日々、我々はBLOGやSNSで旅行情報を提供していますが、提供の理由と旅行ルートの作成方法を解説します。
我々のミッションは「全ての人がラクに旅行できる世の中を作る」です。大きくて重い荷物の負担を減らすというハード面での問題解消と、旅行情報の充実というソフト面での問題解消の両輪により、「全ての人がラクに旅行できる世の中」に近づくことができると考えています。旅行情報の提供は以下に説明しますように、旅行の利便性向上に結び付くと思います。その結果、肉体面でも精神面でも「みんなに一番ラクな旅」になると考えています。
私は大の旅行好きで、海外では40か国以上、国内では47都道府県全てを旅行しました。こうした今までの多くの旅行の中で、外国旅行前に自国において旅行情報を取得することが如何に困難か、いかに情報入手に労力がかかるか、などを身に染みて感じてきました。現地での交通手段など旅行情報を知らなかったことにより、行きたかった観光スポットに行けなかったという残念なことも多く経験しています。旅行の様々なソフト面での困難は旅行前の旅行情報の不足に起因していることが多いと思います。
旅行者に対する調査をいくつか挙げてみましょう。世界26か国の人々を対象に実施したHotels.com™の調査によると、世界のミレニアル世代の旅行者のおよそ3人に1人(32%)が、人生における最大のストレスの1つとして、旅行の事前計画を挙げています。この調査はミレニアム世代に対する調査でしたが、検索能力が高いミレニアム世代ですら、旅行の準備は大変なのですから、それ以上の世代はそれ以上のストレスになっているのではないでしょうか。しかし、人生最大のストレスの一つとは驚きです。旅行の事前準備が如何に大変と思われているかが理解できます。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000072.000017857.html
次に、少し古い調査ですが、2008年に4,740人に行われた日本旅行業協会の日本人向け「海外旅行に関する調査」調査報告書です。この調査では海外旅行の阻害要因として「事前に計画を立てたり、情報収集をすることが面倒くさい」との回答が26.9%と4分の1以上でした。
https://www.jata-net.or.jp/vwc/pdf/0809tm_data.pdf
最後に、こちらも少し古い調査ですが、2008年のJTBの調査(対象4,515人)です。この調査によると、「海外旅行の支度で苦になること」の1位は「荷物の準備」22%となっています。なお、2位が「休暇取得」16%、3位が「宿や交通機関の予約や手配」11%、4位が「行先などの計画を立てるのが面倒」7%となっています。2位の休暇取得について、我々はどうすることもできないですが、1位については、旅行先でのレンタルサービスによって、3位、4位については旅行情報の提供によって、海外旅行の支度の苦しみを少しでも解消できると思っています。
https://www.jtb.co.jp/myjtb/tabiq/pdf/20070309.pdf
では、なぜ、旅行の計画を立てることに多大なストレスや苦しみ、面倒くささを感じたりするのでしょうか。私は、プロスペクト理論における「損失回避バイアス」が影響しているのではないか、と考えています。旅行の計画には多くの選択肢とそれら全てに対する判断・決断が求められます。例えば、旅行の計画には、旅行の時期、旅行日数、旅行の相手、旅行先、訪問する観光スポット、移動手段、宿泊先、食事、レストラン、旅行の服装、など数多くの選択肢があります。
これら多くの選択肢にそれぞれ自らが下さないといけない判断・決断に「失敗したくない」との心理が働くのではないでしょうか。この「失敗したくない」という「損失回避バイアス」心理がストレスや苦痛になっているのだと思います。旅行の計画には選択肢が多過ぎるのです。
プロスペクト理論は不確実性下における意思決定モデルの一つです。そして、旅行プランを作成するための数多くの選択肢が旅行者の計画作成の「不確実性」になっていると私は思っています。
また、「ジャム理論」でも説明ができるかと思います。「ジャム理論」は選択肢が多すぎると、選べなくなってしまう心理現象を言います。スーパーマーケットの棚のジャムは種類が多いと客が選ぶことに苦痛を感じて、購買率が下がりましたが、種類を少なくすると多くの客が選びやすくなって購買率が上がった、という実験から導かれた理論です。上述しましたように、旅行の計画作成は選択肢が多過ぎるのです。だから、棚に多くのジャムが並ぶように、選べないのです。選ぼうとしても、「損失回避バイアス」により苦痛になるのです。
さらにいえば、心理学者、バリー・シュワルツ氏の「選択のパラドックス」でも説明可能です。彼は、選択肢が増えると人はかえって不幸になると主張しています。「多すぎる選択肢は、人に無力感を感じさせる」し、「選択肢がより少ないときに比べると、その選んだ結果に満足しにくい」ためです。
このように、旅行先の選択肢の多さが多大なストレスを生んでいることが多くの理論により裏付けられています。
では、こうした「不確実性」と「選択肢の多さ」を解消するためにはどうすればいいでしょうか?次回、私が考えた「不確実性」解消、選択肢の絞り込みの方法を解説します。