外国人旅行者が日本に惹かれる最大の要因
外国人旅行者にとって日本への観光が特別な理由の一つは、日本に根付く深い「職人の技(クラフトマンシップ)」にあると私は考えています。このクラフトマンシップは、日本の文化や生活の様々な側面に見られ、外国人旅行者にとって魅力的な要素となっているのではないでしょうか。
和食の繊細さや、ラーメンやカレーなどの海外料理を日本流にアレンジする追求心などは、クラフトマンシップの顕著な例です。また、釘を使わない伝統的な木造建造物や電車の時刻の正確さやなどは、品質への厳しいこだわりや効率と機能性を示しています。
「訪日外国人の消費動向 年次報告書2022」によると外国人旅行者が日本旅行の際に「今回したこと」の1位は「日本食を食べること」でした。以下、2位「ショッピング」、3位「繁華街の街歩き」、4位「日本の酒を飲むこと」、5位「自然・景勝地観光」、6位「日本の歴史・伝統文化体験」、などと続きます。5位「自然・景勝地観光」を除くとほとんどが「職人の技(クラフトマンシップ)」にかかわりのあることではないでしょうか。「ショッピング」や「繁華街の街歩き」には外国人に人気である精密な刃物や食品サンプルの買い物などや神社仏閣の見学なども含むと思われるからです。
注:複数回答
出所:訪日外国人消費動向調査2022
もちろん、日本の伝統工芸もまた、このクラフトマンシップの素晴らしさを象徴しています。織物、陶芸、金工芸、木工芸など、数々の伝統工芸は、長い歴史と深い技術を持ち、独自の美学を持っています。外国人旅行者はこれらの工芸品の見学や買い物、製作体験を通じて、日本の文化と美意識を感じ、感動していると考えられます。
また、日本の建築や庭園デザインも、このクラフトマンシップの一部です。シンプルで洗練されたデザイン、自然との調和、細部へのこだわりは、日本の美的センスを反映しています。これらの要素は、伝統的な神社仏閣から現代の建築に至るまで、日本の建築に共通する特徴です。
日本では、職人技を観光資源としてより積極的に活用し、職人の経済環境を改善する必要があります。観光客に職人技の見学や体験を提供することで、単なる製品販売から体験へのシフトが可能です。モノ消費からコト消費へのシフトなど消費環境の変化に職人自体も対応していく必要があるでしょう。当社は、これらの職人技の「体験」ツアーを企画し、日本のクラフトマンシップを世界に広めることを目指しています。