65 27 岩手県 -70 28 長野県 -71 29 兵庫県 -71 30 徳島県 -75 31 岡山県 -77 32 新潟県 -82 33 愛媛県 -82 34 秋田県 -83 35 山形県 -83 36 三重県 -83 37 鳥取県 -86 38 高知県 -86 39 宮城県 -87 40 島根県 -88 41 群馬県 -88 42 栃木県 -88 43 山口県 -90 44 埼玉県 -91 45 福井県 -93 46 福島県 -93 47 茨城県 -96
私は外国旅行をする際に、異国情緒を満喫するため、できるだけ日本人がいない場所に行きたいと考えます。外国人旅行者にも外国人ができるだけいない日本の地方に行き、日本独特の風情を楽しんでいただきたいです。地方への旅行では、大都市にない独特の食文化や温かい人情に出会えるのも大きな魅力です。
また、観光庁の「日本旅行の際にしたこと(複数回答)」の調査(2019年)では「自然・景勝地観光」73.4%、「日本の歴史・伝統文化体験」29.7%、「日本の日常生活体験」20.5%、「四季の体感(花見・紅葉・雪等)」14.6%、「自然体験ツアー・農漁村体験」7.4%、「スキー・スノーボード」3.1%など、合計148.6%が地方旅行のほうが体験しやすい観光です。「次回の日本旅行の際にしたいこと(複数回答)」では、上記の項目合計は154.8%に上昇します。このように、外国人旅行者の地方観光への関心も高まっているように感じます。
訪日リピーターは既に地方へ行き始めています。各国別訪日回数と宿泊人数の都道府県別「ばらつき(分散)」の関係は、訪日回数の増加に伴い、より多くの都道府県に宿泊する傾向にあることが分かります。訪日リピーターは東京・富士山・京都・大阪だけのゴールデンルートに飽き、地方へ足を運ぶのでしょう。
また、平均訪日回数7.2回の台湾人旅行者の都道府県別宿泊数シェアは、14都道府県で日本人旅行者のそれを上回りました。外国人旅行者全体では日本人宿泊シェアの半分以下しかない岡山県・青森県・岩手県・富山県・宮城県・佐賀県の6県で、台湾人のみが日本人宿泊シェアを上回っていることも特徴的です。
都道府県別宿泊数シェアの比較(%、台湾人宿泊数シェア/日本人宿泊数シェア)
1 福岡県 190 2 東京都 164 3 大阪府 136 4 愛知県 84 5 北海道 57 6 香川県 54 7 沖縄県 47 8 岡山県 45 9 青森県 44 10 熊本県 44 11 岩手県 25 12 富山県 17 13 宮城県 14 14 佐賀県 14 15 京都府 -2 16 岐阜県 -14 17 滋賀県 -17 18 山梨県 -18 19 宮崎県 -21 20 石川県 -22 21 愛媛県 -22 22 鹿児島県 -26 23 秋田県 -32 24 大分県 -34 25 兵庫県 -35 26 広島県 -39 27 山形県 -39 28 千葉県 -39 29 長野県 -49 30 長崎県 -50 31 茨城県 -63 32 群馬県 -64 33 高知県 -65 34 神奈川県 -66 35 新潟県 -69 36 徳島県 -70 37 埼玉県 -71 38 鳥取県 -78 39 和歌山県 -79 40 福島県 -80 41 山口県 -80 42 島根県 -81 43 福井県 -83 44 三重県 -84 45 奈良県 -84 46 静岡県 -85 47 栃木県 -86
平均訪日回数8.8回の香港人旅行者の都道府県別宿泊数シェアは14都道府県で日本人旅行者のそれを上回りました。外国人旅行者全体では日本人宿泊シェアの半分以下しかない鹿児島県・宮崎県・岡山県・徳島県・鳥取県の5県で、香港人のみが日本人宿泊シェアを上回っていることも特徴的です。
都道府県別宿泊数シェアの比較(%、香港人宿泊数シェア/日本人宿泊数シェア)
1 福岡県 279 2 大阪府 270 3 東京都 212 4 鹿児島県 150 5 愛知県 100 6 宮崎県 63 7 北海道 57 8 香川県 47 9 熊本県 32 10 岡山県 30 11 徳島県 25 12 鳥取県 3 13 沖縄県 -4 14 大分県 -12 15 岐阜県 -14 16 青森県 -21 17 山梨県 -22 18 和歌山県 -24 19 富山県 -25 20 愛媛県 -27 21 佐賀県 -30 22 京都府 -30 23 広島県 -33 24 長崎県 -36 25 石川県 -38 26 滋賀県 -44 27 高知県 -49 28 兵庫県 -53 29 長野県 -66 30 新潟県 -69 31 神奈川県 -71 32 埼玉県 -71 33 千葉県 -71 34 岩手県 -72 35 福井県 -74 36 奈良県 -74 37 島根県 -76 38 宮城県 -77 39 三重県 -79 40 山形県 -79 41 秋田県 -80 42 茨城県 -81 43 群馬県 -85 44 静岡県 -87 45 山口県 -89 46 栃木県 -90 47 福島県 -95
台湾人や香港人のような訪日リピーターですら、日本人宿泊シェアの半分以下である都道府県はそれぞれ18,20もあります。まだまだ地方観光の余地は大きいといえます。
4:鉄道旅行の勧め
地方に行くには鉄道旅行がお勧めです。田舎の景色を眺めながら駅弁を食べ、日本酒(地酒)、日本産ワインやクラフトビールを飲める鉄道旅行は、レンタカーを運転すると絶対に味わえない楽しみです。また、大都市でのラッシュアワー時の大混雑も地方の鉄道ではほぼ無縁です。
更に、鉄道旅行はサステナブルツーリズムの実践となります。国土交通省のデータでは、1人が1km移動する際のCO2排出量は自動車の130gに対し、航空機は98g(自動車の75%)、バスは57g(同44%)、鉄道は17g(同13%)です。
地方の鉄道旅行で最も注意が必要なのはワンマン列車の乗降方法です。ワンマン列車では乗降の際、自分でボタンを押してドアを開ける必要があります。また、乗車時に整理券を取り、その整理券と料金を運賃箱に入れて降車するというシステムが多いです。
ワンマン列車の場合は常に1両目に乗るようにすれば安心です。日本の地方を旅行する際には電車の乗降ルールは絶対に覚えておきましょう。ただし、1両目の前方ドアから乗るのか後方ドアから乗るのかは鉄道事業者によって異なります。
注意点を理解し、日本の地方旅行を是非、鉄道で楽しんでください!
お知らせ
なお、当社では、皆さんが地方を旅しやすくする「手ぶら旅行」のために、来春から旅行レンタルサービスを開始予定です。レンタルサービス開始まで、先着10名限定で旅程作成を無料で提供する予定です。
私は国内外をほぼ2か月に1回のペースで累計200回以上旅行し、旅程を何度も作ってきました。また、当社では日本の観光地2万件以上をデータベース化済です。旅行者の好みに応じて、旅程を作成しますので、希望者は「ご登録・お問い合わせ」からご連絡ください。