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第2回:神楽坂商店街の店主に聞く – 陶柿園の歴史と変化の重要性

第2回:神楽坂商店街の店主に聞く – 陶柿園の歴史と変化の重要性

神楽坂商店街の魅力を紹介するシリーズ第2回は、老舗陶器店「陶柿園」の二代目 代表取締役、舘林順生(たてばやし のぶたか)さんへのインタビューです。九州・長崎県波佐見町の窯元から神楽坂に来られ、多くの変化に柔軟に、また果敢に対応し続けてきた順生さんのストーリーをお届けします。

Insights from a Kagurazaka Store Owner – The History and Evolution of Toshien

陶柿園の創業と歴史

陶柿園は1946年(昭和21年)、東京・中央区の新富町で創業しました。創業者の舘林多久次さんは佐賀県有田町出身で、ご実家は有田焼の問屋を営んでいました。創業2年後の1948年に神楽坂へ移転し、現在の地で約80年の歴史を築いています。店名の「陶柿園」は、有田焼の赤絵磁器を代表する「柿右衛門」の窯元“十三代酒井田柿右衛門”と初代・多久次さんが幼馴染みであったご縁から名付けたとのことです。

順生さんご夫婦が後継者として神楽坂に移り住んだのは1977年。当時、縁もゆかりもない地での生活に不安を感じたそうですが商店会仲間とのつながりが大きな助けになったといいます。「長崎弁が聞きづらいかもしれませんが…」と笑う順生さんの語り口にはユーモアが溢れる一方、数々の苦難を潜り抜けてきたという自信を感じました。

Insights from a Kagurazaka Store Owner – The History and Evolution of Toshien
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波佐見焼との深いつながり

陶柿園の和食器の品揃えの約7割を占めるのが、順生さんのルーツである波佐見焼です。江戸時代後期創業の窯元「一龍陶苑」の三男として生まれた順生さんは、地元、波佐見町に今でも深く関わっています。例えば、波佐見焼を全国区に押し上げた西海陶器の会長 児玉盛介さんと幼馴染で今でも仲良くしているといいます。 また、波佐見町長を24年務めた一瀬政太氏は順生さんの実兄です。順生さんの祖父も波佐見町の町長を務めたそうです。

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時代の変化に合わせた取り組み

順生さんの経営にはいくつかの大きな転換点がありました。まず、1970年代後半に頒布会(定期販売)から小売りに急速に移行しました。「家庭に食器が十分行き渡ったため、頒布会は時代遅れになりました」と話します。当時、売り上げの約8割が頒布会向けだったため、この変化は大変な危機でした。
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この危機に対応できたのは、順生さんと奥様が陶磁器のメーカー、問屋、小売り(百貨店)で培った経験があったからです。さらに、陶器だけでなくガラス製品の取り扱いを始めたことも大きな変化でした。ガラス問屋最大手(当時)だったカメイガラス(KAMEI GLASS)が1997年に廃業し、放出された薩摩切子の在庫を順生さんが大量に仕入れ、販売したのです。このことにより、薩摩切子や江戸切子の取り扱いを通じて、商品ラインナップの多様化に成功。江戸切子の品揃えはトップクラスとなりました。「江戸切子は日本の工芸品として海外での知名度も高く、お土産として購入されることが多いです」と語る順生さん。時代のニーズに応じた柔軟な対応と決断力が、順生さんが率いる陶柿園の強みといえます。

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変化と努力を続ける理由

「全国の陶磁器小売店は通信販売、ふるさと納税等の影響でこの25年で約90%減少しました。その中で生き残るには、努力し、変化し続けるしかありません」と語る順生さん。最近では息子さんがサウナグッズなど新しい商品にも挑戦しています。
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外国人にも人気の商品

波佐見焼や九谷焼、抹茶茶碗、一輪挿しなど「日本らしさ」を感じる器は外国人のお客様に人気です。小物では、箸置きや招き猫の置物が人気で、洋食器ではノリタケの「トトロ」シリーズの豊富な品ぞろえなども注目されています。また、日本酒好きにはぐい飲みが定番で、まとめて購入されることが多いそうです。
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「変化」を続ける陶柿園

順生さんのインタビューを通じ、神楽坂の商店街で、ご自身のルーツや伝統を守りながらも、柔軟に変化し続ける姿勢が印象的でした。ご自身のルーツである波佐見焼など商品に対するこだわりやお客様への真摯な対応が、陶柿園の歴史と未来を支えていることを感じました。
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ぜひこの記事を読んだ後は、陶柿園を訪れ、実際に器を手に取ってその魅力を体感してみてください。「とにかく日本のいいものを買ってもらいたい」という順生さんの思いに触れながら、「幅広い商品を揃え、商品の特性を直接伝えられる強みを持つ専門店ならではの専門的な会話」をしながらの買い物は、ネット販売では決して味わえない特別な体験になるはずです。
日本語に不安のある方も安心して神楽坂にお越しください。当社の英語ガイドとともに神楽坂を散策し、その歴史や文化を感じた後で陶柿園を訪れてみるのはいかがでしょうか。さらに、海外でも有名な有田焼とその隣町で作られる波佐見焼の違いについて、順生さんに直接教えてもらうことで、陶器選びの楽しさがより一層広がることでしょう。
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店舗情報: 陶柿園

  • ホームページ: toushien.net 神楽坂・陶柿園で検索できます

  • 住所:東京都新宿区神楽坂2-12

  • 営業時間:火~土 10:00-19:00 / 日・祝 12:00-18:00

  • 定休日:月曜日 注:月曜日が祭日の場合火曜日が休みになります。

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神楽坂へのアクセス

神楽坂エリアは、東京の主要な駅から30分以内でアクセスできる便利な場所に位置しています。これは、神楽坂が東京の中心部、山手線の中央に位置しているためです。この便利で魅力的な神楽坂にぜひお越しください。
 

 

 

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