静岡県の4つの地方鉄道(大井川鐵道)
目次
1:初めに
4月に1泊2日で静岡県にある4つの地方鉄道に乗車してきました。静岡県には7つの地域鉄道事業者(日本全体では95社)があります。7社というのは都道府県別には全国最多です。営業路線距離の順に、天竜浜名湖鉄道(67.7km)、大井川鐵道(65.0km)、伊豆急行(45.7km)、伊豆箱根鉄道(29.4km)、遠州鉄道(17.8km)、静岡鉄道(11.0km)、岳南電車(9.2km)となります。
今回乗車したのは大井川鐵道、遠州鉄道、天竜浜名湖鉄道、静岡鉄道です。2日目に「全駅から富士山が望める鉄道」というキャッチフレーズの岳南電車にも乗る予定でしたが、厚い雲で富士山が見えなくなったため、今回は諦めました。
2:大井川鐵道
最初に乗車したのは大井川鐵道です。東京を早朝に出発し、金谷駅8:48発の列車に乗車しました。1958年に南海高野線の急行・特急用として製造された、とてもレトロな車両でした。この車両に乗るだけでも鉄道ファンは興奮するでしょう。シートの布は継ぎはぎだらけで、座ると体が傾く座席も趣があって素晴らしかったです。私は最終的に奥大井湖上まで行きました。片道運賃は2,560円ですが、往復するなら大井川周遊きっぷ大人4,900円(有効期間2日間)のほうがお得です。
大井川鐵道は蒸気機関車 (SL)、「きかんしゃトーマス号」、日本唯一のアプト式ラック鉄道(井川線)として知られています。SLの保存運転を行っていることや登山鉄道である縁から、ブリエンツ・ロートホルン鉄道(スイス)、阿里山森林鉄道(台湾)とは姉妹鉄道の関係です。始発の金谷駅の次駅である新金谷駅には、SL機関車が転車台の上に停まっていました。
先日乗車した千葉県の小湊鉄道、いすみ鉄道と同様、大井川鐵道も川沿いの山中を走るため、山河の景色が美しく、とてもリフレッシュできました。金谷駅から4駅目には「合格駅」があり、受験生に人気があります。「合格駅」は開業当初「五和駅(ごかえき)」でしたが、2020年に「合格駅」に改称されました。
なお、2022年9月の台風による被害のため、家山駅ー千頭駅間はバスによる代行輸送となっています。代行バスの終着駅である千頭駅では「きかんしゃトーマス号」たちが停車していました。2023年の運行は主に土日祝日と月曜日、金曜日で、4月29日から12月25日までです。一方、蒸気機関車 (SL)はほぼ毎日運行しています。
千頭駅で井川線の小型列車に乗り換えました。アプトいちしろ駅から長島ダム駅までの運行で、日本唯一のアプト式列車です。「アプト式」とは、線路の真ん中に敷設された「ラックレール」という歯形レールを噛み合わせた、急な坂道を運行する為の鉄道システムです。井川線のアプト式ラック鉄道は、90パーミル(1000mの水平距離に対して、90mの高さの勾配)という日本一の急勾配を登ります。アプトいちしろ駅と長島ダム駅ではアプト式電気機関車を連結するので、それぞれの駅で列車から降りてその連結作業を見ることができます。
高さ109m、長さ308mと巨大な長島ダムでは放流が行われていて、迫力がありました。この長島ダムによって形成された湖が接岨湖(せっそこ)です。接岨湖の半島には奥大井湖上駅があり、2本の鉄橋「レインボーブリッジ」がかかっています。なお、この「レインボーブリッジ」は東京にあるレインボーブリッジよりも先に命名されています。
鉄橋「レインボーブリッジ」は徒歩で渡ることもでき、展望の良い丘から素晴らしい眺望を楽しめます。この眺望は多くのテレビ番組、写真雑誌やSNSでも有名です。私が行った日も外国人を含む多くの観光客で賑わっていました。奥大井湖上駅のすぐ上にはレイクコテージ奥大井があり、飲食ができます。
3:蓬莱橋(ほうらいばし)
奥大井湖上駅周辺の景色を満喫した後、大井川鐵道の始発駅である金谷駅に戻り、JR島田駅から蓬莱橋に向かいました。JR島田駅から蓬莱橋まで徒歩20分ほどかかります。
蓬莱橋は大井川河口付近にかかる「世界最長の木造歩道橋」です。1997年にギネスにも認定され、全長897.4メートルもあります。蓬莱橋を渡るには100円(小学生は10円)の通行料が必要です。橋の欄干が低い上に風が強かったので、渡り切るまでの10分ほどの間、意外にかなりの恐怖感を味わいました。
江戸時代、大井川は東海道の最大の難所でした。大井川を流れる水の勢いは強く、ここを人足の肩や蓮台に乗って渡るのはかなり困難だったでしょう。(蓮台とは、川を渡る客を乗せる為の4人で担ぐ台のこと)。当時、大井川には橋がなく、人力でしか渡れなかったため(渡し舟も禁止されていました)、「箱根八里は馬でも越すが 越すに越されぬ大井川」と詠まれました。この困難さは蓬莱橋を渡ってみてよく理解できました。
4:浜松グルメ
蓬莱橋を楽しんだ後、JRで浜松市へ移動して夕食を食べました。「浜松グルメ」と称される「浜松餃子」「遠州焼き」「ホルモン焼き」「げんこつハンバーグ」を堪能しました。
浜松は、餃子の消費量が宮崎や宇都宮とともに、常にトップ3の一角(2022年は3位)に食い込んでいます。特徴は、焼いた餃子の真ん中にもやしを載せ食べるスタイルです。最初にもやしを餃子に載せた店が今回訪問した「石松餃子」です。浜松駅の駅ビルにあるので観光客にも便利です。6時半で少し行列ができていましたが、客の回転は早く、すぐに着席できました。石松餃子には「ホルモン焼き」もありました。浜松では餃子店に「ホルモン焼き」メニューがあることが普通のようです。
「遠州焼き」は、タクアンや紅ショウガが入ったお好み焼きです。私は「遠州焼き」のことを今回初めて知りました。「遠州焼き」と「ホルモン焼き」は、「立呑やじゃんだら&LA・JANN」で食べました。立ち飲み屋ということもあり、全体的に安くて美味しい良い店でした。
「げんこつハンバーグ」は、静岡県限定のハンバーグチェーン「炭焼きレストランさわやか」で頂きました。「さわやか」は2〜3時間待つこともあるという大人気レストランです。私の待ち時間は45分でした。「げんこつハンバーグ」は、げんこつほどの大きさのハンバーグ2個が提供されます。提供された時点では中がまだ火が通っていない赤身になっているため、店員がナイフで2つに切り、鉄板で赤身部分を焼いた後に食べます。ボリュームがある美味しいハンバーグです。味だけでなく店員教育もしっかりされており、無駄のない動きで明るくてきぱきと働く店員たちにとても感心しました。静岡に行った際には皆さんに是非行って欲しい店です。