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私たちの東京伝統文化体験が失敗しない理由を初公開②

私たちの東京伝統文化体験が失敗しない理由を初公開②

 

信頼による東京での日本文化体験の満足度向上—— なぜ当社ツアーで体験を提供してくれる職人は、ゲストへの「熱意」がこれほど高いのか?

 

心理学(単純接触効果)とパフォーマンス方程式で解き明かす、“ヘッドコーチシステム”の真の力。ピークエンドの法則により、ツアー全体の満足度向上も一回の体験の満足度向上で可能

ラグジュアリーな旅行において、ゲストが最も感動するのは提供者の「技術」だけではなく、提供者が自分に向けてくれる「心からの熱意」です。そのため、当社では“ヘッドコーチシステム”により、「誰が、どのように体験を提供するか」にこだわっています。

一流の職人が、マニュアル通りの説明をするだけではなく、「よく来てくれましたね!」と満面の笑みで迎え、予定外の特別な道具や場所まで見せてくれる——。ときに、誕生日プレゼントまで特別に用意し、メッセージカードを添えてくれることもあります。このような「魔法のような瞬間」は、偶然生まれるものではありません。

なぜ、当社のツアーでは、職人がまるで家族を迎えるような熱量で接してくれるのか?その秘密は、私たちが意図的に設計した「愛情を持った人間関係構築の科学」にあります。第1回で紹介した「ヘッドコーチシステム」は、単なる運営管理の仕組みではありません。実はそこに、心理学的に証明された“信頼とやる気を高める構造”があるのです。

 

1.「単純接触効果」とは何か —— 信頼を生む心理のメカニズム

皆様は、不思議に思ったことはありませんか?テレビCMがなぜ何度も繰り返されるのか? 選挙カーがなぜ政策ではなく名前を連呼して走り回るのか?あるいは、最初は苦手だった同僚と、毎日顔を合わせるうちに自然と仲良くなれた経験はないでしょうか。

ここには、アメリカの心理学者ロバート・ザイアンスが提唱した「単純接触効果(Mere Exposure Effect)」という強力な理論が働いています。人間には、「接触する頻度が高い相手に対して、無意識に好意や信頼感を抱く」という本能的な心理特性があります。原始時代においては、周りにいる仲間を信頼し、共に生きていかなくては過酷な自然環境で生き残って行けなかったからでしょう。

私たちは、このビジネスや人間関係の基本原則を、精神論ではなく、現場を毎日のように訪問するという「ヘッドコーチシステム」としてツアー運営に組み込んでいるのです。

 

2.「広域展開」と「地域密着」—— 役割の違いと構造的な課題

大手旅行会社様やグローバルなエージェント様は、日本全国、あるいは世界中のお客様へ素晴らしい旅を提供されています。そのビジネスの規模やカバーする領域の広さを考えれば、担当者様が特定の地域(例えば神楽坂)の現場へ毎日足を運ぶことは、物理的に不可能です。

必然的に、職人や提供者とのやり取りは最初の挨拶だけとなり、その後は「契約書」をもとに、「メール」や「電話」といった、効率的な手段が中心にならざるを得ません。これはビジネスの構造上、仕方のないことであり、効率的な運営のためには必要なことです。

しかし、伝統文化の世界に生きる職人たちは、どうしても「アナログな人間関係」を重視する傾向があります。ここに、「グローバルな効率性」と「ローカルな人間関係」の間に、どうしても埋められない「隙間」が生まれてしまいます。

私たちEDO KAGURAの役割は、地元だけで展開する地域密着型旅行会社として、まさにこの「隙間」を埋めることです。

私たちは、物理的に現場に来られない大手旅行会社様の代わりに、毎日現場で職人と顔を合わせ、会話を重ねることで人間関係を築いています。メールや契約だけでは伝わらない、温度と距離の近い関係性を築くことで、職人の情熱とゲストの感動をつなぐ役割を担っているのです。

 

3.「神楽坂特化」の必然性 —— 毎日会うための戦略的選択

私たちは「ヘッドコーチシステム」により、私(代表)がほぼ毎日、神楽坂の現場に向かい、職人や地域の方々と顔を合わせています。この「毎日会う(単純接触効果を最大化する)」ために不可欠なのが、私たちが「神楽坂」という狭いエリアに特化しているという点です。

もし私たちが東京全域や日本全国でツアーを行っていたら、物理的にすべての職人の元へ毎日通うことは不可能です。移動だけで一日が終わってしまいます。

私たちが「狭く深く」を貫き、活動エリアを限定しているのは、「移動コストがほぼゼロで、毎日パートナーに会いに行ける環境」を作り出し、最強の信頼関係を維持するための、極めて合理的な経営戦略なのです。

こうして築かれた関係は、もはや「取引先」ではなく「仲間」や「家族」に近いものになります。職人や芸者、料亭の女将などと食事に行ったことは一度や二度ではありません。一緒に、伝統文化再活性化のためのプロジェクトを考え、東京都の助成金申請まで行っています。

こうしたことからも、職人たちはEDO KAGURAを「信頼できるパートナー」と感じてくださっており、だからこそ、私たちのゲスト(大切なVIPゲスト)に対しても、特別な情熱を持って接してくれるのです。

 

4. 情熱の連鎖を生む「パフォーマンスの方程式」

なぜ、私たちはここまで「人間関係」にこだわるのでしょうか?それは、組織心理学における「パフォーマンスの方程式」を熟知しているからです。

心理学と組織行動論では、人の成果は次のように表されます。

 

P = A × M

P (Performance):パフォーマンス(=ゲストが受け取る体験の質)

A (Ability):能力・技術(職人の技能や知識)

M (Motivation):やる気・動機付け(ゲストを喜ばせたいという熱意)

 

この式が示すように、成果は「能力」と「やる気」の掛け算です。

能力(A)が100あっても、モチベーション(M)が0.5なら、パフォーマンス(P)は50にしかなりません。

ラグジュアリーな旅において、職人やガイドの「能力(A)」が高いのは当たり前です。しかし、どんなに人間国宝級の技術(能力100)を持っていても、その日の気分が乗らず、事務的にこなされてしまえば(やる気0.5)、ゲストが受け取る感動は「50」にしかなりません。

一方で、私たちと深い信頼関係にある職人は違います。ヘッドコーチが足繁く通い、単純接触効果によって「情熱」が共有されているため、彼らは常に「このゲストのために!」という最高のモチベーション(やる気1.0以上)で挑んでくれます。

100 (一流の技術)×1.2 (特別な熱意) = 120 (期待を超える感動)

この「掛け算」のマジックを起こすための変数が、信頼関係なのです。私たちは「能力(A)」のある職人を選ぶだけでなく、「単純接触効果」によって「やる気(M)」を最大化しているからこそ、他社には真似できない“熱量のある体験”を提供できるのです。

ただし、付け加えておきたいのは、こうした「ヘッドコーチシステム」は心理学を利用するような打算で構築したものではありません。私自身や当社のメンバーが心から伝統文化やその担い手、神楽坂という街を愛しており、そのために、毎日のようにみなさんと顔を合わせているのです。そうした愛情がなければ、「単純接触効果」も単なる理論に過ぎないのです。

 

5. 一つだけの最高の体験が日本旅行ツアー全体の満足度を決める

大手旅行会社様やグローバルなエージェントは、日本全国、あるいは世界中のお客様へ素晴らしい旅を提供されています。旅程は2-3週間にも及ぶため、神楽坂だけで、いかに素晴らしい体験を提供しても、他の大部分の日程でそこまでの感動体験を提供できない可能性があります。しかし、安心してください。たった一つの感動体験が全体の印象を決めうるのです。

「人はある出来事に対し、感情が最も高まったとき(ピーク)の印象と、最後の印象(エンド)だけで全体的な印象を判断する」という「ピーク・エンドの法則」があります。この法則は、心理学・行動経済学者のダニエル・カーネマン氏によって1999年に発表された論文の中で提唱されました。

この法則によれば、例えば2週間のツアーの中で最も大きな感動を体験した場合、その体験が2週間のツアー全体の印象を決めるのです。この最大の体験を当社に担わせてください。「ヘッドコーチシステム」による現場の微調整、「単純接触効果」によるM (Motivation):やる気・動機付けの向上により、日本旅行全体の「ピーク」を担当させていただきたいと思います。これは、地元だけで展開する地域密着型旅行会社で「ヘッドコーチシステム」を導入している会社しかできないことなのです。

「多くの旅行者がこの体験が今回の日本旅行のハイライトになった」というフィードバックをくれます。このコメントこそが、日本旅行のピーク体験となり、「ピーク・エンドの法則」から、日本旅行全体のイメージを向上しているのです。

結論:「人間関係」こそが最高のラグジュアリー

私たちのシステムは精神論ではありません。

単純接触効果(心理学) × パフォーマンス方程式(組織行動論) × 神楽坂特化(経営戦略)

この三位一体の構造によって支えられています。

 

ラグジュアリートラベルの本質は“効率”や“豪華な装飾”ではなく、“人との良い関係性による期待以上の体験”です。信頼は「繰り返し会う」ことでしか生まれません。私たちのツアーで、職人たちが予定にはない特別な道具を見せてくれたり、時間を忘れて熱く語ってくれたりするのは、偶然ではありません。それは、ヘッドコーチシステムによる「単純接触効果」の積み重ねが、職人たちを単なる「取引先」から「ファミリー」へと変えているからです。

御社の大切なゲストを、ビジネスを超えた“信頼の輪”の中でお迎えいたします。どうぞ安心して、私たちにお任せください。

次回は最後のキーパーツであるガイドのことを記します。この点がまさに感動体験のラストパーツとなっているのです。

 

「ヘッドコーチシステム」シリーズ

第1回:スポーツと料理界にも通じる“ヘッドコーチシステム”の哲学
第2回:信頼による東京での日本文化体験の満足度向上
第3回:ガイドチームを最強にする「ヘッドコーチシステム」の秘密

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