5月の日本旅程(熊本旅行)のまとめ、注意点
5月17日(火)から5月19日(木)にかけて、熊本県(一部福岡県)を旅行しました。今回の旅行では旬の魚介類や郷土料理を多く食べられ、世界遺産、国宝、国の重要文化財など素晴らしい観光地を訪問することができました。主に郷土料理を食べることを主目的にしていたため、過去の旅行よりも多くの郷土料理を食べることができました。皆さんに強くお勧めしたい5月の日本旅程です。今回の旅行のまとめといくつかの注意点を報告します。
目次
1、今回の日本旅程で食べられた「郷土料理百選」と「御当地人気料理特選」
毎回繰り返しますが、今回の旅程も「旬の魚介類と郷土料理を食べ尽くす」という目的で作成したものです。食が最優先で、観光地の優先順位は2番目です。とはいえ、国宝や国の重要文化財など観光スポットをできるだけ多く回ることを目指しました。
1、今回の日本旅程で食べられた「郷土料理百選」と「御当地人気料理特選」
熊本県:馬刺し、いきなりだご、辛子蓮根、太平燕
今回の熊本旅行では農林水産省が熊本県から4つ選定した「郷土料理百選」と「御当地人気料理特選」を全て食べることができました。「郷土料理百選」からは馬刺し、いきなりだご、辛子蓮根、「御当地人気料理特選」からは太平燕となります。ちなみに、「郷土料理百選」で3つの料理が選出されている都道府県は全国で5つしかありません。熊本県はそれだけ郷土料理が豊富ということです。
馬刺しは熊本県で最も有名な郷土料理と言っていいでしょう。今では東京でも馬刺しを食べることができますが、主に赤身が中心となります。熊本県では赤身に加え、霜降りやたてがみなど他の部位を美味しく食べることができることが特徴です。今回食べた馬刺し盛り合わせもとても美味でした。なお、馬肉のことを桜肉ともいいます。これは冬に十分肥えさせた馬を桜が咲く春に食べるのが美味しいということと切り口が桜色になるためです。馬肉の鍋は桜鍋といいます。
私は今回、「いきなりだご」を初めて食べました。私があまり甘いものを好きではないこともありますが、そもそも「いきなりだご」という存在を知りませんでした。「いきなりだご」の「いきなり」とは熊本弁で「簡単・手早く・すぐに」という意味です。また、「だご」は団子の熊本弁です。ホクホクのさつまいもに、小豆の餡の甘味、生地の塩味が効いてとても美味しい団子でした。
辛子蓮根は馬刺しと共に、熊本県の郷土料理として全国的に有名です。日本の郷土料理は辛い料理がほとんどなく、「郷土料理百選」と「御当地人気料理特選」にもほとんど辛い料理は選定されていません。その中で、熊本県の辛子蓮根と福岡県の辛子明太子は辛い郷土料理の双璧といえます。今回、辛子蓮根の発祥を調べてみると元々は殿様の滋養強壮料理であったことを知り、驚きました。今回食べた辛子蓮根もとても辛く、美味しかったです。
太平燕も熊本料理として有名です。「太平燕」は元々、中国福建省福州の郷土料理でした。春雨スープにエビ、イカ、豚肉、白菜、などを炒めたものを載せ、揚げ玉子を添えた麺料理です。熊本での「太平燕」は明治時代に華僑が日本に伝えた料理と言われています。太平燕は熊本では多くの中華料理店で食べることができます。不思議なのは太平燕と同様に、中国から伝わった長崎ちゃんぽんが日本全国でも食べられることに対し、太平燕はほとんど全国的な広がりが見られないことです。先述の辛子蓮根も辛子明太子と比較すると全国的な広がりがないと思います。馬刺し以外の熊本料理が全国区となりにくい理由が分かる人は教えてください。
今回は「郷土料理百選」と「御当地人気料理特選」以外にも、多くの熊本の郷土料理を食べることができました。農林水産省選定の「うちの郷土料理」からつぼん汁、焼鮎の甘露煮、このしろの姿寿司、豆腐の味噌漬け、シャク、一文字のぐるぐる、を食べられました。
「つぼん汁」と「豆腐の味噌漬け」は初日に宿泊した人吉旅館の夕食でいただきました。「つぼん汁」は、鶏肉、かまぼこ、里芋、ごぼう、人参、大根などが入った具だくさんの汁ものです。球磨地域に伝わる郷土料理です。豆腐の味噌漬けは人吉市近隣の五木村の郷土料理です。食感が雲丹に似ていることから、「山雲丹豆腐」とも言われます。「つぼん汁」は素朴な味わい、「豆腐の味噌漬け」は球磨焼酎にとても合う美味しい食べ物でした。
「焼鮎の甘露煮」は八代駅前にあるアユ料理の名店「より藤」で食べました。「より藤」は駅弁「鮎屋三代」を提供していることで有名です。「鮎屋三代」は九州の人気駅弁ランキングで3年連続の1位を獲得した大人気駅弁です。熊本県で「焼鮎の甘露煮」が有名なのは日本三大急流の球磨川が鮎の産地だからです。私は「より藤」で「焼鮎の甘露煮」に加え、鮎の塩焼きと「子うるか」も食べました。「子うるか」とは鮎の魚卵と精巣を使った塩辛です。「より藤」で食べた鮎の甘露煮・塩焼きは私の人生で圧倒的に一番美味しい鮎でした。
「このしろの姿寿司」と「シャク」は宇城市不知火町の「錦寿司」で食べました。「錦寿司」はミシュランガイドのビブグルマンに選出された名店です。「コノシロ姿寿司」は特に、八代海沿岸部、天草灘、有明海に面した地域で食されます。初めて食べた「コノシロ姿寿司」は酢の効き方が絶妙でとても美味しかったです。コノシロの漁獲量は熊本県が全国2位です。なお、1位は千葉県です(2020年)。特に、コノシロの漁獲量が多い宇城市では「コノシロ部長」というキャラクターを作り、「うきうきコノシロ街道」というグルメ街道をアピールしています。
「シャク」は正式には穴ジャコといいます。形が似ていますが、蝦蛄(シャコ)とは全く違う種類の甲殻類です。5月頃からが旬の時期になります。茹でると赤くなり、殻が柔らかいのでそのまま全て食べることができます。私は初めて食べましたが、とても美味しかったです。農林水産省の「うちの郷土料理」には「シャクの天ぷら」として掲載されていますが、「シャク」の食べ方は天ぷらだけではなく、今回私が食べたように茹でたり、煮つけにしても食べます。「シャク」は鮮度落ちが早く、陸では長く生きられないので熊本県以外には流通していません。
「一文字のぐるぐる」の一文字とはわけぎの別称です。ぐるぐるとは茹でた一文字の白根の部分を軸に青い葉の部分をぐるぐると巻き付けたことで名付けられました。酢味噌や辛味噌をつけて食べます。わけぎと酢味噌のバランスが絶妙でとても美味しかったです。
2、今回の日本旅程で食べられた旬の「PRIDE FISH」
熊本県:無し
今回の熊本旅行では「PRIDE FISH」を食べられませんでした。熊本県の「PRIDE FISH」は1年間で3種類しかありません。「PRIDE FISH」が3種類というのは全都道府県で最も少ない県です。私が旅行した5月は熊本アサリ(旬:3月~5月)しか「PRIDE FISH」に挙げられていません。
今年に入り、外国産アサリが「熊本県産」として9割以上も出荷されていたとして、熊本アサリの産地偽装問題が大々的に報道されました。こうした偽装問題があったことから、熊本ではアサリをメニューに見かけなかったのか分かりません。しかし、今回は熊本アサリを見かけることはなく、「PRIDE FISH」を食べられませんでした。とても残念でした。
「PRIDE FISH」は全国漁業協同組合連合会の選定です。
3、今回の日本旅程の注意点(ローカル鉄道)
毎回同じことを書いていますが、大事なことなので繰り返します。今回も旅行のルールとして、レンタサイクルを含む公共交通機関のみを利用する環境配慮型旅行としています。
こちらも再確認となりますが、公共交通機関を利用する旅行は自動車での旅行と比べるとCO2排出量は圧倒的に少なくなります。例えば、国土交通省のデータでは、1人が1km移動する際のCO2排出量は自動車の130gに対し、航空機は98g(自動車の75%)、バスは57g(同44%)、鉄道は17g(同13%)です。
いつも変わりませんが、今回もワンマン列車の乗降方法が分かりにくかったです。今回の旅行では「JR三角線」と「JR鹿児島本線」(私は三角駅から大牟田駅まで乗車)はワンマン列車でした。
ワンマン列車では乗降の際、ボタンを押してドアを開ける必要があります。また、乗車時は整理券を取り、降車時は整理券とお金を運賃箱に入れて降ります。
乗降の仕方について車内と駅にポスターが貼っていましたが、日本語のみでした。鉄道事業者や観光協会は責任を持って外国語での案内をすべきです。
ワンマン列車の場合は常に1両目に乗るようにすれば安心です。日本の地方を旅行する際には電車の乗降ルールは絶対に覚えておきましょう。ただし、1両目の前方ドアから乗るのか後方ドアから乗るのかは鉄道事業者によって異なります。
細かな注意点は旅行日にそれぞれ書きましたのでご覧ください。
4、身軽な恰好での旅行
こちらも毎回、繰り返しになりますが、今回の旅行でも自分の衣服や電源コードを宿泊先に事前に送り、毎日「手ぶら旅行」を楽しみました。やはり、散歩するような身軽な恰好で旅行するのはとてもラクです。鉄道や飛行機で到着後すぐに行動できるのは時間の有効活用に大切なことです。今回も旅行の最終日には、洗濯代行業者に旅行中に着た衣服を送り、洗濯もせずにすみました。皆さんにも「手ぶら旅行」の快適さを経験して欲しいです。
5、5月17日(火曜日)1日目
人吉市内観光で一番最初に青井阿蘇神社を訪問しました。青井阿蘇神社は806年に創建されました。現存の本殿、廊、幣殿、拝殿と楼門の計5棟は1610年から1613年にかけて造営されたものです。人吉藩初代藩主相良長毎とその重臣相良清兵衛の発起によって建造されました。一連の社殿がすべて同時期の造営ということは日本全体でも珍しく、大変貴重なものです。屋根の棟が高く勾配が急な萱葺き屋根が一番の特徴です。こうした建築方式は人吉球磨地方独特のものです。
青井阿蘇神社は2008年に国宝に指定されました。青井阿蘇神社は茅葺の社寺建造物として初めての国宝指定で熊本県唯一の国宝建造物でもあります。なお、九州の神社では大分県宇佐八幡宮本殿に次いで2件目の国宝となります。
青井阿蘇神社は令和2年7月豪雨災害(2020年)には国宝の拝殿が床上浸水し、禊橋は欄干が損壊するなどの被害が出ました。欄干は現在も修理中です。
私は茅葺の楼門の素晴らしさに感動しました。高さ12メートルの禅宗様式と桃山様式が見事に調和した建造物です。経年による一部彩色に剥落があるものの、往時の見事な色彩を今に伝えています。
青井阿蘇神社の次に、老神神社(おいかみじんじゃ)に行きました。老神神社は国の重要文化財です。
老神神社は807年に創建された神社です。現在の社殿は1628年に人吉藩初代藩主の相良長毎によって建造されたものです。桃山時代風の建築手法をよく残しています。また、西南戦争の戦場になった地でもあります。
老神神社の次に、岩屋熊野座神社に行きました。岩屋熊野坐神社は相良氏の初代当主の相良長頼(さがらながより)が1230年ごろに熊野三所権現を勧請したのが創建です。国の重要文化財です。
岩屋熊野座神社の本殿3棟は1727年の建立と考えられています。石鳥居は1701年に寄進されたもので、稚児柱がついた両部鳥居形式では球磨地方唯一のものです。
人吉駅には日本国内で唯一現役の石造鉄道車庫があります。石造車庫は1911年の建造です。
5月17日の観光の最後に、山田大王神社へ行きました。山田大王神社の本殿は1546年に建造された国の重要文化財です。山田大王神社は中世に遡る数少ない建築で神社というより中世の豪農の家のように見えます。
山田大王神社は永吉庄山田村地頭であった平河藤高の霊を祀る神社です。平河(平川とも書きます)氏は相良長頼に血敷原(ちしきばる)の戦いで滅ぼされた豪族です。血敷原という名前にあるように、両氏の戦いはかなり凄惨なものだったと推定されます。山田大王神社や荒田大王神社などは平河一族の霊を弔うために建設されました。なお、神社につけられた大王という名は「豪族」につけられた名前です。
食事
今回の熊本旅行の最初の食事は「上村うなぎ屋」で頂きました。「上村うなぎ屋」は1908年創業で100年以上の歴史をもつ老舗鰻屋です。「食べログ100名店」にも選ばれています。人吉市で唯一の「食べログ100名店」です。
私は「上村うなぎ屋」で「うざく」(800円)、「鰻の肝」(1,000円)、「鰻重(小)」(3,200円)を注文しました。「うざく」の味は平均以上の水準でしたが、「鰻の肝」と「鰻重」は絶品でした。
「鰻の肝」は写真で分かるように、鰻20匹分はあるのではないかというくらいのボリュームでした。私は鰻好きで鰻の肝も大好きなのですが、こんなに多くの鰻の肝を食べたのは人生で初めてだと思います。
「上村うなぎ屋」では鰻を5~10日ほど真水の中で泳がせて、身の引き締まったものを注文を受けてから捌き、炭火で焼き上げ、秘伝のタレをつけて「鰻重」や「鰻丼」を提供しています。真水の中で泳がせることから、全く臭みがありません。球磨川で鰻が獲れたため、人吉市には「うなぎ屋」が多くあります。「食べログ」に登録されている「うなぎ屋」の数は人吉市だけで5軒あります。なお、現在は球磨川の天然鰻の漁獲量が減ったため、「上村うなぎ屋」では鹿児島県の鰻を使っているようです。
人吉市観光を終え、繊月酒造で米焼酎の試飲をしました。繊月酒造は1903年創業の老舗米焼酎メーカーです。
人吉市では約500年の米焼酎の歴史があります。1546年には「日本では米焼酎を飲んでいる」とフランシスコ・ザビエルに報告された記録があるようです。一方、芋焼酎の生産は1782年以降です。そのため、日本最古の焼酎は米焼酎と言われています。
人吉藩の藩主相良氏は東南アジアや大陸と活発に交易をしており、蒸留技術が持ち込まれたことが焼酎造りのきっかけになったと言われています。現在も人吉地方には27の蔵元があります。人吉盆地で生産される米焼酎は「球磨焼酎」と呼ばれ、世界貿易機関のTRIPS協定(知的所有権の貿易関連の側面に関する協定)に基づく産地表示の保護指定を受けています。産地表示の保護指定を受けている酒類はスコッチウイスキー、ボルドーワインなど数少なく、「球磨焼酎」は世界的に認められたブランドです。
なお、同じ米を原料とする米焼酎と日本酒のもっとも大きな違いは、「蒸留酒か、醸造酒か」という点です。日本酒は原料であるお米を発酵して造られる醸造酒です。一方、米焼酎は醸造されたお酒に蒸留という工程が加わる「蒸留酒」です。米焼酎と日本酒ではアルコール度数も異なります。アルコール度数は日本酒が22度以下、米焼酎は45度以下です。
米どころであった人吉盆地では温暖な気候が日本酒造りに適しておらず、日本酒ではなく米焼酎を作ったと推定されています。日本酒では「寒造り」という言葉があるように、最も酒造りに適しているのは12月~2月頃までの寒い季節と言われています。温暖な九州や沖縄で日本酒生産量が少ないのはこのような理由です。
真偽のほどは分かりませんが、人吉盆地で米焼酎が多く生産された理由は人吉藩が幕府の検地を回避して、実際の石高が名目石高を大きく上回っており、貴重な米を米焼酎造りに回せたからだと言われています。人吉藩の石高は2万2000石でしたが、実際は10万石だったようです。これは人吉盆地はひょうたん型で、幕府の検地が行われる土地のさらに奥に広い盆地が広がって米を生産していたためと言われています。従って、人吉藩のみ余った米で米焼酎を生産できましたが、九州の他藩は「粕取り焼酎」といわれる酒粕を使った焼酎を生産していました。私もこうした話を今回の人吉旅行で2回も地元の方に聞きました。
このように、人吉盆地における米焼酎の歴史の長さや思い入れは強く、国宝の青井阿蘇神社でも米焼酎が奉納されています。
私は試飲して気に入った「無言」を買い、夜に「人吉旅館」で飲みました。味も色も焼酎と言うよりはウィスキーではないかと勘違いするくらい今まで飲んだことがある米焼酎とは別物でした。
繊月酒造で試飲を楽しんだ後、夕食は宿泊した「人吉旅館」でいただきました。「人吉旅館」の夕食は郷土料理中心の贅沢な食事で大満足でした。
まず、前菜は「筍と烏賊の木の芽和え」や「フキの白和え」など綺麗に盛り付けられた小鉢でした。全て美味しかったのですが、特に、人吉市近隣の五木村の郷土料理である「山雲丹豆腐」は絶品でした。
「山女(ヤマメ)洗い(刺身)」と「山女塩焼き」も最高の美味しさでした。山女とはサクラマスのうち、一生を河川で過ごす河川残留型(陸封型)の魚です。山女はその美しさから「渓流の女王」とよばれています。
「里芋饅頭ゆば餡掛け」、「茶碗蒸し」、「筍薄衣揚げ・山菜天ぷら」などもとても美味しく、大満足のまま、鍋料理を頂きました。
鍋料理は「球磨の黒豚」と「たもぎ茸」でした。「たもぎ茸」はヒラタケの仲間のキノコです。鮮やかな黄色の傘があり、老化を抑制するエルゴチオネイン(抗酸化成分)を多く含む特徴があります。「たもぎ茸」は中国や台湾でも「珊瑚菇」や「玉米菇」と呼ばれて食べられているようです。日本では「たもぎ茸」の主な生産地は北海道や東北ですが、人吉市近隣の熊本県あさぎり町でも生産されています。鍋には熊本駅 – 人吉駅間で走っていた「SL人吉」にちなんだ絵が描かれていました。「SL人吉」は令和2年7月豪雨により、現在は熊本駅 – 鳥栖駅間でのみ運行しています。
食事の最後は「地鶏と茸と薄揚げの釜めし」と「つぼん汁」でした。「釜めし」も「つぼん汁」もとても美味しい料理でした。
デザートは「洋梨のソルベと球磨栗のモンブラン最中仕立て」でした。このデザートはケーキ屋やカフェで売りだしたら、かなり話題になるだろうと思わせるくらいレベルが高いと思いました。本当に絶品でした。
「人吉旅館」の料理は全て美味しく、大満足で夕食会場を後にしました。また、「人吉旅館」の夕食では女将が各テーブルをあいさつ回りをし、女中さんたちも愛想よく気持ちのいいサービスで心が安らぎました。
なお、「人吉旅館」は国登録有形文化財の宿です。「人吉旅館」は令和2年7月豪雨で甚大な被害を受けましたが全面復旧し、今年5月に全館再開しました。今では全く災害の跡もなく、「人吉旅館」の復興の力を見ることができ良かったです。
注意点
熊本県人吉市への最寄り空港が鹿児島空港であることには注意が必要です。鹿児島空港から人吉駅までは1時間10分~1時間20分程度の所要時間です。一方、熊本空港から人吉駅までは2時間~2時間20分もかかります。熊本空港は熊本駅までも約1時間必要であり、日本の中でも市内へのアクセスが最も悪い空港の一つです。
なお、市内へのアクセスが日本で最もいい福岡空港から人吉駅までは新幹線を使用すると2時間20分~2時間30分と熊本空港からの所要時間とほとんど変わりはありません。ただし、福岡空港から人吉駅までの運賃は熊本空港から人吉駅までの運賃と比較して、約3倍となります。
6、5月18日(水曜日)2日目
新八代駅には花火の尺玉を持ったくまモンがいます。この尺玉を持ったくまモンは「やつしろ全国花火競技大会」にちなんだものです。「やつしろ全国花火競技大会」は毎年10月に行われます。
なお、八代市にはくまモンが街中に100体以上います。くまモンマップもあります。私は事前にそんなに多くのくまモンが八代市にいるとは知らなかったのですが、確かに街中で多くのくまモンを見かけました。くまモンが好きな方は是非、八代を訪れてみてください。
八代駅前にもくまモンがいました。私は黄色い球を持ったくまモンと思っていたのですが、実は黄色い球は晩白柚(ばんぺいゆ)だそうです。晩白柚は八代特産の世界一大きな柑橘類です。
八代駅近くで絶品昼食を頂いた後に、自転車を借り、「くまモンポート八代」へ行きました。八代駅から「くまモンポート八代」まで約9kmあります。
「くまモンポート八代」は国際クルーズ船の受入れ拠点として、2020年3月に完成しました。新型コロナの蔓延が始まったタイミングでの完成となり、まさに最悪のタイミングでの開園でした。「くまモンポート八代」では地域住民の憩いの場として、くまモンをテーマとした特色ある公園を併設しています。「くまモンポート八代」にはくまモンが84体もいます。
「くまモンポート八代」は毎週水曜日が休園日です。公園なので休演日があるとは思わず、「くまモンポート八代」まで自転車で行ったのですが、「休園日」の看板がかかっており、中に入ることができませんでした。
残念でしたが、外側からくまモンを少し撮影できたので、写真を掲載します。「くまモンポート八代」はくまモン好きには堪らない公園だと思います。入場料は無料です。
「くまモンポート八代」から国の重要文化財の「旧郡築新地甲号樋門」へ行きました。
「旧郡築新地甲号樋門」は干拓事業である「郡築新地」に設けられた樋門で、明治33(1900)年に建設されました。樋門の長さは31.8m、樋門の幅は8.3mあります。
「八代市立博物館未来の森ミュージアム」の設計は世界的建築家伊東豊雄氏(米プリッカー賞受賞者)です。
「八代市立博物館未来の森ミュージアム」前にはマスクをしたくまモンが立っていました。また、ミュージアムの斜め前にある八代市立図書館には本を持ったくまモンがいました。
次に、「八代市立博物館未来の森ミュージアム」の目の前にある松浜軒(しょうひんけん)で日本庭園を満喫しました。松浜軒は八代城主・松井直之が1688年に造った大名庭園で国の名勝です。
ちょうど肥後花菖蒲が咲き始めていました。肥後花菖蒲は門外不出という永代不変の会の規則を持つ満月会によって守られています。松浜軒の肥後花菖蒲は唯一の例外として満月会から移植を許されたものです。
なお、松浜軒には松井家の現在の当主が今でも住んでいます。そのため、住居内の見学はできません。
「八代城跡群および八代宮」として、国の史跡に指定されています。
八代城は1622年に竣工した城です。一国一城令(1615年)の後で同じ藩内に二つの城が認められたのは極めて異例でした。熊本藩内に2つの城(熊本城、八代城)の存在が許された理由は外様の薩摩藩、人吉藩への備えとしてというのが通説です。八代城の本丸には4層5階の大天守と2層2階の小天守がありました。
八代宮は1884年に創建されました。八代城址にあり、後醍醐天皇の皇子で九州で足利軍と戦った懐良親王を主祭神としています。
八代城址から春光寺へ向かう途中で偶然、龍王神社を見つけました。八代城址から自転車で5分ほどの距離(1.5km)です。
龍王神社は神社としては珍しく、黒と金色のみで作られています。スポーツ選手、有名芸能人等多くの有名人も訪れてる「八代のパワースポット」らしいです。
私は本来、日本固有の落ち着いた神社が好きなのですが、こういう変わった神社もたまにはいいなあ、と思いました。龍王神社の存在を全く知らず、偶然見つけただけに、かなりうれしい驚きとなりました。
龍王神社の次に春光寺へ行きました。春光寺は八代城主松井家の菩提寺です。1877年の「西南の役」では、この地は戦場となり、所々に弾痕が残っています。春光寺は八代市指定有形文化財です。
春光寺の境内には紫陽花が綺麗に咲いていました。紫陽花は花の中でも最も好きな花の一つです。
八代観光の最後の場所として、八代神社(妙見宮)へ行きました。八代神社(妙見宮)は福島県の相馬妙見、大阪府の能勢妙見とともに日本三大妙見の一つといわれています。
妙見信仰は、インドで発祥した菩薩信仰が、中国で道教の北極星・北斗七星信仰と習合し、仏教の一種として日本に伝来したものです。妙見信仰が日本へ伝わったのは7世紀(飛鳥時代)のことで、かなり以前からの信仰です。「妙見」とは「優れた視力」の意味で、善悪や真理をよく見通す者ということです。
八代神社(妙見宮)の社殿創建は795年といわれる歴史ある神社です。八代神社(妙見宮)の妙見祭は九州三大祭りの一つで「八代妙見祭の御幸行事」として、国の重要無形民俗文化財に指定されています。また、「山・鉾・屋台行事」の1つとして国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されています。建物は熊本県指定有形文化財です。
八代神社(妙見宮)を見学した後に、八代駅へ戻りました。その途中で、白衣を着たくまモンを見かけました。
JR八代駅の横にある肥薩オレンジ鉄道八代駅には「くまモン列車」が停車していました。最初、水色の「くまモンラッピング列車1号」が到着し、その後、オレンジ色の「くまモンラッピング列車2号」が到着し、1号と連結しました。肥薩オレンジ鉄道には「くまモン列車」は3号までしかなく、そのうちの2号を偶然見ることができたのはとてもラッキーでした。
私が宿泊した松錦館前には不知火海が広がっていました。不知火海は有明海同様に、かなり遠浅の海でした。私はこれまで全く知らなかったのですが、不知火とは旧暦8月1日前後に現れる蜃気楼の一種で、怪火の一種です。不知火の光源は漁火であると解明されました。しかし、現在では八代など対岸の電灯の灯りの存在や海水が汚染されたことから、ほとんど不知火を見れなくなったそうです。
食事
5月18日の朝食は宿泊の「人吉旅館」でいただきました。私は温泉旅館の朝食が大好きです。朝食なのに、多くの種類のおかずを食べられるのは最高です。また、多くの種類のおかずを入れた小鉢の彩りも綺麗です。
「人吉旅館」の朝食は今まで食べた温泉旅館の朝食の中でもトップクラスの美味しさでした。鮎の干物は初めて食べました。「人吉旅館」の横を流れる球磨川は美味しい鮎が獲れることで有名です。鮎漁の解禁日は6月1日なので、今回は鮎の干物しか食べられなかったのは残念です。次回、鮎漁が行われている時期に人吉を再訪したいと思いました。
八代市に到着し、八代駅前の「より藤」で昼食を食べました。「より藤」は駅弁「鮎屋三代」を提供していることで有名です。「鮎屋三代」は九州の人気駅弁ランキングで3年連続の1位を獲得した大人気駅弁です。この駅弁は焼鮎の出汁で炊き込んだご飯の上に、骨まで柔らかく煮込んだ球磨川の天然鮎の甘露煮(もしくは塩焼き)が丸ごと一匹のったお弁当です。
「より藤」では「甘露・塩焼き定食」(2,600円)と「子うるか」(600円)を食べました。駅弁「鮎屋三代」では甘露煮か塩焼きの二択になりますが、「より藤」では両方食べることができます。鮎の甘露煮は骨まで柔らかく煮込んでいるので、鮎を丸ごと食べることができます。また、鮎の塩焼きは前シーズンに獲れた冷凍鮎を解凍して焼くことにより、生の鮎と同じ味が楽しめます。焼鮎の出汁で炊き込んだご飯は優しい味付けで甘露煮にとても良く合います。「より藤」で食べた鮎の甘露煮・塩焼きは私の人生で圧倒的に一番美味しい鮎でした。「より藤」に行くためだけに八代を再訪したいと思える美味しさでした。
「子うるか」とは鮎の魚卵と精巣を使った塩辛のことです。塩辛ですが、烏賊の塩辛と比べるとそれほど塩辛くありません。私は「子うるか」を初めて食べましたが、絶妙な味の珍味でした。この「子うるか」も「より藤」再訪の際には絶対に食べたい珍味となりました。次回、食べる際には日本酒と共に食べたい珍味です。
夕食は宿泊先の「割烹旅館 松錦館」の横にある「錦寿司」で食べました。「錦寿司」はミシュランガイドのビブグルマンに選出された名店です。昼食を食べた「より藤」も最高だったのですが、「錦寿司」でも地魚を中心とした新鮮な魚介類を頂き、大満足でした。5月18日は朝食から夕食まですべてが美味しい完璧な食事の日となりました。3食とも完璧な食事を食べることができたのは私の人生でも数回程度ではないでしょうか。本当に幸せな日となりました。
「割烹旅館 松錦館」の経営は「錦寿司」の大将の息子さんがされています。「錦寿司」で美味しい日本酒を飲んで酔っ払っても隣の「松錦館」で寝るだけなので安心です。お酒を飲んだ後に移動する必要がないのも気分的にラクでいいです。
「錦寿司」では最初に地魚中心の「刺身盛り合わせ」を注文しました。内容は石垣鯛、マナガツオ、アオリイカ(ミズイカ)でした。熊本における石垣鯛の旬は初夏です。5,6月から本格的に美味しくなります。マナガツオも旬は初夏になります。アオリイカの熊本における旬は4-6月です。「刺身盛り合わせ」に入っていた魚介類は全て旬のもので、とても美味しくいただくことができました。
次に、大将お勧めの茹でた「シャク」を食べました。「シャク」は正式には穴ジャコといいます。形が似ているので、蝦蛄(シャコ)かと思いましたが、全く違う種類の甲殻類だそうです。「シャク釣り」は潮が引いた後に現れた巣穴に筆を入れ、穴の入り口まで出てきた「シャク」を、1匹ずつ捕獲する方法です。「錦寿司」の大将と女将さんに教えてもらいました。おもしろい釣り方があるのですね。
「シャク」の次に、茹でたヒイカ(ジンドウイカ)・ミミイカを頂きました。どちらも小型のイカです。特に、ミミイカ(写真の左側)は大きさが3-4cmほどのとてもかわいいイカです。ヒイカ(ジンドウイカ)は全国的に獲れるイカですが、ミミイカはほとんど流通しない珍しいイカです。旬は春なので、ぎりぎり旬の時期に食べることができました。どちらも美味しいイカでした。
次に、私の目当ての「コノシロ姿寿司」を食べました。コノシロの旬は秋~冬なので、是非、旬の時期にも「コノシロ姿寿司」を食べたいです。
最後に、「まっちゃにぎり」と「バッテラ」を頂きました。「まっちゃにぎり」とは「錦寿司」がある不知火町松合の松合を地元では「まっちゃ」ということから付けられた「地魚寿司」のことです。「まっちゃにぎり」には、にし貝、こう貝、太刀魚、ヒラメ、アジ、穴子、車海老が入っていました。
にし貝はアカニシともいわれる巻貝で、旬は2-5月です。こう貝はテングニシともいわれる巻貝で、旬は春です。熊本県を中心に非常に限定した場所でしか獲れません。太刀魚の旬は夏〜秋にかけてです。不知火町から車で30分強の天草では太刀魚漁が盛んです。太刀魚は熊本県が選定する17種類の地魚「くまもと四季のさかな」に選定されています。同様に、ヒラメ、アジ、車海老も「くまもと四季のさかな」に選定されています。
「まっちゃにぎり」、「バッテラ」ともに美味しく、感動しながら一貫ずつ有難く頂きました。「錦寿司」は最高の寿司屋でした。御馳走様でした。
注意点
八代駅の自転車のレンタル代は1日300円と格安でした。また、荷物を預かってくれました。八代駅のコインロッカーは400円だったので、自転車を借りて、荷物を預かってもらった方が割安です。
7、5月19日(木曜日)3日目
5月19日の朝に、宿泊の「割烹旅館 松錦館」から歩いて10分ほどの場所にある「永尾剱神社(えいのおつるぎじんじゃ)」に行きました。永尾剱神社は713年に創建されました。海童神(玉依姫命)が巨大な「エイ」の背中に乗ってやってきて、鎮座したと伝わっています。
なお、不知火現象の展望地点として永尾剱(えいのおつるぎ)神社(宇城市)の境内が知られています。「不知火及び水島」として、国の名勝に指定されています。2022年は8月26日夜に不知火現象が現れる予定となっています。
宿泊していた「割烹旅館 松錦館」から三角西港へ向かいました。三角西港前へ行くには「三角産交」でバスを乗り換える必要があります。その乗り換え時間の間に「海のピラミッド」と呼ばれている三角港フェリーターミナルへ行きました。「海のピラミッド」は巻貝と同じような形の直径34m、高さ25mの円錐型の建物です。内側にも外側にもスロープがあります。
とてもおもしろいデザインの建物だと思いました。設計は熊本市生まれの建築家の葉 祥栄(よう しょうえい)氏です。「海のピラミッド」の円錐頂部のトップライトは夜間は発光します。「海のピラミッド」の上は見晴らしがよい気持ちの居場所で、景色はとても綺麗でした。
三角駅は1899年に開設され、1903年に現在地に移転した歴史が長い駅です。三角駅は三角線(愛称「あまくさみすみ線」)の終着駅です。1903年に作られた天井の高い木造駅舎が残っています。終着駅らしい落ち着いたたたずまいの駅で好感が持てます。
三角西港は1887年にオランダ人のローエンホルスト・ムルドルの設計により築港されました。築港当時の姿が完璧に現存している唯一の港として国の重要文化財に指定されています。また、三角西港は世界遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成資産のひとつです。三角浦の文化的景観として「国の重要文化的景観」にも選定されています。
三角西港周辺には歴史的な建物が多くあります。
旧三角簡易裁判所本館は1890年に開庁し、後に現在地に移築されました。今は法廷の仕組みを紹介する施設として活用されています。
浦島屋は昔は旅館でした。1893年に小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が滞在し、浦島屋を大変気に入りました。「夏の日の夢」という紀行文において「その宿は、私にとって極楽であり、女中達は天女のように思われた。」と絶賛しました。現在は休憩室などに使用されています。
龍驤館(りゅうじょうかん)は明治天皇の即位50周年を記念して建設を計画され、1918年に建てられた木造平屋建ての洋館です。国指定有形文化財です。現在は三角西港や世界遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」についての紹介施設として使われています。
旧高田回漕店は三角西港開港時の1887年には建設されていた古い建物です。宇城市の登録有形文化財です。
三角築港記念館は1887年ごろに建てられ、役倉庫として使われていた土蔵造りの建物です。現在は「西港明治館」というレストランとして使用されています。宇城市の登録有形文化財です。
三角西港周辺の観光スポットはこじんまりとまとまっており、1時間程度あれば十分回れます。明治時代の雰囲気を感じられるお勧め観光地です。
三角西港から、三池炭鉱万田坑跡へ行きました。
万田坑は三池炭鉱の一つの坑口です。熊本県荒尾市内と福岡県大牟田市内に三池炭鉱の主要な坑口が散在しています。万田坑の第一竪坑櫓は1899年、第二竪坑櫓は1908年に完成しました。1997年3月30日に閉山しましたが、万田坑の施設は今でも非常に良好に残っています。ジャックエンジン、ウインチや巻揚機がほぼ当初の状態で残っており、見学していても明治時代の雰囲気を感じられます。以下の写真の1枚目のジャックエンジンは世界でも万田坑にしか残っていないそうです。
第二竪坑櫓や巻揚機室、山ノ神祭祀施設などが国の重要文化財の指定を受けています。また、「明治日本の産業革命遺産」の構成資産の一つとして世界遺産に登録されました。
三池炭鉱万田坑跡の次に三池炭鉱宮原坑跡へ行きました。三池炭鉱宮原坑の第一竪坑は1898年に完成し、出炭を開始しました。第二竪坑は1901年に設備が完成しました。万田坑より若干早い完成です。閉抗時期は万田坑が1997年だったことに対して宮原坑は1931年と大幅に早い閉坑でした。そのため、万田坑に比べると残っている設備の数や規模も大きく劣ります。
第二竪坑櫓や巻揚機室などが国の重要文化財の指定を受けています。また、「明治日本の産業革命遺産」の構成資産の一つとして世界遺産に登録されました。
熊本駅構内や熊本駅改札外の肥後よかモン市場の前にもくまモンがいました。
食事
5月19日の朝食兼昼食は三角駅近くの「天草ちゃんぽん 千蘭」でいただきました。天草ちゃんぽんは長崎ちゃんぽん、小浜ちゃんぽんと並んで「日本三大ちゃんぽん」の1つに数えられます。なお、小浜ちゃんぽんは長崎県の小浜温泉(雲仙市小浜町)で発展したちゃんぽんです。「日本三大ちゃんぽん」で調べると小浜ちゃんぽんの代わりに戸畑ちゃんぽん(福岡県北九州市戸畑区)が挙げられる場合もあります。
天草ちゃんぽんは長崎ちゃんぽんの技に天草の食材を加えてアレンジしたのが始まりとされています。「千蘭」は奈良県で長年営業していた店主ご夫婦が奥さんの地元天草近くで2年前に開いた店です。奈良県では大人気店だったようで、ラーメン雑誌「究極のラーメン2020」のバラエティ部門でグランプリを受賞しました。店主によると奈良県の「千蘭」の常連さんが味を忘れられずに宇城市三角町まで食べに来ることもあるそうです。店主ご夫婦の気さくな人柄も人気の秘密でしょう。
私は焼きめし(600円)と大王肉入りの天草ちゃんぽん(900円)を注文しました。大王肉とは国内最大級大きさの地鶏「天草大王」の肉です。雄の最大のもので背丈90cm、体重約7kgにもなるとても大きい地鶏となります。ちなみに、ブロイラーは2kg前後の体重です。天草大王の肉質は硬すぎず柔らかすぎない歯ごたえ・弾力とジューシーさが特徴です。
「千蘭」の天草ちゃんぽんは魚介類が全く入っていないことが特徴です。スープも鶏出汁が効いた濃厚スープでした。この濃厚スープは癖になる味で今でも忘れられません。宇城市三角町というかなり小さな町のラーメン店ですが、確実に名店と言っていいでしょう。
夕食は熊本駅の肥後よかモン市場にある「HERO海 熊本駅店」で頂きました。私が注文したのは「一文字のぐるぐる」(530円)、「辛子蓮根」(650円)、「ばくだん」(530円)、「糸もずく酢」(530円)、「馬刺し盛り」(1,800円)です。「HERO海 熊本駅店」では熊本県天草諸島牛深出身の社長が牛深産の魚介類や熊本の郷土料理などを提供する居酒屋です。観光客にとっては様々な魚介類、郷土料理を食べられるため、非常に便利な居酒屋だと思います。
熊本県の馬肉生産量は日本一です。熊本県の馬刺しは誰もが知る有名料理で説明は不要でしょう。「HERO海 熊本駅店」で食べた馬刺しもとても美味しかったです。
「一文字のぐるぐる」は昨年、熊本に旅行した時に初めて食べ、とても美味しかったので今回も注文しました。今回も美味しかったので、熊本に来るときは毎回注文しようと決意しました。
「辛子蓮根」は全国的に有名な熊本県の郷土料理です。「辛子蓮根」の発祥は肥後国熊本藩初代藩主の細川忠利にかかわりがあります。病弱だった細川忠利に栄養をつけさせようと蓮根の穴に和辛子粉を混ぜた麦味噌を詰め、衣をつけて揚げたものを忠利に献上したのが始まりです。殿様用の料理だったので、江戸時代が終わるまでは秘伝の料理だったそうです。
「ばくだん」は天草地方の名物料理です。かまぼこの中にまるごと1個のゆでたまごが入っています。ビールのつまみに最高でした。
「糸もずく酢」は牛深産の「糸もずく」を使用したさっぱりした美味しい料理でした。ちなみに、沖縄で多く獲れる「太もずく」は、褐藻類・ナガマツモ科の「オキナワモズク」という種類です。一方、「糸もずく」は褐藻類・モズク科の「モズク」という種類です。「糸もずく」は繊維のまわりにぬめり成分があり柔らかく、なめらかな口あたりです。
私は熊本での最後の食事として、「くまもと土産 旬彩館」で「いきなりだご」を買い、「ラーメン くすのき」で買った「太平燕」とともに食べました。
「いきなりだご」はホクホクのさつまいもに、小豆の餡の甘味、生地の塩味が効いてとても美味しい団子でした。
「ラーメン くすのき」の「太平燕」は空港で食べたとは思えないほど、十分美味しいものでした。しかし、昨年の熊本旅行の際に熊本市内で食べた「紅蘭亭」の「太平燕」で感動した美味しさには劣りました。もちろん、「紅蘭亭」は名店なので、「紅蘭亭」に負けるのは仕方がありません。
「いきなりだご」と「太平燕」を食べた後、「デコポンチューハイ」を飛行機の中で飲みながら羽田空港へ向かいました。ちなみに、「デコポン」は私が宿泊した不知火町(現・宇城市)で清見とポンカンをかけあわせ「不知火」として生産されたのが始まりです。この「不知火」系のうち糖度13度以上のものを「デコポン」の名称で商品化・出荷が開始されました。「デコポンチューハイ」は「デコポン」の商標を持つ熊本県果実農業協同組合連合会(熊本果実連)が販売しています。
今回の熊本旅行も大変楽しい旅となりました。今まで熊本旅行では人吉市や八代市、宇城市、荒尾市など今まで行ったことが無かった地域へ行けて良かったです。全てとても魅力的な土地でした。
注意点
万田抗、宮原坑ともボランティアの方々が無料でガイドをしてくれます。ただし、万田坑は入館料(大人410円、高校生310円、小・中学生210円)がかかります。
現在、宮原坑の修理工事が行われており、建物内部の見学ができません。2023年3月には修理工事が終了する予定です。
現在、熊本空港は改装作業中で、新旅客ターミナルビルは2023年春に開業予定です。
(注:文中に掲載している交通機関の出発・到着時間や運賃、入場料、食事の料金などはBLOG執筆時のものです。今後変更する可能性がありますので、旅行に行く際にご自身でご確認ください。)