このデータを見てもまだ荷物を飛行機に持ち込みますか?
目次
1:一日当たり二酸化炭素排出量の削減効果比較
2:一人当たり二酸化炭素排出量に対する削減日数
3:もし、全ての訪日客が飛行機に荷物を持ち込まなければ
1:一日当たり二酸化炭素排出量の削減効果比較
これまで飛行機に預入手荷物(20kg)を持ち込まないことが生み出す二酸化炭素排出量削減効果について分析してきました。今回は、その一日当たりの二酸化炭素排出量削減効果を、他の様々な施策がもたらす効果と比較してみました。結論から言うと、飛行機への預入手荷物の削減で得られる同効果が圧倒的であることが分かりました。
その二酸化炭素排出量削減効果は、日本までの片道だけで74.5kgとなります。(世界19か国から日本までの距離による平均数値)
預入手荷物(20kg)の二酸化炭素排出量は、ECTA(The European Clean Trucking Alliance)の「Guidelines for Measuring and Managing CO2 Emission from Freight Transport Operations 」に記載されているデータを使用し、当社が計算しました。計算に使用した飛行機による貨物輸送量(トンキロ)の二酸化炭素排出原単位は、0.602kgCO2/tkmです。
一方、日本の環境省が掲げる「ゼロカーボンアクション30」によれば、太陽光パネルの設置による効果は3.49kg、電気自動車(再エネ充電)による効果は1.28kg、通勤にかかる移動距離がゼロになった場合は0.76kg、カーシェアリングによる効果は0.58kg、などでした。上記の預入手荷物(20kg)削減による効果74.5kgと比べて、各種の効果はかなり小さいことが分かります。もちろん、ほとんどの人は飛行機に毎日乗るわけではありませんが、預入手荷物(20kg)削減による圧倒的な効果を皆さんに知って欲しいです。日々の生活において気候変動対策を意識されている方は、飛行機で旅する際にトランクを持ち込むのをやめてみませんか。
マイボトルやマイバッグの活用は廃プラスチックにもなるため、全く効果がないとは言いませんが、二酸化炭素排出量の削減効果についてはほとんど意味がないことが分かります。また、植林による効果も1本だけではほぼ無意味です。預入手荷物(20kg)削減で得られる二酸化炭素排出量削減効果と同一にする為には、3万4,000本もの植林を行う必要があります。
2:一人当たり二酸化炭素排出量に対する削減日数
「1:一日当たりの二酸化炭素排出量削減効果比較」で計算したデータを、一人当たりの二酸化炭素排出量(世界平均、1日あたり)13.12kgと比較してみました。預入手荷物(20kg)を持ち込まないことによる二酸化炭素排出量の削減効果は5.68日分、太陽光パネルの設置による効果は0.27日分、電気自動車(再エネ充電)による効果は0.1日分、通勤にかかる移動距離がゼロになった場合は0.06日分、カーシェアリングによる効果は0.04日分、などでした。
出所:ICAO、ECTA、環境省、Worldometers
3:もし、全ての訪日客が飛行機に荷物を持ち込まなければ
もし、全ての訪日客が飛行機に荷物を持ち込まなければ、その効果はどの程度になるでしょうか。2019年の訪日客は3,188万人でした。主要19ヵ国からの訪日客はその95%に相当する3,037万人となり、各国間の飛行距離(往復)データを使用し、預入手荷物(20kg)削減による二酸化炭素排出量削減効果を計算しました。その効果は249万トンとなりました。
20kg荷物削減によるCO2排出量削減効果(kg、日本までの往復) 2019年訪日客数(1,000人) CO2排出量削減効果 (1,000t) (a) (b) (a)×(b) USA 261 1,724 450 Canada 248 375 93 Italy 238 163 39 France 234 336 79 UK 231 424 98 Germany 226 237 53 Australia 197 622 122 Russia 180 120 22 India 142 176 25 Indonesia 140 413 58 Singapore 129 492 63 Malaysia 130 502 65 Thailand 112 1,319 148 Vietnam 90 495 44 Philippines 73 613 45 Hong Kong 71 2,291 163 Taiwan 53 4,891 257 China 51 9,594 493 Korea 30 5,585 169 World Average, Total 149 31,882 2,486
この規模はTogo 237万トン、Chad 225万トン、Niger 215万トン、Maldives 211万トン、South Sudan 170万トン、Malta 166、Iceland 164万トン、Fiji 163万トンなど各国の二酸化炭素排出量(2019年)を上回ります。気候変動問題に取り組みたい人は飛行機に預入手荷物(20kg)を持ち込まないことを本気で考えるべきではないでしょうか。