2月の日本旅程5日目(鳥取県、島根県)
(2月27日 日曜日)
目次
1、米子市内散策
2月27日の朝、米子市内を散策しました。まず、米子城跡に行きました。
米子城はかつて五重の天守閣と四重櫓を持ち、「山陰随一の名城」と呼ばれました。1591年頃、吉川広家が標高約90mの湊山に築城したのが米子城の始まりといわれています。本丸、二の丸などが国史跡に指定されています。また、2022年元旦に放送されたNHK新春特集「日本最強の城スペシャル 第10弾~一度は行きたい絶景の城~」において、米子城が最強の城に選ばれました。大山、中海、日本海、市街地などを一望できる天守からの絶景が評価されたためです。
私も天守台まで登ろうと思ったのですが、雪解け後で天守台までの道が泥だらけでとても滑りやすかったため断念しました。天守台までは歩いて15分程度なので、次回、米子に来たときは天守台まで登り、絶景を見たいと思います。
米子城跡から徒歩5分程度の場所にある賀茂神社天満宮に行きました。賀茂神社天満宮は米子の地名発祥の神社です。賀茂神社天満宮の境内にある井戸で米を研いでいたことから、米子と言われたという伝承があります。昔、「米をとぐ」と云う事を「よなぐ」と言ったようです。賀茂神社天満宮の創建時期は明らかではないですが、米子最古の社であり、歴代米子城主より米子城鎮護の社として手厚い保護を受け、厚く尊崇されました。
賀茂神社天満宮から徒歩10分ほどの場所にある回船問屋後藤家住宅へ行きました。後藤家住宅は国の重要文化財です。建物内部は一般公開はしていません。
後藤家住宅がある旧加茂川沿いに白壁の土蔵が立ち並んでいます。山陰随一の商都として栄えた米子において、米などの水運を行っていた名残です。加茂川沿いは散歩していて気持ちがいい場所でした。旧加茂川は江戸時代に河童が住んでいたという伝説があることから、水木しげるの漫画「カッパの三平」の像もあります。
旧加茂川から徒歩5分程度の場所に旧米子市庁舎があります。1930年に建てられました。設計者は早稲田大学の大隈記念講堂も手掛けた佐藤功一氏です。米子市の有形文化財です。現在では「山陰歴史館」として、米子の民俗資料や米子城の資料などを展示しています。
2、八雲本陣
米子市内観光を終え、米子駅から宍道駅へJRで移動し、八雲本陣(木幡家住宅)へ行きました。木幡家は「こわたけ」と読みます。私が利用したJRは以下の通りです。
米子駅10:16発 特急やくも3号 宍道駅10:51着 運賃2,150円
特急やくもは旧国鉄時代の特急のような塗装で郷愁をそそられます。特急やくもの車中では駅弁を食べました。
八雲本陣(木幡家住宅)は宿場町として栄えた宍道町にあり、1733年に再建された建物です。宍道駅から徒歩5分です。
八雲本陣は敷地約1,200坪に部屋数40を超える広大な建造物と庭園からなっています。松江藩主、大正天皇、昭和天皇など多くの貴賓が訪問しました。1907年の大正天皇(当時は皇太子嘉仁親王)の山陰行啓には東郷平八郎が随行しました。八雲本陣には皇太子嘉仁親王が昼食を召しあがった机と椅子が残されています。また、東郷平八郎が揮毫した「景雲飛」の額が残されています。
八雲本陣は国の重要文化財です。八雲本陣の内部はとても見応えがありました。各部屋には木幡家伝来の掛軸、屏風や茶道具など素晴らしい美術工芸品が展示されています。それらの工芸品を眺めるだけでも訪問の価値がありました。八雲本陣は私が訪れた国の重要文化財の建物の中でも最高クラスでした。私の訪問時には他の観光客はいませんでした。多くの人に訪問して欲しいと思います。
入場料:500円
3、神魂(かもす)神社
八雲本陣からJRとバスを乗り継ぎ、神魂(かもす)神社に行きました。私が利用した公共交通機関は以下の通りです。
宍道駅11:58発 快速アクアライナー 米子行 松江駅12:18着
松江駅12:30発 八雲線 八雲車庫行 コーポ一畑入口12:47着 運賃合計650円
神魂神社はコーポ一畑入口バス停から徒歩10分程度です。
神魂神社の本殿は日本最古の大社造で国宝です。創建は平安時代(794年~1185年)中期以降とされ、現在の社殿は天正11年(1583年)の再建と考えられています。
神魂神社の末社である貴布祢稲荷両神社本殿は国の重要文化財です。
境内はとても神秘的な雰囲気で凛と張り詰めた空気が漂っていました。何か大きなパワーを感じました。パワースポットとしても人気の神社です。島根県では国宝の出雲大社本殿が圧倒的に有名ですが、同じ国宝である神魂神社は松江駅から近いので、是非、多くの人に訪問して欲しい神社です。神魂神社にも私以外に参拝者がいませんでした。
4、松江城
神魂神社からバスで松江城へ行きました。私が利用したバスは以下の通りです。
風土記の丘入口13:29発 八雲線 しんじ湖温泉駅行 国宝松江城県庁前13:55着 運賃340円
神魂神社から風土記の丘入口のバス停までは徒歩10分程度です。神魂神社から松江城という島根県の国宝2か所を乗り換え無しで行けるのはとても便利です。
松江城は全国に12城しか残っていない現存天守の1つです。現存12天守のうち、国宝であるのは松江城、姫路城、彦根城、松本城、犬山城の5つしかありません。
私は松江城は黒を基調にした極めて格好いい天守を持つ城だと思います。個人的意見では白を基調とした城は姫路城、黒を基調とした城は松江城が日本で一番美しい城だと考えています。
天守入場料:大人680円、小中学生290円、外国人(大人)470円、外国人(小中学生)200円
3館共通券:大人1,100円、小中学生510円
3館共通券で松江城天守、小泉八雲記念館、武家屋敷の3館に入場できます。
2館共通券:大人950円、小中学生430円
2館共通券で松江城天守、松江歴史館の2館に入場できます。
松江城の周辺には松江神社と興雲閣があります。松江神社は松江藩松平家の初代直政公ほか徳川家康公、松江藩7代藩主松平治郷公(はるさと)公、松江開府の祖堀尾吉晴公を祀っています。
興雲閣は1903年に建てられました。当初、明治天皇が宿泊するために建てられましたが、実現しませんでした。しかし、1907年の皇太子嘉仁親王(のちの大正天皇)の山陰行啓の際に宿泊所となりました。興雲閣は島根県の有形文化財です。
5、城山(じょうざん)稲荷神社
城山(じょうざん)稲荷神社は松江城の敷地内にあります。10年に一度行われるホーランエンヤは城山稲荷神社の式年神幸祭(しんこうさい)です。「神幸祭」とは神様が他所へお出かけになることを意味します。ホーランエンヤの場合は城山稲荷神社を出た神様が阿太加夜(あだかや)神社に行って(渡御祭)、8日後に城山稲荷神社に戻って来ます(還御祭)。次回のホーランエンヤは2029年の予定です。
城山稲荷神社には数百体の石狐がいます。私は2回目の訪問となりましたが、個人的には今回もとても神秘的な神社に感じました。
6、カラコロ工房
カラコロ工房は1938年に建てられた鉄筋コンクリート造の日本銀行旧松江支店を2000年にリニューアルしオープンした工芸館・商業施設で、国の有形文化財です。城山稲荷神社から徒歩15分程度です。
カラコロ工房の地下には金庫室の大扉が残されています。その分厚さには驚きました。
カラコロ工房の中庭にはピンクの郵便ポストがあります。元々は興雲閣前の郵便ポストでしたが、ピンク色してカラコロ工房へ引っ越してきました。「興雲」と「幸運」を掛けて、幸運を招くポストとしています。
ピンクの郵便ポストの横には「願いの泉」があります。
なお、島根県には多くの由緒ある神社が多いことから「縁結びの聖地」として縁結びブランドを発信してきました。2022年に「&ご縁の聖地」として新たにリブランディングしました。
7、由志園(ゆうしえん)
カラコロ工房から松江駅まで歩き、出雲そばを食べた後に由志園へバスで行きました。カラコロ工房から松江駅までは徒歩20分程度です。バスもあるので、時間が合えば、バスで10分程度です。
松江駅16:25発 松江市営バス 八束町・由志園入口行 八束町・由志園入口17:15着 運賃700円
八束町・由志園入口バス停から由志園まで徒歩5分弱です。
由志園は中海の大根(だいこん)島にある池泉回遊式庭園の日本庭園です。1975年に開園しました。大根島は中海の海底火山が爆発し、隆起してできた島で、土壌はミネラルなどの栄養分を豊富に含んでいます。このミネラルなど栄養分を豊富に含む土壌が牡丹栽培に最適で、約300年前から始まった牡丹栽培は今では日本の生産量全体の8割以上を占め、海外へも輸出されています。
本来、牡丹の見頃は4月下旬から5月中旬ですが、温度、湿度の調整により一年中満開の牡丹を鑑賞できる牡丹の館があります。また、屋外でも春と冬に咲く品種の「寒牡丹」を見ることができます。
由志園はとても美しい日本庭園でした。ゆっくり一周して30分ほどですが、気持ちが落ち着くいい庭園だと思いました。
私は夕刻に由志園に行ったので、ライトアップした庭園も見ることができました。ライトアップした庭園はとても美しく多くの人で賑わっていました。
華道家の假屋崎省吾との牡丹Collaborationも行われていました。花札の図柄をテーマにした作品で素晴らしかったです。
入場料:大人1,000円、小中高生500円
8、米子鬼太郎空港
由志園を堪能した後に、タクシーで米子鬼太郎空港へ行きました。タクシー料金は約3,500円でした。由志園の問題点は米子鬼太郎空港までの公共交通機関がないことです。一方、松江駅行きの最終バスは八束町・由志園入口18:50発があるため、冬であればライトアップを堪能した後に、なんとか松江駅に行くことができます。
米子鬼太郎空港は空港名にある通り、鬼太郎オブジェが多くあります。鬼太郎オブジェは見ているだけでも楽しかったです。
私が米子鬼太郎空港から羽田空港まで利用した飛行機は以下の通りです。
米子鬼太郎空港20:55発 ANA390 羽田空港22:15着
今回の兵庫、鳥取、島根の旅行(4泊5日)は国宝、国の重要文化財、重要伝統的建造物群保存地区など多くの観光地とぼたん鍋、松葉ガニなど絶品グルメを堪能でき、とても満足できる旅行となりました。
(注:文中に掲載している交通機関の出発・到着時間や運賃、入場料、食事の料金などはBLOG執筆時のものです。今後変更する可能性がありますので、旅行に行く際にご自身でご確認ください。)