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シニア層こそ旅行回数を増やし、認知症リスクを低下させよう

シニア層こそ旅行回数を増やし、認知症リスクを低下させよう

 

目次

1:クラブツーリズムと東北大学が旅行における認知症低下の可能性を確認

2:日本と世界の認知症患者数は増加傾向

3:トラベル・ディバイドを解消し、シニア層にもっと旅行を楽しんで欲しい

 

1:クラブツーリズムと東北大学が旅行における認知症低下の可能性を確認

2021年7月13日に、クラブツーリズム株式会社と国立大学法人東北大学が共同で「一定の条件下の旅行における認知症リスク低下の可能性を確認した」と発表しました。この研究は2021 年 3 月の学術論文雑誌「Humanities and Social Sciences Communications」に「Curiosity-tourism interaction promotes subjective wellbeing among older adults in Japan」として掲載されました。

Memory Loss

この研究・解析によって、知的好奇心のひとつである「拡散的好奇心」が旅行の動機となっていることが確認されました。旅行を通じて脳や身体が刺激を受け、「拡散的好奇心」が満たされ、ひいては「主観的幸福度」が高まるというメカニズムです。なお、「拡散的好奇心」は物事に対して、幅広く情報を求める性格特性のことです。

「主観的幸福度」は認知症リスクを低減させる効果があることが証明されていますから、「旅行による認知症リスク軽減効果」の可能性がこの研究により新たに確認されたといえるでしょう。

認知症の概念による記憶喪失

 

2:日本と世界の認知症患者数は増加傾向

こうした研究の背景には、日本のみならず世界的に認知症患者が増加傾向にあり、その対策が喫緊の課題となっていることがあります。九州大学の二宮利治教授らの「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」によると、日本の認知症患者は2015年の517万人から2040年の802万人への増加が予想されています。この予想数字は「厚生労働省の全国調査により報告された2012年の認知症患者数で補正した推定患者数」であり、「数学モデルで算出した推定患者数」では、2040年に826万人との予想数字も発表されています。

2015年3月に慶応大学から発表された「わが国における認知症の経済的影響に関する研究 」によれば、2014 年における認知症の社会的コストは 14兆 5,140 億円と推計されました。内訳は医療費1.9 兆円、介護費6.4 兆円、インフォーマルケアコスト6.2 兆円となります。なお、インフォーマルケアコストとは家族やNPO法人などが無償で実施する介護やサポートのことです。

 

日本の認知症患者数

出所:日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究

 

Alzheimer’s Disease Internationalの「World Alzheimer Report 2015」によると世界の認知症患者数は2015年の4,678万人から2040年には1億215万人へと大幅に増加すると予想されています。世界の高齢化が進み、高齢化に伴う認知症の有病率が急上昇することが認知症患者数の増加の理由です。特に、高所得国(High Income Countries)の高齢化率が大きく上昇することが特徴であり、高所得国は一層の認知症増加リスクを抱えます。

認知症患者数の推移

出所:World Alzheimer Report 2015

総人口に占める60歳以上の割合

出所:World Alzheimer Report 2015

年代別認知症有病率の推定値

出所:World Alzheimer Report 2015

なお、世界の認知症のコストは2015年に8,180億ドル、2018年に1兆ドル、2030年に2兆ドルになると予想されています。2兆ドルという金額は2020年の世界名目GDPランキング7位のイタリアのGDP1.9兆ドルを超える水準です。2020年の世界全体のGDPに対する構成比は2.4%となります。

認知症の世界的な推定総コスト

出所:World Alzheimer Report 2015

 

3:トラベル・ディバイドを解消し、シニア層にもっと旅行を楽しんで欲しい

ソニー生命が2022年9月8日に発表した「シニア(50歳~79歳)の現在の楽しみ」は「旅行」が他の娯楽を引き離し1位(45.3%)でした。しかしながら、日本では高齢者の旅行回数は70歳以上で激減します。2019年では全体層の平均旅行回数に対して国内旅行は34%減、海外旅行は72%減です。60歳以上を対象としても、海外旅行は全体平均より13%減少します。シニア層の旅行回数減少には、語学や経済面の問題だけではなく、旅行に必要な情報収集力や体力的な問題も大きく関係しているでしょう。

旅行回数の平均からの乖離率

出所:JTB旅行年報2020

 

旅行に行きたくても旅行に行けないということはまさにトラベル・ディバイドです。トラベル・ディバイドとはデジタル・ディバイドをヒントにした私の造語です。重い荷物や旅行情報格差が負担となり、旅行自体をあきらめてしまう高齢者、障害者、子連れファミリーなどの存在をトラベル・ディバイドと私は定義しています。

上述のように、旅行に認知症予防効果があるなら、トラベル・ディバイドもデジタル・ディバイド同様に一刻も早い解決が必要ではないでしょうか。シニア層が気軽に旅行できることは、認知症に係る社会的コスト軽減に繋がる可能性があるのですから。重いトランクからの解放、旅行情報格差の解消、これこそがより多くのシニア層への「身軽な旅行」の機会提供に繋がると当社は考えます。

当社のサービスをご利用いただき、シニア層の皆さんに気軽な旅行での「主観的幸福度」の高まりを実感して頂くことを願っています。

 

 

 

 

 

 

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