今後、旅行鞄は大きく変化する
目次
1:旅行鞄の歴史
2:各種製品の進化の歴史
3:製品進化の特徴(小型化・軽量化、省エネルギー化・脱炭素化)
4:旅行鞄の進化はどうなるか
1:旅行鞄の歴史
最初の旅行鞄(トランク・スーツケース)は蒸気船や蒸気機関車向けに作られました。外国旅行が飛行機を中心になっても、未だに販売開始当初から旅行鞄に極端に大きな変化はありません。1854年にルイ・ヴィトンが開発した旅行鞄の完成度がそれほど高かったのでしょう。
旅行鞄は1972年に米国でバーナード・セードーが車輪をつけ、「Rolling Luggage(転がる旅行かばん)」(トロリーバッグ)を販売したことが一つの変化と言えるでしょう。ただし、車輪により利便性は増しましたが、サイズや重量が小型化・軽量化したわけではありませんでした。これでは旅行鞄を飛行機に搭載することによる二酸化炭素排出量に変化はありません。むしろ、車輪がつき段差のない道路での運搬が容易になったため、小型化・軽量化に逆行し、大型化・重量化している可能性すらあります。
2:各種製品の進化の歴史
各種製品の発明年と進化
発明年 製品名 現状 1854年 旅行鞄(スーツケース) キャリーバッグへシフト 1860年 白熱電球 LEDへシフト 1870年 ガソリン自動車 HV、電気自動車へシフト 1871年 固定電話 携帯電話、スマートフォンへシフト 1877年 蓄音機 CD、MP3などへシフト 1889年 フィルムカメラ デジタルカメラ、スマートフォンへシフト 1897年 CRT 液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイへシフト 1962年 カセットテープ CD、MP3などへシフト 1967年 ラジカセ CD、MP3などへシフト 1971年 フロッピーデスク HDD、SSD(Solid State Drive)などヘシフト
旅行鞄に大きな変化がない中、他の製品はどのように変化したのでしょうか。ルイ・ヴィトンによる旅行鞄発売の6年後となる1860年に、英国のジョゼフ・スワン(Joseph Swan)が白熱電球を発明しました。現在では低消費電力のLED照明へシフトしています。白熱電球は多くの国で生産規制が始まっており、2022年04月26日には米国エネルギー省(DOE)が1ワット当たり45ルーメン未満の電球の販売を禁止する規則を発表しました。これはエネルギー効率が低い白熱電球から、LED電球などへの転換を促す狙いがあります。
白熱電球の10年後となる1870年に、オーストリア人のジークフリート・マルクス(Siegfried Marcus)によってガソリン自動車が発明されました。ガソリン自動車発明当時には電気自動車もありましたが、走行距離などの差によりガソリン自動車が主流となりました。そして、1997年にハイブリッド自動車(Hybrid Vehicle)プリウスが販売されました。「21世紀に間に合いました」という当時のCMキャッチコピーはとても印象的でした。現在では、気候変動問題への関心の高まりを契機とした脱炭素化を目指し、ガソリン自動車は電気自動車へシフトしつつあります。欧州連合(EU)は2022年10月27日、2035年にガソリン車など内燃機関車の販売を事実上禁止することで合意しました。
ガソリン自動車発明の翌年となる1871年に、イタリアのアントニオ・メウッチ(Antonio Meucci)が 固定電話を発明したとされています。その後、小型化・軽量化した携帯電話、スマートフォンへシフトしています。
音楽分野では、1877年にトーマス・エジソンが蓄音機を発明しました。この蓄音機のアイデアはレコードプレイヤーに受け継がれました。その後、小型化・軽量化したCDやMP3などへシフトしました。
映像分野では、1889年にセルロイドを用いた「ロールフィルム」のカメラがアメリカのイーストマン・コダック社から発売されました。その後、小型化・軽量化したデジタルカメラ、スマートフォンへシフトしました。
フィルムカメラの8年後には、1897年にカール・フェルディナント・ブラウン(Karl Ferdinand Braun)がブラウン管(CRT)を発明しました。その後、小型化・軽量化した液晶ディスプレイや有機ELディスプレイへシフトしました。日本では2000年1月にシャープのテレビCMが女優の吉永小百合さんを起用して放送されました。CMのキャッチコピーであった「20世紀に、置いてゆくもの。21世紀に、持ってゆくもの。」でブラウン管(CRT)から液晶テレビへのシフトを印象付けました。
1900年代に入り、1962年にフィリップス社がカセットテープ(オーディオ用磁気記録テープ媒体の規格)を開発しました。その後、小型化・軽量化したCDやMP3などへシフトしました。
カセットテープレコーダーと2バンドラジオ(FM・AM)を組み合わせたラジカセ(ラジオカセットレコーダー)は1967年に松下電器産業(現、パナソニック)から発売されました。その後、小型化・軽量化したCDプレイヤーやMP3プレイヤーなどへシフトしました。
コンピューター分野では、フロッピーディスクが1971年に米国のIBMによって開発されました。その後、記憶容量が大きくなったHDDや小型化・軽量化したSSD(Solid State Drive)などヘシフトしました。
3:製品進化の特徴
このように1800年代から多くの製品進化の歴史を振り返ると、小型化・軽量化か省エネルギー化・脱炭素化へシフトしてきていることが分かります。
小型化・軽量化
固定電話→携帯電話、スマートフォンへシフト 蓄音機→CDやMP3などへシフト フィルムカメラ→デジタルカメラ、スマートフォンへシフト CRT→液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイへシフト カセットテープ・ラジカセ→CDやMP3などへシフト フロッピーディスク→HDD、SSDなどヘシフト |
省エネルギー化・脱炭素化
白熱電球→LED照明へシフト ガソリン自動車(内燃機関車)→電気自動車 |
4:旅行鞄の進化はどうなるか
多くの製品が進化し続けているように、旅行鞄(トランク・スーツケース)も進化・変化の時期を迎えていると当社では考えます。飛行機に旅行鞄を搭載する際の二酸化炭素排出量は極めて大きい為、白熱電球やガソリン自動車(内燃機関車)の規制のように、いずれ「飛行機への個人的な重い荷物(旅行鞄)搭載禁止」という規制が始まると予想しています。
大幅な技術革新が必要であった各種製品と違い、旅行鞄の省エネルギー化・脱炭素化は全く難しくありません。衣類など旅行に必要なものを、各々が旅行先でレンタルすればすぐに達成可能です。しかも荷物の小型化・軽量化による「ラクな旅行」は、高齢者や障害者・子供連れ旅行など、荷物が負担になっていた人々の旅行回数を増加させる効果があり、「トラベル・ディバイド」解消にも寄与します。
旅行鞄は1972年に車輪が付くことにより、利便性だけは進化しました。そこから2022年でちょうど50年です。そろそろ旅行鞄もシェアリング(旅行先でのレンタル)により、小型化・軽量化や省エネルギー化・脱炭素化を実現し、サステナブル・トラベルに貢献する時期ではないでしょうか。是非、当社の旅行レンタルサービスの利用をご検討ください。
なお、日本と海外の飛行機往復の際に20kgの荷物を搭載しなければ、一人当たりの二酸化炭素排出量11日分、生活分野における二酸化炭素排出量179日分を削減できる計算となります。これは186本の植林による年間の二酸化炭素削減効果に相当します。詳細は当社のBLOG「荷物を削減し、サステナブル・トラベルを実現」、「CO2排出量の削減効果(旅行時の荷物削減効果は絶大)」をご覧ください。
2022年のBooking.comの調査では、世界の旅行者の81%、日本の旅行者の73%が「サステナブルな旅は自身にとって重要である」と回答しています。旅行者のニーズに合致した旅行スタイルの進化を今から実現しませんか。
お知らせ
当社では、飛行機への搭載荷物を削減し、皆さんが地方を旅しやすくする「手ぶら旅行」のために、来春から旅行レンタルサービスを開始予定です。レンタルサービス開始まで、先着10名限定で旅程作成を無料で提供する予定です。
私は国内外をほぼ2か月に1回のペースで累計200回以上旅行し、旅程を何度も作ってきました。また、当社では日本の観光地2万件以上をデータベース化済です。旅行者の好みに応じて旅程を作成しますので、希望者は「ご登録・お問い合わせ」からご連絡ください。